老後のインプラント治療:デメリットを踏まえてもオススメ!

> 高田馬場駅前デンタルクリニック > 老後のインプラント治療:デメリットを踏まえてもオススメ!

歯科コラム/2022年12月16日

老後のインプラント治療:デメリットを踏まえてもオススメ!

インプラントには「人工歯根」があるため、本物の歯のようにしっかり噛むことができます。見た目も美しいため、その人気は年々上昇しているのですが、老後に治療を受けるかどうか迷われる方も多いようです。そこで今回は、インプラントの利点を入れ歯と比較した上で、老後にインプラント治療を受けるメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

入れ歯と比較した場合のインプラントの利点

入れ歯

入れ歯と比較したインプラントの利点としては、以下の4つが挙げられます。

利点①食べ物をしっかり味わえる

入れ歯には「義歯床」というレジンもしくは金属製のプレートが歯茎と接するため、食事の温度や味が感じにくくなります。インプラントには人工歯根が存在していることから、義歯床のようなパーツは不要であるため、本物の歯と同じように食べ物をしっかり味わうことができます。

利点②管理しやすい

入れ歯は着脱式の装置であるため、お口の中と装置の両方を清掃しなければなりません。外した時に、紛失したり損傷するリスクもあります。インプラントは顎の骨と一体化する装置なので、清掃や管理する方法もシンプルです。

利点③誤嚥性肺炎を予防できる

大型の装置である入れ歯には、汚れがたまりやすく、細菌の温床となりがちです。その一部が唾液と一緒に気管へと流れ込むと「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こすことがあります。小型の部分入れ歯の場合は、装置そのものを気管に誤嚥するリスクを伴います。

利点④強く噛める

入れ歯によって回復できる噛む力は、本物の歯の3~5割程度と言われています。顎の骨に根差したインプラントは、噛む力を本物の歯の8~9割程度まで回復できるため、食べ物を強く、しっかり噛めるようになります。

老後にインプラント治療を行うメリット

インプラントには入れ歯にはない利点がたくさんあることをおわかりいただけたかと思いますが、老後にインプラント治療を受けるメリットについても知りたいですよね。ここでは、50~60代以上の方がインプラント治療を受けるメリットを4つほどご紹介します。

メリット①身体機能の維持に繋がる

インプラントで食べ物をしっかり噛めるようになると、咀嚼力が維持され、たくさんの栄養分を摂取できます。その結果、免疫機能や足腰の機能、内臓の機能を正常に維持しやすくなり、全身の健康維持・増進にも寄与します。

メリット②認知症のリスクを軽減できる

平成22年に厚生労働省は「咀嚼機能が低い人は認知症のリスクが高くなる」という研究結果を報告しました。たくさんの歯を失った人は、自分の歯が20本以上残っている人に比べて、認知症のリスクが1.9倍にもなることが研究によって明らかになったのです。インプラントは本物の歯に匹敵する機能を発揮することから、老後にインプラント治療を受けることで認知症のリスクを軽減することができます。

メリット③会話を楽しめる

今現在、入れ歯を装着している方は「会話がしにくい」点に不満を感じているかもしれません。入れ歯は会話している時にズレたり外れたりすることが多々あります。発音しにくい言葉もいくつかあり、ストレスを感じる場面が多いです。本物の歯と構造や機能がほぼ同じインプラントであれば、そのような不便を感じることはなく、ご家族やご友人との会話も楽しむことができます。

メリット④若々しさをキープできる

インプラントは、入れ歯に付属しているクラスプや義歯床などがなく、その構造は天然歯そっくりなので見た目が自然です。人工歯である上部構造も患者さまご自身の歯の色に近付けることができ、若々しさをキープしやすいというメリットがあります。インプラントと同じ固定式のブリッジも比較的美しい治療法ではありますが、やはり人工歯が連結された構造はやや不自然な印象を与えてしまいます。

老後にインプラント治療を行うデメリット

ここまでは、インプラントの良い面にスポットを当てて解説してきましたが、ここからはインプラントの負の側面です。老後にインプラント治療を受けると以下に挙げるようなデメリットを伴います。

