インプラント治療後にMRI検査はできない?その真相を解説

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歯科コラム/2022年12月11日

インプラント治療後にMRI検査はできない?その真相を解説

インプラント治療では、顎の骨に金属(チタン)製の人工歯根を埋め込みます。そのためインプラント治療を受けてしまうと、MRI検査を受けられないという話を耳にすることがあります。MRI検査は全身の健康状態を調べる上でとても重要なものなので、それが受けられなくなることは極めて大きなデメリットとなりますが、実際のところはどうなのでしょうか。

MRI検査とは

MRIイメージ

MRI検査とは、レントゲン検査やCT検査と同じように「画像診断」のために実施される検査です。正確には「Magnetic Resonance Imaging」と呼ばれるもので、強力な磁石と電波を使って磁場を発生させる装置を用います。レントゲンやCTは、どちらかというと骨のような硬い組織を検査するのに有用なのですが、MRIは内臓などのやわらかい組織の異常を調べるのに有用です。

一般的な画像検査とは異なり、MRIでは放射線を使用しません。被ばくする可能性がないというのは、患者さまにとって極めて大きなメリットといえます。ただ、磁石を使った検査なので、撮影室内に金属類を持ち込むことができません。検査の前に必ず説明があるかと思いますが、金属類を身につけたままMRI検査を受けると、装置にそれらが引き寄せられてしまいます。検査結果にも悪い影響を与えるため、ペースメーカーや人工内耳などの医療機器を体に埋め込んでいる人は、原則としてMRI検査が受けられないのです。

インプラント治療後はMRI検査ができないと言われる理由

結論からいうと、インプラント治療後もMRI検査は問題なく受けられます。実際、当院でインプラントの埋入処置を実施した患者さまの中にも治療後にMRI検査を受けた方はいらっしゃいます。これは当院に限らず全国的にもいえることです。それならなぜ「インプラント治療後はMRI検査ができない」と言われるようになったのか。それは「インプラント」という名称が歯科治療だけに使われているわけではないからです。

いろいろな分野の「インプラント」

失った歯を補うために埋め込む人工歯根は「デンタルインプラント」です。世間ではインプラント=デンタルインプラントというイメージが定着していますが、医療の分野ではその他にも異なるインプラントがたくさん存在しています。以下に挙げる医療機器もインプラントの一種であり、MRI検査が受けられません。

  • 心臓ペースメーカー
  • 人工内耳
  • 神経刺激装置

こうした精密機器は、MRI撮影の画像を乱すだけでなく、患者さまの体にまで深刻な悪影響を及ぼします。ちなみに、これらの機器に用いられる金属は磁気に反応しますが、デンタルインプラントや人工関節、結合プレートなどに用いられるのは非磁性金属であり、強力な磁場にさらされても影響を受けることはありません。

インプラント治療後でもMRI検査はできる

デンタルインプラントにもいくつかの種類があり、一概に語るのは難しいですが、インプラント治療後でもほとんどのケースでMRI検査を受けることができます。一般の歯科医院で実施している標準的なインプラント治療であれば、まず問題なくMRI検査を受けられることでしょう。というのも、インプラントで使用する「チタン」という金属には磁力がなく、磁石と電波によって強力な磁場を発生する装置に近づいても大した影響を受けないからです。

病院の現場では、この点をよくわかっていない医療スタッフの方もいるため、ちょっとした混乱や問題が起きたりすることもあります。ただし、今現在流通しているインプラントのすべてが「チタン」で作られているわけではありません。

MRI検査ができない可能性があるインプラントの種類

インプラントにもMRI検査できないケースがあります。とりわけ次の2つに関しては十分な注意が必要です。

  • インプラントオーバーデンチャー
  • 医療用インプラント

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーとは、入れ歯のような取り外し式の上部構造を装着するタイプのインプラントです。入れ歯とインプラントは、磁石によって固定するパターンが一般的です。磁性体をMRI室に持ち込むと、装置の故障を招くことがあるため、原則として禁止されています。ただ、インプラントオーバーデンチャーの中には、磁石を使用しないパターンもあります。そのためインプラントオーバーデンチャーを装着している人でMRI検査を受ける必要が出てきた場合は、歯科医院に装置の構造などをきちんと聞いておくことが大切です。インプラント治療で磁石が用いられていなければ、インプラントオーバーデンチャーでも問題なくMRI検査が受けられます。

