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インプラントの治療期間は平均どれくらい?治療の流れ等も解説

インプラントは、ブリッジ(失った歯の両隣の歯を削り、その歯を土台として利用する被せ物のこと)や入れ歯といった従来の治療法とは異なる点があるため、治療期間がどのくらいかかるのかイメージしにくいですよね。インプラントの治療期間は長いという話はよく耳にするものの、平均はどのくらいなのか知りたいことでしょう。

今回はそんなインプラントの治療期間の平均や治療の流れなどをわかりやすく解説します。

インプラントの治療期間の平均

インプラントは、歯を削って型取りをし、人工歯を装着するようなシンプルな治療ではありません。なぜなら、従来法にはない「人工歯根の埋入」というプロセスが入ってくるからです。
歯ぐきをメスで切開し、あごの骨に穴を開けてチタン製のネジを埋め込む手術を伴うため、自ずと治療期間も長くなります。しかも、人工歯根があごの骨と結合するまで数ヶ月待たなければならないのです。

3~12ヶ月が平均

上記の理由から、インプラント治療の治療期間は平均3~12ヶ月となっています。

治療期間の平均にかなりの幅があることに驚かれる方も多いことでしょう。これは人工歯根を埋め込む位置や本数、患者様の歯周組織の状態によって、治療法などが変わるからです。
歯槽骨が不足していると、事前に歯周組織再生療法などが必要となり、治療期間も長くなります。

インプラント治療の流れ

標準的なインプラント治療は、以下の流れで進行します。

流れ①治療計画と精密検査

まずは、カウンセリングにて患者様のご要望等をお伺いします。お口のことで困っていることなどもお話ください。続いて、種々の検査を実施して、歯ぐきやあごの骨の状態を精密に調べます。
インプラント治療で特に重要なのが歯科用CTによる撮影です。チタン製のネジを安全かつ確実に埋入するために、三次元的な情報を入手します。そうした精密検査の結果をもとに治療計画を立案して、患者様にご説明します。治療方法や治療費用など、疑問や不安に感じることは何でもお尋ねください。患者様に心からご納得いただけるまで治療は開始しません。

流れ②事前治療

検査の結果、歯周病などが見つかった場合は、それらの治療を優先します。歯ぐきの状態が正常にならないと、インプラント治療を行うことができないからです。お口の中に問題がなければ、事前治療は実施する必要はありません。

流れ③人工歯根埋入手術

あごの骨にチタン製の人工歯根を埋め込む手術です。インプラント手術には1回法と2回法があり、患者様のお口の状態によってどちらかを選択します。その名の通り手術の回数が変わることから、治療期間も選択した手術法で変動します。

2回法

インプラント手術の2回法は、1回目の手術で人工歯根のみを埋め込みます。傷口はいったん塞いで、
人工歯根とあごの骨が結合するのを3~6ヶ月程度待ちます。

その後、アバットメントを装着する2回目の手術を実施します。アバットメントとは、人工歯根と人工歯を連結させるための装置です。
インプラント治療では現状、2回法が標準となっています。

1回法

1回法は、
人工歯根の埋入とアバットメントの装着を1回の手術で行う方法です。通院回数や手術時間などを短縮できるため、患者様にとってはメリットの大きい手術法となります
が、一部の症例にしか適応できないのが現実です。
あごの骨の状態が良好な場合に限り、検討することができます。

流れ④インプラントの定着期間

インプラント治療では、チタン製のネジとあごの骨が結合する「オッセオインテグレーション」という現象を待たなければなりません。あごの骨が比較的しっかりしている下顎なら3ヶ月程度、上顎なら6ヶ月程度の期間を要します。
2回法の場合は、1回目の手術の後にインプラントの定着期間を設けます。このインプラントの定着期間はすべてのケースで必要となります。

流れ⑤人工歯のセット

人工歯根があごの骨に定着したら、人工歯を製作します。型取りを行って上部構造と呼ばれる人工歯を作り、アバットメントに装着します。最後に噛み合わせの調整を行って治療は完了です。
ちなみに、インプラントでは定期的なメンテナンスが必須となっておりますので、治療後も数ヶ月に一度の通院は継続しましょう。

インプラント治療中は歯がない期間がある?

インプラント治療では、人工歯根とあごの骨が結合するまでの期間がかなり長く、その間、歯がない状態が続くのか不安に感じている方も多いようです。その点はご安心ください。

例えば、インプラント手術の2回法では、人工歯根を埋めたあとに「仮歯」を装着しますので、口元の見た目が悪くなる現象を防げます。
ただし、仮歯はあくまでの“仮の歯”であり、入れ歯のように噛むことはできません。仮歯の状態で噛むと、歯周組織の傷口が開いたり、人工歯根とあごの骨の結合が妨げられたりするため注意が必要です。

治療後は定期的なメンテナンスが必要

ポイント

上述したように、インプラントは治療が終わったあともメンテナンスのために通院する必要があります。メンテナンスでは、歯ぐきやあごの骨、人工歯、インプラントの装着状態などを歯科医師がチェックします。メンテナンス自体はそれほど長い時間はかかりませんし、通院頻度も高くはありませんので、患者様の大きな負担になることも少ないかと思います。
しかし、インプラントのメンテナンスを怠ると、次のようなリスクが生じます。

インプラント周囲炎に要注意

インプラントは全てが人工物で構成されており、虫歯になる可能性はゼロです。しかし、その周りに存在している歯ぐきやあごの骨は生きた組織であり、歯周病にかかります。
とくに人工歯と人工歯根の境目には汚れがたまりやすく、「インプラント周囲炎」と呼ばれる歯周病リスクが高い点にご注意ください。メンテナンスを怠るとセルフケアでは取り除けない汚れが堆積し、インプラントの歯周病を発症してしまいます。

まとめ

インプラント治療は短ければ3ヶ月、長い場合は1年程度かかります
が、その分、得られるメリットも大きい治療法となっています。

失った歯の治療法を検討する際には、治療期間の長さだけに着目するのではなく、治療によって得られる結果まで見据えることが大切です。
もちろん、短期間で手軽に失った歯を治療したいのであれば、入れ歯の方がおすすめといえますので、まずはカウンセリングにてご要望をお聞かせください。
当院では患者様のご希望を第一に考えた診療を心がけております。

自力で歯並びを良くする方法はある?

