インプラントを安くする方法はある?格安インプラントをおすすめしない理由も解説

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歯科コラム/2022年10月6日

インプラントを安くする方法はある?格安インプラントをおすすめしない理由も解説

失った歯は何らかの装置で補う必要がありますが、その際、インプラントを選択するメリットは極めて大きいです。従来法にはない「人工歯根」があることは、見た目はもちろんのこと、「噛む」という歯が持つ本来の機能においても有利に働くからです。ただ、インプラントには「費用が高い」というデメリットも伴うため、なかなか一歩踏み出せないという方も多いでしょう。そこで今回は、インプラントを安くする方法について詳しく解説します。

インプラント1本当たりの治療費用の目安

インプラント治療では、カウンセリング・検査・診断から始まり、人工歯根を埋入する手術、人工歯に当たる上部構造の製作までが一連のプロセスとなります。
それぞれの行程でかかる費用の目安は以下の通りです。

カウンセリング 0~5,000円程度
検査・診断 30,000~50,000円
インプラント手術 150,000~400,000円(1本当たり)
上部構造 50,000~200,000円

このように、インプラント治療が高額になるのは、1本当たりの手術費用が高いからです。上部構造に関しては、一般的なセラミック治療と大差はありません。ちなみに、インプラントでは治療後もメンテナンスを受ける必要があり、その都度、数千円の費用がかかります。

基本的にインプラントの治療費を安くする方法はない

インプラント体のイメージ

インプラントの治療費を安くする方法は、基本的にありません。それは次の理由からです。

原則として保険が適用されない

インプラント治療は、一部の症例を除いて、原則的に保険適用されません。そのため治療にかかった費用は、患者さまが10割負担することとなります。これは国が定めたルールであり、治療費を安くする余地はないといえます。今後、インプラントにも保険が適用されるようになるかもしれませんが、現状は原則、自費診療となっており、歯科医院によって設定している料金にも違いが見られます。

原材料費が高い

インプラント治療に欠かせない人工歯根は、純度の高いチタンで作られています。とても貴重な金属であり、質の高い人工歯根を作るとなると、原材料費も自ずと高くなります。

設備投資が必要

インプラント治療の安全性や確実性を確保するためには、それ相応の設備が必要となります。具体的には歯科用CTや衛生管理が徹底したオペ室、デジタルシミュレーションが可能なソフトやインプラントオペに必要となる専用器具などです。こうした設備を整えるためにはかなり高額な投資が必要となります。

技術料

インプラントは、歯科医師であれば誰でも行うことができますが、熟練度に応じて治療の精度も大きく変わります。豊富な知識と経験がある歯科医師ほど技術力が高く、質の高い治療を提供できることから、インプラントの費用には技術料も含まれているものとお考えください。

結果的にインプラントの治療費を安くする方法

自由診療

インプラント治療の費用を安くする方法はありませんが、“結果的に”治療費が安くなることはあります。それは医療費控除と高額療養費制度を活用することです。

【方法①】医療費控除

医療費控除とは、1年間に支払った医療費の総額が100,000円を超えた場合に申請することができる制度で、所得に応じて一定額の税金の控除が受けられます。還付される金額もそれぞれのケースで異なるため、一概に語ることは難しいです。インプラントは医療費控除の対象であり、1本埋入しただけでもこの条件を満たすことから、治療を受けた方はこの制度をしっかり活用していきましょう。ちなみに、医療費控除の申告は「確定申告」と併せて行う必要がありますので、2月16日から3月15日の期間に税務署へ必要書類を提出しましょう。医療費控除は最大で過去5年まで遡って申告することが可能です。

【方法②】高額療養費制度

高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額になる場合に利用できるもので、それぞれが加入している健康保険組合によって支払われる金額なども異なります。インプラント治療を受けた際には、健康保険組合に確認した上で、適切な手続きを踏むようにしてください。

例外的にインプラント治療に保険が適用されるケース

保険適用

インプラント治療は、一定の条件を満たすと保険が適用されることがあります。

【ケース①】生まれつきあごの骨が少ない

先天性の病気によって生まれつきあごの骨が部分的に欠けているようなケースでは、上下の歯で適切に噛むことができず、正常な日常生活を送ることが難しいです。そうした場合は、条件を満たした医療施設であれば、保険内でインプラント治療を受けられることがあります。

【ケース②】病気・事故によりあごの骨を失った

生まれたあとにかかった病気や遭遇した事故であっても、咀嚼(そしゃく)機能を大きく害するような顎骨の欠損が認められる場合は、インプラント治療を保険診療で受けられることがあります。自分の責任で事故を起こした場合は、通常と同じようにインプラント治療は保険適用外となります。

このように、インプラント治療が保険で受けられるケースというのは、極めて限定的です。虫歯や歯周病、外傷などによって歯を失った場合は、基本的に自費診療となります。

格安インプラントをおすすめしない理由

注意点

ここまで「インプラント治療の費用は安くならない」という現状について解説してきましたが、そうなるといわゆる“格安インプラント”の魅力が際立ってくることかと思います。そもそもインプラントは安くならないのになぜ価格を“格安”に設定できるのか、不思議に思われる方も多いことでしょう。

【理由①】未承認のインプラントが使用されている可能性がある

今現在、国内で受けることができるインプラントは、基本的に国の承認を受けた上で流通しています。一定水準以上の品質が保証されているため、費用もそれなりに高くなります。一方、極端に安い価格が設定されている格安インプラントは、海外で流通している品質の低いシステムである可能性が考えられます。国による承認が得られていないので、もしかしたらインプラントそのものに大きな欠陥があるかもしれません。

【理由②】歯科医師が高度な医療技術を持っていない

インプラント治療の価格が極端に安い場合は、担当する歯科医師の経験が未熟な可能性も考えられます。歯科医師になってまだ間もない場合や、インプラント治療の実績が浅い場合は、適切な治療結果が得られる保証もないため、適正な費用を請求するのも難しくなります。そうした未熟な歯科医師の診療実績を増やすために、あえてインプラント治療の価格を安く設定することもあります。

【理由③】トラブルが多い

マイナーなインプラントシステムを採用していて、治療後のトラブルが多い歯科医院は、患者さんを集めるために価格を安く設定している場合もあります。トラブルの内容は、費用に関することから、インプラント治療の失敗に至るまでさまざまです。

まとめ

今回は、インプラント治療を安く受ける方法について解説しました。上述したように、インプラント治療を直接的に安くする方法はありませんが、医療費控除や高額療養費制度を活用すると、結果として経済的負担を減らすことは可能です。日本でも流通している格安インプラントは、それなりの理由があって安く提供されているものなので、基本的にはおすすめすることはできません。インプラントは顎の骨に埋め込む“人工臓器”ともいえる装置であり、一生涯使い続けることも珍しくありません。そのような大切な治療において、経済面を最重要視することはあまり良くないといえるでしょう。