インプラント治療は医療費控除でいくら戻る?計算方法等を解説

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歯科コラム/2022年6月30日

インプラント治療は医療費控除でいくら戻る?計算方法等を解説

インプラント治療は、比較的高額な費用がかかる点にデメリットを感じている方が多いでしょう。インプラントは原則として保険が適用されないこともあり、どうしても入れ歯やブリッジより高くなってしまいます。
そこで是非とも知っておいていただきたいのが「医療費控除」です。今回はインプラント治療で医療費控除を申請した場合、いくらくらい戻るのか、計算方法も含めて解説します。

医療費控除とは

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費の金額が10万円を超えた場合に、税金(所得税・住民税)が一部還付される制度です。還付される税金は、所得や支払った医療費の費用によって大きく変わります。
医療費控除は、保険診療のみが対象となると思われがちですが、条件を満たせば保険外診療でも申請できます。ちなみに、歯科の保険外診療では、治療費が高額になりがちなインプラント治療や矯正治療、セラミック治療などで利用する方が多いです。歯科医院で支払った治療費だけでなく、薬代や交通費なども控除の対象となるため、その点は事前にしっかり確認しておきましょう。

医療費控除の条件

医療費控除は、誰でも対象となるわけではありません。基本的には以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 納税者が自分自身、もしくは自分と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費である
  2. 医療費はその年の1月1日から12月31日までの1年間に支払ったもの
  3. 支払った医療費の総額が10万円もしくは総所得金額の5%(*)を超えている
    *総所得金額が200万円に達しない場合

この3つの条件すべてに当てはまる場合は医療費控除を申請して、一定の所得控除を受けることができます。

医療費控除の計算方法

医療費控除によっていくら戻ってくるかを調べるためには、次の3つの計算式が必要になります。

計算方法①医療費控除の対象額を求める計算式

年収200万円以上の場合

医療費控除対象額(上限200万円)=支払った医療費の総額-医療保険による補填金(*)-10万円

*健康保険や生命保険から支給される保険金や給付金

年収200万円未満の場合

医療費控除対象額(上限200万円)=支払った医療費の総額-医療保険による補填金(*)-総所得金額の5%

計算方法②控除額(還付金)を求める計算式

「控除額」とは、医療費控除の対象額に、それぞれの所得に応じた税率(下表参照)をかけた金額です。還付金と呼ぶこともあります。所得が高い人ほど還付金が多くなるシステムとなっています。

控除額(還付金)=医療費控除額×所得税率

国税庁HPより抜粋 「No.2260 所得税の税率」)

計算方法③減額される住民税の計算式

医療費控除を申請すれば、所得税だけでなく住民税まで優遇措置が受けられます。具体的には、以下の計算方法で減額される住民税の額を導き出せます。

減額される住民税=医療費控除額×10%(*)

*住民税の還付金は、所得に関係なく一律10%となっています

インプラント治療費の相場だと医療費控除でいくら戻る?

ここまで、医療費控除の計算式について解説してきましたが、実際にどのくらい還付されるのかも知りたいですよね。
ここでは以下の条件を想定して、医療費控除の還付金を計算してみたいと思います。

  • 年収:500万円
  • 支払った医療費の総額:50万円(インプラント治療)
  • 保険金による補填:0円
  • 所得税率:20%
医療費控除額

50万円(支払った医療費の総額)-0円(保険金による補填額)-10万円40万円(医療費控除額)

控除額(還付金)

40万円(医療費控除額)×20%(所得税率)8万円(控除額(還付金額))

減額される住民税

40万円(医療費控除額)×10%4万円(減額される住民税)

年収500万円の人が50万円のインプラント治療を受けた場合、8万円の所得税が還付され、住民税が4万円減額されることになります。
1年間で支払った治療費の額を考えると、かなり優遇されることがわかります。

医療費控除のやり方

医療費控除を受けるためには、確定申告の際に申請書類を提出する必要があります。ここでは申告に必要なものや書類の作成方法、提出方法などを簡単にご説明します。

やり方①申告に必要なもの

医療費控除を申告する際には、次に挙げるものを用意する必要があります。

  • 医療費控除の明細書
  • 医療費のお知らせ(医療費通知)
  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • マイナンバー
  • 印鑑
  • 還付金の振込口座(申請者名義)

*制度の改定によって医療費の領収書を提出する必要はなくなりましたが、税務署から問合せが来た際にすぐ提示できるよう、きちんと保管しておきましょう。また、通院にかかった交通費の金額もメモしておくことをおすすめします。

やり方②確定申告書の作成方法

国税庁のホームページや税務署の窓口で「確定申告書」「医療費控除の明細書」を入手して、必要事項を記入します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のサイトにアクセスして、作成することも可能です。記入方法の詳細については、お近くの税務署にお問合せください。

やり方③提出方法

確定申告書の提出方法は4通りあります。

  • 居住地を管轄する税務署の窓口に提出する
  • 居住地を管轄する税務署に郵送する
  • e-Tax[イータックス]を利用して書類を送信する(*)
  • 税理士などの代理人に提出を依頼する

*e-Tax[イータックス]を利用するためには、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要です。事前の登録方法も含め、詳細は税務署にご確認ください。

やり方④提出期限

確定申告書の提出期限は、例年3月15日となっています。申告期限は社会状況に合わせて延長されることもありますので、事前に確認しておきましょう。医療費控除については、3月15日を過ぎても申請することが可能です。最大5年まで遡って申請することができますので、過去に受けた治療の費用で還付金をもらいたいという場合も対象となります。

まとめ

インプラント治療の費用は10万円を超えることが多く、インプラント治療を受けるほとんどの方が医療費控除の対象となるでしょう。
医療費控除のやり方は難しそうに見えるかもしれませんが、計算方法や必要書類の詳細を理解すれば、それほど煩雑でないことが分かります。
インプラント治療を検討するにあたり、その費用がネックになる方は、医療費控除で戻ってくる金額を先に把握しておくといいでしょう。