デメリット①細菌感染のリスクがある

インプラント治療には必ず外科手術を伴います。歯茎をメスで切開し、顎の骨にドリルで穴を開けるため、手術中・手術後に細菌感染が起こるリスクは避けられません。とくに年齢が高くなると全身の免疫力が低下することから、感染リスクは若年者よりも上昇します。

デメリット②インプラントと骨が結合しづらい

50~60代になると、全身の代謝機能が衰え、傷の治りが遅くなります。チタン製の人工歯根と骨との結合も起こりにくくなり、インプラントの安定性が得られないこともあり得ます。

デメリット③治療を受けられない場合がある

インプラントの手術はそれほど大掛かりなものではありませんが、体力が極端に低下していたり、重症度の高い全身の病気を患っていたりなど、健康状態が悪い場合はインプラント治療そのものが適応外となることもあります。

デメリット④費用が高く治療期間が長い

保険診療のブリッジや入れ歯は長くても2~3ヵ月程度で治療が終わりますが、インプラントの場合は少なくとも半年はかかります。費用も比較的高く、患者さまの心身および経済面における負担が大きくなる点は、インプラント治療の大きなデメリットのひとつとして挙げられます。治療期間は、インプラントを埋め込む本数や部位、患者さまの顎の骨の状態などによって大きく変わるため、一概に語るのは難しいです。

デメリット⑤メンテナンスが必要になる

インプラント治療は歯科医院での定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」という、インプラント特有の歯周病にかかるリスクが高まります。インプラント周囲炎は、歯茎だけではなく、顎の骨まで破壊する怖い病気で、インプラント治療が失敗に終わる主な原因にもなっています。また、年齢を重ねた方は、虫歯や歯周病などのリスクが高いため、お口の中を清潔に保つことが大切です。

デメリットを踏まえても老後のインプラントはおすすめ

上述したように、インプラントにもそれなりのデメリットを伴うため、老後に受けるには不安に感じた方もいらっしゃるかもしれません。そこで改めて、前半で述べたインプラントのメリットを確認してみてください。全身はもちろん、お口の機能も加齢とともに衰えていきますが、インプラント治療によってその速度を遅らせることができるのは確かです。80~90歳で寝たきりになったとしても、要介護の現場で扱いやすいのは間違いなく入れ歯ではなくインプラントです。

そうした長期的な観点に立つと、インプラントの優れた点がさらに浮彫となります。もちろん、患者さまそれぞれのお口の中の状態や生活環境などを考慮して最善といえる治療法を選択した方が良いですが、現状、インプラントに優る人工歯+人工歯根は、存在しておらず、デメリットを踏まえたとしても老後に推奨できる装置といえます。

老後にインプラント治療を受ける前に知っておくべきこと

老後にインプラント治療を検討中の方は、以下の3点について知っておいてください。

知る①毎日手入れが必要

インプラントは天然歯と同じような見た目をしていますが、歯茎との境目に汚れがたまりやすく、インプラント周囲炎という歯周病のリスクが高くなっています。そのため本物の歯以上にしっかりケアする必要があります。

知る②顎の骨が少ないと対応可能な歯科医院が限られる

インプラント治療では、顎の骨の量と質が重要となります。顎の骨が不足している症例では、「骨造成(こつぞうせい)」などでインプラント治療を適応可能にできますが、そうした高度な治療法に対応している歯科医院は一部に限られます。

知る③持病のリスクが高まる

糖尿病や高血圧症、骨粗しょう症などの持病をお持ちの方は、病状を安定させた上でインプラント治療を受けなければなりません。また、インプラント治療を受けた後も持病が悪化するリスクを伴うことから、治療後のメンテナンスをしっかり継続していくことが大切です。

まとめ

今回は、老後にインプラント治療を受けるメリットとデメリットについて解説しました。お口の中や全身に大きな問題がなければ、老後においてもインプラント治療が推奨されます。インプラントは老後の生活を豊かにしてくれる素晴らしい治療法なので、50~60代で失った歯の治療を控えている方は、ひとつの選択肢として検討されてみてはいかがでしょうか。