歯並びの乱れというのは、とても目立ちやすく、コンプレックスとなりやすいことから、何とかして治したい、きれいに見せたいと感じるものです。その解決方法として第一に挙げられるのが矯正治療ですが、費用が高かったり、期間が長かったりするなど、ハードルとなる要素がたくさんあるため、なかなか一歩踏み出せない方も多いです。

それならいっそ自力で歯並びを良くしようと考える方もいらっしゃいますが、そもそも歯並びを自力で矯正するのは可能なのでしょうか?ここではそんな素朴な疑問にお答えすると同時に、より現実的な解決方法についても解説します。

自力で歯並びを良くすることはできません

結論からいうと、歯並びを自力で治すことはできません。これは歯がどのような状態で生えているのかを理解するとわかりやすいです。

歯は硬い顎の骨に埋まっている

私たちの歯は、歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる硬い顎の骨に1本1本しっかり埋まっています。これを自力で動かそうとするとより深刻なトラブルへと発展しかねないため、絶対に避けるようにしてください。そこで気になるのが歯科医院で受ける矯正治療ですよね。自力では治せない歯並びをどのような方法で治療しているのでしょうか。

成長に合わせた矯正が最も有効

矯正治療は、大人になってからでも受けられますが、子どもの頃に受けた方がより効率良歯く歯並びを改善できます。なぜなら、子どもの歯や顎の骨は発育途上にあり、その力を利用することで無理なく歯を移動できるからです。そのため、お子さんの歯並びで気になる部分がある場合は、早い段階で一度、歯科医院で診てもらう必要があります。

適切な矯正力を加えることで無理なく歯を移動できる

歯列矯正では、それぞれのケースに適した装置を用いて歯並びを整えてきます。その際かける矯正力は、専門家でなければ厳密にコントロールすることができません。そういう意味でも、一般の人が歯並びを自力で治すことは不可能といえます。

歯並びが悪くなる原因

次に、歯並びが悪くなる原因について考えていきましょう。

指しゃぶりなどの習癖に要注意

子どもの頃に指しゃぶりや舌を前方へと突き出す癖がなくならないと、歯並びが徐々に悪くなっていきます。具体的には出っ歯が誘発されることが多いです。

口呼吸も歯並びを悪くする

小さなお子さんによく見られる「お口ぽかん」の状態は、口呼吸している可能性が高いです。口呼吸をしていると、お口の中が乾燥しやすくなるだけでなく、お口周りの筋肉や骨の成長を遅らせることから、歯並びの乱れにもつながります。とりわけ上下の前歯が噛まない「開咬(かいこう)」には要注意です。

虫歯や歯周病で歯並びが悪くなることもある?

直接的ではないにしても、虫歯や歯周病を重症化させると、歯並びが悪くなることがあります。日本人が歯を失う原因の第一位が歯周病、第二位が虫歯であり、1本でも歯を失うと全体の歯並び・かみ合わせが乱れていきます。

歯並びの悪さにも種類がある

歯並びが悪い状態を歯列不正(しれつふせい)あるいは不正咬合(ふせいこうごう)といい、いくつかの種類に分けることができます。

出っ歯(上顎前突)

出っ歯

出っ歯とは、上の前歯が前方へと傾いている、あるいは突出している歯並びです。専門的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれるもので、上の顎の骨が成長しすぎているケースもあり得ます。

受け口(反対咬合)

受け口

受け口とは、下の前歯や下の顎が前方へと突出している歯並びです。専門的には下顎前突(かがくぜんとつ)と呼ばれるもので、“顎がしゃくれている”と表現されることもあります。

乱ぐい歯・八重歯(叢生)

乱ぐい歯

乱ぐい歯とは、歯並びがガタガタになっている状態です。専門的には叢生(そうせい)と呼ばれています。上の犬歯が飛び出している八重歯も叢生の一種に分類されます。清掃性が悪く、虫歯や歯周病のリスクが非常に高い歯列不正です。

開咬

開咬

開咬とは、口を閉じた際、奥歯はしっかり噛むのに前歯は噛まず、上下の歯列間にすき間が生じてしまっている歯並びです。口呼吸や舌を突き出す癖などが原因となりやすいです。子どもの頃にこの症状が認められる場合は、早急に診察を受けましょう。早期治療が必須となるケースも珍しくありません。

悪い歯並びは歯科医院で診断してもらいましょう

歯並びの種類には、それぞれ特徴的な症状が認められますが、一見すると正常に見えても、実は歯列不正や不正咬合が潜んでいるケースも珍しくありませんので、歯科医師による精密な診断を受けましょう。受診した際に、虫歯や歯周病が見つかることもあります。

歯並びが悪いと起こる症状

歯並びに乱れがあると、見た目が悪いという審美障害が第一に現れます。その他にも実は、より深刻な症状が現れることがあるため要注意です。

かみ合わせが悪くなる

悪い歯並びには、必ずといって良いほどかみ合わせの異常も伴います。さらに、悪い歯並びを放置すると、嚙み合わせがどんどん悪くなっていくため注意する必要があります。

お口周りの筋肉が衰える

歯並びが悪いと、上手に咀嚼(そしゃく)することが難しくなり、お口周りの筋肉が衰える、子どもであれば筋肉の発育が悪くなるといった症状が現れます。これもまた歯列不正を伴う大きなデメリットといえます。