医療用インプラント

上記の装置はいわゆる歯科に用いられる「デンタルインプラント」ですが、心臓・整形・美容外科などでは、さまざまな装置を体の中に埋め込むことがあり、それらを「医療用インプラント」と総称することがあります。具体的には心臓ペースメーカーや人工関節などです。これらは使用している金属や装置の構造などによって、MRI検査を受けられるかどうかが決まります。人工関節のように金属が使われていても、MRI装置や検査自体に影響がないものもありますので、心当たりのある方は、主治医に問い合わせておきましょう。

チタンとMRI検査

ここまでチタンを用いた標準的なデンタルインプラントは、MRI検査を受けられることをご説明してきました。チタンも立派な金属のひとつではあるのですが、磁性体ではないため、磁力を用いるMRI検査に悪影響を及ぼすことがありません。さらにチタンには次のような特徴があることから、デンタルインプラントの素材として広く活用されるようになりました。

・顎の骨と結合しやすい
・人体に馴染みやすく安全性が高い
・金属アレルギーのリスクが極めて低い
・耐久性が高い

チタンは生体親和性の高い金属であり、古くから人工関節の素材として使われてきましたが、金属アレルギーのリスクがゼロではありません。ごく稀にチタンアレルギーを持っている方もいらっしゃいますので、万全を期すのなら事前にパッチテストなどの検査を受けておくことが推奨されます。いずれにせよチタン製のインプラントなら、MRI検査で問題が起こることはほとんどないため、よほどのことがない限り検査を拒否されることもないでしょう。

インプラントが原因でMRI検査を断られた場合の対処法

上でも述べたように、デンタルインプラントに対する理解がない医療スタッフも存在するため、病院によってはMRI検査を断られる場合もあります。そのような場合には、次のように対処しましょう。

対処法①上部構造のみを外す

骨に埋まっているインプラント本体が、チタンなどの磁力を持たない金属である場合、事前に被せ物の部分の上部構造のみを外すことでMRI検査が受けられます。磁石を使わないタイプのインプラントオーバーデンチャーも同様です。
もちろんこれはスクリュー固定式のインプラントに限られます。当然ですがセメント固定式のインプラントは上部構造を外すことはできません。

インプラントを外すよう指示された場合には、インプラント治療を受けた歯科医院で上部構造のみを外してもらいましょう。

対処法②インプラントがチタン製であることを伝える

デンタルインプラントが金属製であることを指摘された場合は、それが「チタン」であることをスタッフに伝えましょう。医師はもちろんのこと、画像検査にかかわる医療スタッフであれば、チタン製の医療機器がMRIに悪影響をもたらさないことを知っています。人工関節に用いられている素材と同じであることを伝えれば納得してくれることでしょう。

対処法③インプラント治療を受けた歯科医師に相談する

上述した対処法で解決しない場合は、インプラント治療を受けた歯科医院・歯科医師に相談してみましょう。使用したインプラントに問題がなければ、その安全性などを担当の先生に伝えてくれるはずです。
また、MRI検査を受ける前に、トラブルを防ぐためにも、自己判断だけでなく、事前に歯科医師に相談することも大切です。

インプラント治療後でもCT検査はできる

身体の状態を精密に調べる方法として、MRI検査以外にもCT検査というものがあります。一般の方からすると、MRIもCTも同じようなものに見えているかもしれませんが、厳密には大きく異なる点がいくつかあります。

まずMRIでは放射線を使用しないため、被ばくのリスクがありませんがCTにはあります。ただ、健康被害が生じるほどの被ばくを伴うことはありませんので、その点はご安心ください。撮影の際には、放射線を遮断する鉛製のエプロンを着用しますし、歯科用CTでの撮影ではエックス線の照射部位が口腔周囲に限定されるため、身体への影響を最小限に抑えられます。

次に、金属が検査に及ぼす影響についてですが、CTではMRIのような磁場を発生する必要がないため、身体に金属が埋め込まれていても問題なく撮影できます。つまり、チタン製の人工歯根を埋め込むインプラント治療を受けたからといって、CT撮影を断われることはないのです。もちろん、インプラントの安全性の問題で不安を感じることがあれば、事前に歯科の先生に相談しておくと良いでしょう。

まとめ

今回は、インプラント治療後にMRI検査を受けられるのかどうかについて解説しました。
インプラント治療後にMRI検査を受けることはできない、という話も巷には広まっていますが、少なくとも標準的なデンタルインプラントは問題なく受けることができます。
ひと言でインプラントと言っても、医療分野には複数該当するケースがあるため、現場でも混乱している部分があるのでしょう。

デンタルインプラントを受けた方でMRI検査を断られた場合は、今回ご紹介した方法で対処してみてください。歯科のインプラントとMRI検査の関係についてさらに詳しく知りたい方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。当院はインプラント治療に力を入れている歯科医院です。