歯並び矯正の種類

歯並びの乱れを改善する矯正治療・矯正装置には、以下に挙げるような種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットも踏まえて、わかりやすく解説します。歯科医院での矯正をご検討中の方は参考にしてください。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、金属製のワイヤーとマルチブラケットを歯の表面に装着する矯正治療です。メリットとしては、ほとんどの症例に対応できる、という点が挙げられます。デメリットは、装置が目立ちやすく、お手入れが面倒な点です。とくに矯正中は念入りにケアしないと、虫歯や歯周病のリスクが大きく上昇します。治療期間は2~3年程度です。

マウスピース矯正

マウスピース矯正

インビザラインに代表されるマウスピース型矯正装置は、透明なマウスピースで歯を移動させるため、装置が目立ちにくいです。前歯にブラケットなどを装着する必要もなく、周囲に気付かれずに歯並びを整えることも可能です。マウスピースは取り外し式の装置であり、お手入れしやすい点もメリットといえるでしょう。マウスピース矯正のデメリットとしては、ワイヤー矯正よりも適応範囲が狭い点が挙げられます。矯正の治療にかかる期間は、ワイヤー矯正同様2~3年程度です。

歯並び矯正にかかる費用

医療費

最後に、歯並び矯正にかかる費用について簡単にご紹介します。

ワイヤー矯正にかかる費用

ワイヤー矯正にかかる費用は、80~150万円程度です。費用に大きな開きがあるのは、そもそも歯科矯正が自由診療であり、歯科医院によって料金設定も大きく異なっているためです。また、選択した装置によってはオプション料として費用が加算されるため、場合によっては150万円以上かかることもあります。

マウスピース矯正にかかる費用

マウスピース矯正の代名詞ともいえるインビザラインは、80万円程度で受けられることが多いです。インビザラインは、矯正方法がシステム化されており、費用に関しても全国で共通していることが多いです。とはいえ最近では、部分矯正に対応したインビザラインなど、治療の選択肢も増えてきており、矯正にかかる費用もケースバイケースといえるでしょう。一般的には、ワイヤー矯正より安い費用で歯並び矯正できることが多いです。

まとめ

このように、悪い歯並びは基本的に自力で治すことはできません。自力で歯並びを良くしようとすると、かえって歯並びが悪くなったり、歯や歯ぐきに炎症を引き起こしたりすることもあるため、絶対に行わないようにしてください。

歯並びの乱れを治したいという方は、何よりもまず矯正相談を受けることをおすすめします。矯正の歯医者であれば、そもそも矯正治療が必要なのかどうか、必要であればどのよな方法が適しているのかなど、適切なアドバイスをすることができます。

自宅での歯周病の治し方はある?歯周病ケアを意識した歯磨き法を紹介

歯周病は、日本人の成人の約8割がかかっているといわれている病気です。“日本人の国民病”とも呼ばれることがあるくらい、発症率の高い病気なので、誰もが注意をしなければいけません。また、歯周病は一度かかると治りにくい、治したとしても再発しやすい病気であり、その症状に気付いたらすぐ対処することが重要といえます。そこで気になるのが「歯周病は自宅で治すことはできるかどうか」ですよね。ここでは、自宅での歯周病の治し方について、そのことも含めて詳しく解説します。

歯周病治療を自宅で出来ない理由

歯石

結論からいうと、歯周病を自宅で治療することはできません。それは歯周病の主な原因が歯石(しせき)だからです。

歯周病菌は歯石を住みかとして活動する

歯周病菌は、ツルツルとしたきれいな歯面に定着することはできません。そこに歯垢(プラーク)や歯石といった汚れが付着していて初めてお口の中にとどまることができるのです。これらはいわゆる“細菌の温床”となる物質ですね。

歯石は歯科医院でなければ取り除けない

プラークである歯垢は、自宅でのブラッシングで取り除けますが、歯石はそうはいきません。唾液による石灰化作用で文字通り石のように硬くなった歯石は、歯ブラシでいくらブラッシングしても除去できないのです。歯周病治療が自宅で行えない主な理由がこれです。

市販のスケーラーで除去できない?

歯科医院では、歯石をスケーラーと呼ばれる器具で除去します。皆さんも一度は歯科衛生士からスケーリング(歯石除去)という処置を受けたことがあるかと思います。先端が鋭利なスケーラーを使って歯や歯茎の溝に形成された歯石をガリガリと削り落とす処置であり、専門家でなければ安全に歯石を除去できない点にご注意ください。間違っても市販のスケーラーを使って自己流に歯石取りを行うようなことは避けてください。

歯周病を治せる洗口液はある?

洗口液

ドラッグストアなどには、「歯周病に効果がある」と謳っている洗口液(うがい薬)が販売されています。もしかしたら今現在、そうした商品を習慣的に使っている方もいらっしゃるかもしれませんね。そうした洗口液で歯周病を治すことはまず不可能であることを知っておいてください。

歯周病の予防効果はある

歯周病に効果がある洗口液は、基本的に「予防」に適した商品だとお考え下さい。洗口液でお口をゆすぐことによって、薬液が口腔内全体へと行き渡り、細菌の活動を抑えます。ある程度であれば、殺菌効果も期待できます。

ただし、それはあくまで一時的な作用です。お口の中に形成されているプラークや歯石を除去する効果はないので、すぐにまた細菌が増えていきます。洗口液に頼って歯ブラシによるブラッシングを怠れば、歯周病の症状はどんどん進行していくことになります。ですから、洗口液は歯周病の治療ではなく、予防に活用するのが正解といえます。

歯磨き粉のイラスト

歯周病を治せる歯磨き粉はある?

市販の歯磨き粉にも「歯周病に効く!」と謳っているものがありますが、これもまた歯周病の治療には結びつきません。

炎症を抑える効果は期待できる

市販の歯磨き粉で歯周病治療を強調している商品は、主に薬用成分による炎症反応を抑制する効果は期待できます。歯茎の腫れを少し抑えることで、歯周病の症状が改善したように感じますが、これもまた一時的なものです。そもそも市販の歯磨き粉に効果の強い薬用成分を配合することは許されていないので、歯周病を根本から治すことも不可能です。また、歯磨き粉によってプラークは除去できても、歯石は取り除けません。そういう意味では、進行した歯周病に効果は見込めないものの、まだ歯周病を発症していない人には、予防効果が期待できます。歯磨き粉には歯周病菌の繁殖を抑える作用もあるからです。

歯周病を治せる塗り薬や軟膏はある?

「歯周病を治せる!」という触れ込みで販売されている塗り薬や軟膏も歯周病を根本から治すことは不可能です。繰り返し述べているように、歯周病は細菌感染症であり、歯石が残存している限り、細菌も繁殖し続けるからです。とはいえ、塗り薬や軟膏に関しては、洗口液や歯磨き粉よりも薬としての効果は少し高くなっています。とりわけ歯肉(しにく)の炎症反応を抑える消炎作用は、それなりの効果が期待できます。ただし、一時的な効果であり、進行した歯周病にはほとんど意味がないともいえます。ですから、自宅で軟膏による治療を続けたとしても、歯周病の症状は進行していくことでしょう。

歯周病はアルコールで除菌出来る?

アルコール消毒液

歯周病は細菌による感染症であり、アルコールでお口の中を除菌すれば完治させられそうなものですよね。確かに、70%以上のアルコールを長時間お口の中に含ませれば、多くの細菌を殺すことはできますが、歯ぐきの細胞も死んでしまうことでしょう。これはとても危険な行為なので絶対に行わないようにしてください。お口の中は手足の皮膚以上にデリケートであり、刺激性の強い薬剤を作用させることはおすすめできません。

歯周病を治せる抗生物質(抗菌薬)はある?

抗生物質

歯周病は、歯肉に歯周病菌が感染することで発症する病気であり、細菌感染症である以上、抗菌薬が高い効果を示しそうなものですよね。これもまた勘違いされやすいポイントなのですが、抗菌薬だけで歯周病を治療することは不可能です。繰り返しにはなりますが、お口の中にプラークや歯石がある限り、細菌が繁殖し続けるので、抗菌薬を使ったとしても一時的な効果しか見込めません。もちろん、歯周病の症状も改善することはありますが、あくまでそれも一時的です。

歯科医院の治療では抗菌薬を併用することがある

実は歯科医院で歯周病治療を行う際には、抗菌薬を使うこともよくあります。具体的には、歯周ポケットの中などに薬剤を塗布して、抗菌作用を期待するものです。歯科医師が取り扱うため、比較的高い抗菌作用が期待できますが、それだけで歯周病を完治させるのは難しいです。歯科医師はそれを承知の上で抗菌薬を治療に併用している点にご注意ください。

歯周病を意識した歯磨き法

歯磨き

ここまで、歯周病は自宅では治せない点をわかりやすく解説してきましたが、その症状を和らげたり、予防したりすることは可能です。その際、重要となるのが毎日行う歯磨きです。歯周病を意識した正しいブラッシング法を身に付けることで、歯周病の改善および予防につなげることができます。

歯周ポケットを意識したブラッシング

歯と歯ぐきの間の溝を「歯周ポケット」といいます。このポケットには、プラークや歯石がたまりやすく、細菌繁殖の温床となりがちです。歯を磨く際には、この歯周ポケットに毛先を挿入することをしっかり意識してください。歯面に対して歯ブラシを45度に傾けることで、毛先がスムーズに歯周ポケットへと入っていきます。この時、強い力で磨きすぎると歯肉を痛めることになるため、やさしく丁寧にブラッシングするよう心がけましょう。

歯ぐきから出血しても歯磨きは行う

歯肉炎を患っていると、ブラッシングの際に歯肉から出血することがあります。歯ぐきに炎症反応が生じているからです。お口の中から血がでることは日常的にあまりないことなので驚かれる方も多いですが、それでブラッシングをやめてしまうようなことがあってはいけません。

出血するからといって歯磨きをやめてしまうと、歯周病の状態がどんどん進行していきます。もちろん、出血する箇所をゴシゴシと強くブラッシングしてはいけませんが、適切な方法で磨かないと、プラークや歯石が形成され、細菌の活動も活発化していってしまうのです。そのため歯ぐきからの出血が認められる場合でも、歯周病菌をしっかり除去できるようやさしく丁寧に歯磨きしていきましょう。

まとめ

このように、薬局やドラッグストアには、歯周病に効果がある製品がたくさん並んでおり、歯周病は自宅でも治せると勘違いされがちですが、実際はそうではありません。歯周病を治すためには、歯科医院での治療が不可欠です。そのため、歯ぐきや出血、歯がグラグラするなどの症状が現れた場合は、自宅で治そうとはせず、すぐに歯科医院を受診しましょう。歯周病治療の開始が遅れれば遅れるほど、症状も進行して最終的には歯を失うことにもなりかねません。

スケーリングとは?主な種類・効果・注意点を解説

歯科医院のメンテナンスや歯周病治療では「スケーリング(歯石取り)」と呼ばれる処置を行うことがあります。日常ではあまり耳にしない言葉なので、初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんね。ここではそんなスケーリングの主な種類や効果、注意点などをわかりやすく解説します。

スケーリングとは

歯石

歯石を取る処置

スケーリングとは、歯の表面に形成された歯石を除去する処置です。歯石は歯垢が硬くなった物質で、歯ブラシによるブラッシングや歯のクリーニングでは落とすことが困難です。歯石取りであるスケーリングなら、効率良く歯石を取り除けます。

スケーラーという器具を使う

スケーリングでは、スケーラーという器具を使って歯石を取ります。最も標準的なのは手で動かす手用スケーラーで、その他にも超音波スケーラーやエアスケーラーなどもあります。それぞれ形態や取り扱い方法、期待できる効果などが異なりますので、次の章で詳しく解説します。

スケーリング(歯石取り)の種類

スケーラー

歯石取りは、処置を施す部位によって2つに大きくわけることができます。それは狭い意味での「スケーリング」と「ルートプレーニング」です。

歯茎より上の歯石はスケーリング

私たちの歯は、お口の中に露出している部位を歯冠(しかん)、歯茎の中に埋まっている部位を歯根(しこん)といいます。スケーリングは、基本的に歯冠部に付着した歯石を取る処置を指します。ただし、歯石取りを総称してスケーリングと呼ぶこともある点にご注意ください。

歯茎より下の歯石はルートプレーニング

歯茎に埋まっている歯根面の歯石は、ルートプレーニングによって取り除きます。ルートとは歯根を意味する言葉で、プレーニングは滑沢という意味です。つまり、歯根面の歯石を取り除いて、滑らかにするのがルートプレーニングなのです。

スケーラーの主な種類

種類①手用スケーラー

手用スケーラーは、文字通り手で動かす器具です。一見すると歯科用の探針と同じように見えますが、先端の刃の部分が鋭くとがっています。刃物と同じようによく切れるので、使用方法には十分な注意が必要です。そんな手用スケーラーの刃の部分は十数種類あり、それぞれで適した部位が異なります。前歯から奥歯まではもちろんのこと、歯冠と歯根の両方に対応できるのも手用スケーラーの利点といえます。

種類②超音波スケーラー

超音波スケーラーは、器具の先端から超音波を発生させて歯石を取る器具です。手用スケーラーのように歯石を削り取るのではなく、衝撃波によって歯石を破壊するのが特徴です。非常にパワーが強いことから、施術中に痛みや不快感が生じやすい傾向にあります。その反面、歯石を取り除く効率は極めて高いです。超音波による歯石除去なので、スケーラーの先端は基本的に歯に接触しません。そんな超音波スケーラーは、歯冠部に付着した歯石の除去に適応されます。

種類③エアスケーラー

エアスケーラーは、圧縮空気によって振動する器具です。歯石を取る仕組みは超音波スケーラーとほぼ同じですが、パワーは比較的弱くなります。振動数も少ないので、超音波スケーラーほどの効率性は期待できません。その分、施術中の刺激が弱くなるため、痛みや不快感も生じにくいです。エアスケーラーの適応も歯冠部が基本となります。

スケーリングの効果

歯が健康なイメージ

歯の表面に付着した歯垢・歯石を取り除くスケーリング・ルートプレーニングを実施すると、次に挙げるような効果が期待できます。

効果①お口のトラブル防止

歯垢・歯石が溜まらない

スケーリングでは、安全な形で歯石を取り除くことができます。施術後は歯の表面が滑らかになり、歯垢や歯石の再付着も防止しやすくなります。

虫歯・歯周病のリスクが下がる

虫歯菌や歯周病菌は、歯垢・歯石のような汚れが存在していないと、歯に定着することができません。スケーリングによって汚れが一掃されれば、細菌が住みにくい環境が整い、虫歯・歯周病のリスクも低下します。

歯茎が下がらない

歯石が溜まっている状態を放置すると、徐々に歯茎が下がっていきます。専門的には「歯肉の吸収」と呼ばれる現象です。これは歯周病菌が歯茎に炎症を起こすことで生じる症状なので、歯石を取り除けばそのリスクも抑えられます。

効果②口臭予防

スケーリングの効果として意外に見通されがちなのが「口臭予防」です。口臭の原因となる物質は、歯垢・歯石で繁殖した歯周病菌が産生します。それらをスケーリングで一掃してしまえば、自ずと口臭も改善、もしくは予防できます。

スケーリングの注意点

注意点

ここまで、スケーリングの手順や効果、スケーラーの種類などについて解説してきましたが、スケーリングで歯石除去する際には注意すべき点もいくつかあります。スケーリングは、歯のクリーニングとは異なる点が多々ある処置なので、歯石の除去に伴うリスクを十分に知っておくことが大切です。

注意①知覚過敏

皆さんは、象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)をご存知でしょうか?冷たいものがしみる現象で、おそらく皆さんも過去に一度は経験したことがあるかと思います。いわゆる知覚過敏は、一時的な症状にとどまることが多いですが、場合によっては慢性化します。そんな知覚過敏は、スケーリングによって生じることもあるのです。

歯石がなくなって歯根面が露出する

スケーリングで知覚過敏の症状が現れる原因は、歯根面の露出です。歯周病などによって歯茎が下がると、歯根の部分が露出します。歯根面にはエナメル質が存在せず、象牙質がむき出しとなっているため、そこに冷たいものなどが触れると知覚過敏が生じます。つまり、歯石は、歯根面を刺激から守る役割を担っていることがあるのです。それでも歯石は悪影響の方が大きい物質なので、スケーリングによって早急に取り除くことが必要です。

注意②出血

深くなった歯周ポケット内の歯石を取る場合は、歯茎からの出血を伴うことがあります。これは歯石だけではなく、汚染された歯茎の組織なども一塊として取り除く必要があるからです。そのため、ルートプレーニングをする際には、必ず事前に麻酔を施します。

注意③歯茎が下がって見える

スケーリングやルートプレーニングを行った後は、処置前と比較すると歯茎が下がったように見えることがあります。お口の健康のために受けた処置なのに、どうして症状が悪化するのか、疑問に思われる方も多いでしょう。その点はご安心ください。多くのケースでは、実際に歯茎が下がったのではなく、下がったように見えるだけです。これまで歯石によって覆われていた歯根面がスケーリングによって露出することで、歯茎が下がったように見えることがあります。

注意④歯と歯の隙間が目立つ

歯石が歯と歯の隙間に付着しているケースも、スケーリング後に見た目が変化することがあります。具体的には、歯と歯の隙間が目立ちようになります。これもスケーリングによって歯と歯の隙間が実際に広がったわけではないのでご安心ください。これまで歯と歯の隙間を塞いでいた歯石が取り除かれたことで、見た目に変化が現れただけです。

市販のスケーラーの使用について

スケーラーは、薬局やドラッグストアでも購入でき、自分自身でスケーリングすることも可能ですが、歯科医師からは推奨することはできません。スケーラーは、取り扱い方法を誤ると、歯や歯茎に深刻なダメージを与えるからです。そのため、スケーリングは基本的に歯科医院で受けるのが望ましいです。

まとめ

このように、歯石取りであるスケーリングは、歯がきれいになるだけではなく、虫歯や歯周病の予防や口臭の改善にまで寄与しますので、定期的に歯科医院で受けるようにしましょう。

適切な歯石取りの頻度とは?歯科医院で行った方がよい理由も解説

お口の中にたまる汚れとしては「歯垢(しこう)」が有名です。歯垢はプラークとも呼ばれるもので、その中には無数の細菌が含まれており、虫歯や歯周病の原因となります。そんな歯垢が石のように硬くなったものを「歯石(しせき)」といいます。歯石は取り方に注意が必要で、放置すると歯周病のリスクも上昇させます。そこで今回は、歯石の取り方とおすすめ頻度、自宅と歯医者どっちで取ったら良いのか、わかりやすく解説します。

歯石が発生する原理

歯石

歯垢の石灰化により発生

歯石は、プラークである歯垢が石灰化(せっかいか)することで形成されます。石灰化とは本来、歯に起こる現象なので、どうしてプラークで起こるのか不思議に思われる方もいらっしゃることでしょう。そこでまず石灰化現象について、わかりやすく解説します。

リン酸カルシウムの沈着=石灰化

私たちの唾液の中には、リン酸カルシウムが豊富に含まれています。これは歯や骨の主な成分であり、それらの組織を健康に保つ上では欠かすことができません。ですから、リン酸カルシウムおよび石灰化現象そのものは、決して悪いものではないということを知っておいてください。問題なのは、それが汚れの一種であるプラークで起こってしまう点です。

プラークは歯面にへばりつく性質がある

プラークが厄介なのは、歯の表面にへばりつく性質がある点です。口腔ケアによってしっかりと取り除かないと、唾液による石灰化作用を受けて、石のように硬くなってしまいます。逆にいうと、プラークが溜まっていなければ、歯石が発生することもないのです。

歯石が溜まる原因

口腔ケアグッズ

口腔ケアが不十分

歯石が溜まる主な原因は、不十分な口腔ケアです。日頃から正しい方法で歯磨きしていないと、プラークが溜まり、歯石が形成されます。歯石は歯ブラシによるブラッシングでは落とせない汚れなので、一度形成されてしまうと溜まっていく一方となります。

唾液の石灰化作用が強い

石灰化の材料となるリン酸カルシウムは、唾液に含まれています。その量には個人差があるため、同じようにプラークが溜まっていても、歯石が形成されやすい人とされにくい人がいるのはそのためです。唾液の分泌量が多い場合も、歯石が付着・形成されやすくなることがあります。

歯石を放置すると起こる症状

歯石を放置すると起こる症状

歯周病にかかりやすくなる

歯石を放置する最も大きなリスクは、歯周病の発症です。歯と歯茎の境目や歯周ポケットの中に歯石が形成されると、そこが歯周病菌の住みかとなります。歯周病菌が繁殖し、歯茎に感染すると、いよいよ歯周病を発症します。歯周病では歯茎の腫れやブラッシング後の出血などの症状がみられるようになります。もうすでに歯周病を発症している場合は、症状や病状がさらに進行していくため要注意です。

虫歯にかかりやすくなる

歯石は、虫歯菌の温床にもなります。歯石を放置すると、さらにその上にプラークが付着し、虫歯菌がどんどん増えていきます。その結果、歯に感染し、エナメル質や象牙質を溶かしていくのです。

口臭が強くなる

私たちのお口の中は、必ず何らかの臭いがします。どんなに口腔ケアを徹底していても、生理的口臭(せいりてきこうしゅう)と呼ばれる臭いはゼロにできないからです。ただ、歯垢や歯石が溜まっていると、生理的口臭とはまた違った臭いが発生します。それはお口の中の細菌が食べかすなどを分解する過程で生じるガスに由来します。つまり、歯石を放置すると、口臭にまで悩まされることとなるのです。

歯石取りを歯科医院で行った方がよい理由

歯石取りを歯科医院で行った方がよい理由

歯石は歯ブラシで取り除けない

歯石は歯ブラシで取り除くことができません。市販の歯ブラシでゴシゴシと強く磨いても、石のように硬い歯石には全く効果がないのです。そこで有用なのが歯科医院で受けるスケーリング(歯石除去)です。

スケーリングとは?

スケーリングは、スケーラーと呼ばれる専用の器具を使って歯石を削り取る処置です。先端が刃物のように鋭き研がれたスケーラーなら、石灰化した歯垢も効率良く削り落せます。歯科医院では状況に応じて、超音波で汚れを落とすスケーラーを使うこともあります。

市販のスケーラーには要注意

実は、スケーラーは薬局やドラッグストアなどで販売しています。市販されているのですから、自分で歯石を取っても大丈夫なのでは?と思われるかもしれませんが、それはとても危険なことなので十分注意してください。歯科医師や歯科衛生士といった国家資格を持つ専門家でなければ、歯や歯茎を傷つけるおそれがあるからです。そういう点においても、歯石取りは歯科医院で行った方がよいといえます。

適切な歯石取りの頻度

3~6ヶ月に1回が適切

歯石取りの頻度は、3~6ヶ月に1回程度が適切です。期間に幅があるのは、お口の状態によって歯石の形成速度も大きく変わるからです。歯石の形成が極端に早い人は、2ヶ月に1回程度の頻度で歯石を取ってもよいです。

ちなみに、3~6ヶ月というのは、いわゆる定期検診・メンテナンスを受ける適切な頻度でもあります。今現在、お口の中に特別な問題がないのであれば、歯石取りも定期検診と一緒に受けるのがよいでしょう。歯医者の定期検診では、スケーリングだけでなく、歯のクリーニングやブラッシング、フッ素塗布なども受けることができます。過去に歯周病の治療を受けていたり、病状が安定している状態であったりする場合は、症状の進行を抑えるためにも定期検診・メンテナンスが重要となります。

歯石取りの費用

治療費

歯石取りは保険が適用されます

歯石取りは、基本的に保険が適用されます。3割負担で3,500円程度の支払いとなります。ただし、保険を適用するためには、歯石取りと同時に、虫歯検査と歯周病検査も行わなければなりません。歯石取りだけを受けるとなると、保険の適用外となり、全額自己負担となる点にご注意ください。

自由診療の歯石取りとは?

自由診療の歯石取りとは、PMTC(専門家による歯のクリーニング)と呼ばれる処置です。
歯のクリーニングでは、歯石や歯垢、ステインの除去を徹底的に行います。虫歯検査や歯周病検査を受ける必要もありません。そんな自由診療の歯石取りは、10,000円前後で受けることができます。

歯周病治療における歯石取りと費用

歯石取りは、歯周病治療の一環としても行われます。いわゆる“歯周基本治療”は、歯のお掃除と歯石取り、ブラッシング指導などを組み合わせて進みていくものです。いずれも歯周病菌が繁殖しにくい環境を整えるための処置で、それでも症状が改善されない場合は、歯周外科治療へと移行します。
ちなみに、歯周病治療にかかる費用は、ケースによって異なるため一概にはいえません。

歯科医院でブラッシング指導を受けられる

歯石取りを歯科医院で行った場合、ブラッシング指導も併せて受けることができます。
歯磨きというのは、ついつい自己流になりがちなので、定期的に歯科衛生士によるトレーニングを受けることが推奨されます。歯ブラシの正しい選び方や使い方、歯垢・歯石を溜めない方法などを専門家から学びましょう。

まとめ

このように、歯石取りは3~6ヶ月に1回くらいの頻度で行うのが適切です。自分で行うと歯や歯茎を傷つけるおそれがあるため、歯科医院で受けるのが良いでしょう。
歯や歯茎をはじめとしたお口全体の健康維持・増進のためにも、歯科医院での歯石取りを定期的に受けましょう。そうすれば、虫歯や歯周病も効率良く予防できますよ。

歯周病は臭う?自分で気づかない歯周病口臭はどうやって治す?

マスクをしている時など、日常のふとした瞬間に自分の口臭が気になることはありませんか?あるいは、家族や友人に、口臭を指摘されたことがある方は、お口の中に何らかの異常があるかもしれません。とくに歯周病は口臭の原因となりやすいため要注意です。ここではそんな歯周病によって口臭が発生する仕組みや自覚しにくい理由、口臭を改善する方法などをわかりやすく解説します。

歯周病で口臭が発生する原因

歯周病で口臭が発生する原因

口臭の原因としてまず頭に思い浮かぶのは「虫歯」かもしれませんね。虫歯になると歯に黒い穴があきますし、神経が細菌に分解されてボロボロにもなります。実際、重症化した虫歯では、腐敗臭が生じることもありますが、長い間放置しなければお口の臭気もそこまで強くはなりません。一方、歯周病は、重症化する前に強い臭気を放つようになります。

歯周病菌がニオイのガスを作り出す

歯周病によって口臭が発生するのは、「メチルメルカプタン」と呼ばれるガスのせいです。歯周病菌は、食べかすなどに含まれるたんぱく質を分解する過程でこのガスを作り出すのですが、ニオイがとても強烈なのです。一般的には“腐った玉ねぎのようなニオイ”と表現されます。これは重症化せずとも生じる歯周病の症状です。

歯周ポケットが深くなるとニオイがさらに強くなる

歯周病が進行すると、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットがどんどん深くなります。歯周ポケットの中は酸素が少ない環境であるため、酸素がたくさんある環境を好まない歯周病菌が活動を活発化させてしまいます。しかも、ブラッシングしにくい部位でもあるので、汚れがたまっていきメチルメルカプタンの産生量も増えていきます。

歯槽膿漏になると口臭が悪化する

歯槽膿漏(しそうのうろう)とは、歯の根元のあたりに膿の塊ができる病気です。進行した歯周病で現れる症状であり、膿の塊が破けると、さらに強烈な臭いを放つようになります。歯周病がそこまで進行してしまうと、口臭よりも歯や歯茎の健康状態の方が深刻となるため、早急に治療を受けることが必要です。

自分では口臭に気づかない理由

自分では口臭に気づかない理由

ヒトは臭いに慣れるのが早い生き物

他人の口臭はとても気になるものですが、自分の口臭は案外、気付きにくいものです。これは、私たち人間が臭いに慣れやすい生き物だからです。例えば、歯周病によって強い口臭が生じるようになっても、常にその臭いを嗅いでいる状態となるため、すぐに慣れてしまうのです。これは生き物として生存していくために有利な能力といえます。なぜなら、大きな害とならない臭いにいつまでも気を取られていたら、その他のことに集中できなくなりますよね。

マスクをすると口臭が気になるのはなぜ?

マスクをすると、自分の口臭が気になる方は少なくありません。これは自分が吐いた息が直接、鼻に入ってくるからです。とくに、お口の中に歯石が溜まっていて、歯周病を発症しているケースでは、その臭いも顕著となります。マスクを外した時とのギャップも大きくなり、改めて自分の口臭を自覚するようになります。もちろん、マスクをしている時の口臭の原因が歯周病以外の場合も多々ありますので、あくまでひとつの可能性として捉えておいてください。いずれにせよ、マスクで口臭が気になる場合は、まず歯医者さんに相談してみましょう。

歯周病の症状

歯周病の症状

歯周病は“自覚症状に乏しい病気”といわれますが、実際はいろいろな症状が現れます。

歯茎が赤く腫れる

歯周病で始めに現れる症状は「歯茎の腫れ」です。歯石や歯垢を住みかとして繁殖し、歯茎に感染することで赤く腫れ上がらせます。専門的には炎症反応と呼ばれるものです。専門家からするとわかりやすい症状なのですが、歯茎はもともと腫れているような見た目をしていることから、一般の方では自覚しにくいのが現実です。

歯磨きのときに歯茎から出血する

歯茎が腫れると、ちょっとした刺激でも出血を起こすようになります。歯磨きをしている最中や歯磨きをした後に歯茎から出血している場合は、歯周病を発症している可能性が高いです。

口臭が強くなる

歯周病菌がメチルメルカプタンというガスを産生して、口臭が強くなります。自分では気付きにくいですが、周囲の人は気付きやすい強烈な臭いです。

歯茎に膿の塊ができる

重症化した歯周病では、歯茎に膿の塊ができます。膿が漏れ出ると、極めて強い臭気を放つようになります。

歯茎が下がる

歯茎が下がる・歯茎が痩せるといった症状も歯周病ならではです。人によっては歯が伸びたようにも見えます。いずれも歯周病によって歯茎が破壊された結果です。

歯がグラグラ動く

歯がグラグラ動き出したら、いよいよ歯周病も末期です。歯茎や顎の骨が破壊されて、歯を支えることが難しくなってきているのです。そうした症状が認められる歯周病は、抜歯が第一選択となりやすいです。

歯周病の口臭対策

歯周病の口臭対策

歯周病による口臭は、周囲に迷惑をかけることも多いため、しっかり対策することが大切です。具体的には、次に挙げる対策法を実践しましょう。

対策1歯周病治療を受ける

歯周病による口臭を改善、あるいは予防するのであれば、歯周病治療を受けるのが一番です。歯周病は、お口の臭いの根本的な原因となっているからです。歯周病治療を早期に受けることで、その進行が止まり、歯周病による口臭の発生も防げます。ちなみに、歯周病は以下の方法で治療します。

歯のクリーニング

歯周病菌の温床となる歯垢は、歯のクリーニングできれいに落とすことができます。もちろん、プラークというのはセルフケアでも除去できますが、どうしても磨き残しが生じます。そんなしつこい歯の汚れは、プロフェッショナルケアに任せましょう。

スケーリング(歯石除去)

石のように硬い歯石は、スケーリングで取り除けます。スケーラーと呼ばれる専用の器具を使って、丁寧に削り落しておきます。

ブラッシング指導

歯周病治療には、歯科医衛生士によるブラッシング指導も含まれます。日頃から正しい方法で歯磨きできるよう、専門家のアドバイスを聞きましょう。

対策2最低1日2回は歯磨きをする

毎日の歯磨きは、正しい方法でブラッシングするだけでは不十分です。回数も十分にこなさなければ、歯垢・歯石が堆積します。最低でも1日2回は歯磨きするようにしましょう。理想をいえば、食事の度に歯磨きするのが最も効果的です。

対策3歯間ブラシ・デンタルフロスを使う

歯と歯の間の汚れは、歯ブラシで取り除けません。必ず歯間ブラシやデンタルフロスを活用しましょう。歯間部のプラークまで取り除くことで、細菌の繁殖もしっかり抑えられます。

対策4薬効成分の入った歯磨き剤・洗口液を使う

ブラッシングの際に歯磨き剤を使用するのであれば、薬効成分が入ったものを選びましょう。歯周病菌の活動を抑える作用が期待できる歯磨き剤がおすすめです。洗口液を併せて使うことで、歯周病予防の効果が高まります。

対策5定期的に歯のクリーニングを受ける

3ヶ月に1回程度の頻度で、歯科医院のクリーニングを受ければ、歯周病の進行を抑えたり、予防したりすることが容易になります。歯のクリーニングでは、セルフケアでは落としにくい歯周ポケット内の汚れまできれいに除去できますよ。

まとめ

このように、歯周病にかかると口臭が強くなる傾向にあります。歯周病による口臭は本人が感じているよりも強い臭いを発しているため、十分に注意しましょう。「最近、口臭がきつくなったかも」「家族に口の臭いを指摘された」場合は、まず一度、歯科医院を受診しましょう。歯周病が原因となっていたら、すぐに治療を開始するのが望ましいです。