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神経を抜いた歯が痛い原因とは?その治療法を紹介

重症化した虫歯では、歯の神経を抜く「抜髄(ばつずい)」が行われます。細菌に感染した歯の神経は保存することが難しいことに加え、そのまま放置すると歯痛がどんどんと強まっていってしまうからです。けれども、症例によっては神経を抜いた歯が再び痛くなることもあります。神経が存在していないのになぜ痛むのか、不思議に思われていることでしょう。ここではそんな神経を抜いた歯が痛い原因や治療法について、わかりやすく解説します。

神経を抜いた歯が痛くなる場合の症状

食事をすると歯が痛む

神経を抜いた歯が痛い、といってもその症状はケースによって少し異なります。抜髄後の痛みに悩まされている方は、どの症状に当てはまるかチェックしてみてください。

症状①食事すると痛い

食事の際、食べ物を噛んだ時に歯やその周囲に痛みを感じることがあります。一般的な虫歯は、安静時にもジンジンと痛むので、症状が少し異なるのはおわかりいただけるかと思います。噛んだ時の痛みも違和感程度にとどまる場合や鋭い痛みが走る場合など、個々人で大きく変わってきます。

症状②歯茎の腫れ

神経を抜いた歯の周囲の歯茎に腫れが認められることがあります。歯茎そのものに痛みを感じることもあれば、口内炎のような膨らみがあったり、違和感が生じていたりすることもあります。これも症状はケースによってバリエーションがあります。

症状③歯に違和感がある

強い痛みは感じないけれど、歯に違和感がある場合も何らかの異常が疑われます。歯の神経は抜いているはずなのに違和感・不快感が生じるのであれば、一度歯科医院で検査を受けましょう。

神経を抜いた歯に痛みが出る原因

歯が痛くなる原因

神経を抜いたにもかかわらず、歯痛や歯茎の違和感・不快感などが生じるのであれば、次に挙げるような原因が考えられます。

原因①歯が割れている

噛んだ時に歯に鋭い痛みが生じる場合は、歯根破折(しこんはせつ)が疑われます。外傷などで歯に強い力が加わったり、神経を抜いた後に設置した土台によって、歯根に過剰な負担がかかったりした場合に起こる症状です。歯の割れ方によもよりますが、基本的には抜歯が適応されます。そのまま放置すると歯茎や歯槽骨に炎症を引き起こし、病態のさらなる悪化を招いてしまいます。

原因②噛み合わせが合っていない

嚙み合わせが合っていないと、神経を抜いた歯でも痛みが生じることがあります。これは嚙み合わせの異常によって、治療した歯に過剰な負担がかかり、歯根膜などの歯周組織に刺激が加わるためです。歯そのものが痛いのではなく、歯の根っこの先や歯周組織の部分で痛みを感じています。

原因③歯周病が進行している

神経を抜いた歯は、虫歯による歯痛が生じることはありませんが、歯周病による痛みは発生します。虫歯治療後も歯や歯周の衛生状態が悪い場合は、歯周病を進行させてしまいます。その結果、歯茎に炎症が起こって痛みや腫れなどの症状を引き起こすのです。虫歯による痛みとはかなり種類が異なるものなので、比較的判別しやすいことかと思います。

原因④根管治療(神経の治療)が不十分

歯の神経を抜く抜髄処置のあとには、歯の根っこの内部をきれいにお掃除する根管治療が必要となります。根管内をリーマーやファイルといった器具を使って形成・清掃し、薬剤を用いて消毒・殺菌します。そうした根管処置が不十分だと、残存した細菌が再び活動を始め、炎症反応などを引き起こすようになります。これもまた神経を抜いた歯が痛む主な原因のひとつといえます。根管治療はもともと難易度の高く、保険診療での成功率は50%程度といわれています。そのため、根管治療が不十分で歯の痛みが生じたとしても、頑張ってもう一度、歯の根の中をきれいにお掃除しましょう。

原因⑤歯の根の中に膿が溜まっている

歯の根の中に膿が溜まっている場合も、歯に痛みを感じることがあります。歯根内に病変が残っているのですから、痛みが生じて当然といえば当然ですよね。ただし、痛みを感知しているのは歯の神経ではなく、歯根膜などの歯周組織です。もちろん、歯の神経の取り残しがある場合は、通常の歯痛が生じます。いずれにせよ、根管内をきれいにお掃除する処置が必須となります。

ちなみに、歯の根の中の膿をそのまま放置すると、根尖孔(こんせんこう)と呼ばれる歯の根っこの先の穴からが細菌などが漏れ出て、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)という病気を発症します。これもまた神経が死んだ歯の痛みにつながるため要注意です。

神経を抜いた歯が痛い場合の治療法

歯科医の解説

神経を抜いた歯が痛い場合の治療法には、いくつかの選択肢があります。

治療法歯髄再生治療

歯髄再生療法とは、歯の神経と血管から構成される歯髄(しずい)を医学的な方法で再生させる先進医療です。とても高度な知識や技術、先進の医療設備を必要とすることから、どの歯科医院でも行えるものではありません。

◎歯髄再生治療の手順について

歯髄再生療法では、親知らずのような必要性の低い天然歯を抜いて、そこから歯髄の元となる幹細胞を採取します。歯が採り出した細胞は、1ヶ月ほどかけて培養し、移植に活用できるようにします。培養した細胞を根管内に留置すると、神経や血管の再生が促進され、歯髄の機能も回復していきます。ちなみに、子どもであれば親知らずではなく、乳歯から歯髄幹細胞を採取することも可能です。

◎歯髄再生療法のメリット

もうすでに死んでしまった歯の神経を再生させるメリットとしては、痛みや炎症、根管内の膿の形成などの症状を緩和、あるいは防止することが可能となります。やはり、歯髄が生きているということは、歯の健康を保つ上で非常に重要といえるのです。

治療法精密根管治療

根管治療が不十分で再感染や再発によって痛みが生じている場合は、マイクロスコープを用いた精密な根管処置が必要となります。根管というのはとても細く、暗く、複雑に入り組んだ構造を呈しており、標準的な治療ではどうしても盲目的処置になりがちです。歯科用顕微鏡であるマイクロスコープを用いた精密根管治療なら、視野を肉眼の20倍程度まで拡大できるだけでなく、根管内もライトで明るく照らせるため、腐敗した歯髄のような汚染物質の取り残しも少なくなります。その結果、根管内がきれいに清掃され、痛みも自然と消失します。歯周組織の症状も徐々に改善されていくことでしょう。

治療法歯周病治療

抜髄後の痛みが歯周病に由来している場合は、当然ですが歯周病治療が必要となります。歯周組織に痛みや腫れ、膿の塊が形成されている時点で、かなり進行していることが予想されるため、歯周基本治療のみで改善することは困難と思われます。歯茎をメスで切開し、歯根面の歯石を取り除くなどの歯周外科治療も行うことになるでしょう。

治療法抜歯処置

歯根が割れていたり、精密根管治療でも症状の改善が見込めなかったりする場合は、抜歯処置を施すことになります。歯根破折では、ほとんどのケースで歯を抜くことになる点にご注意ください。とくに歯根が垂直的に割れている場合は、手の施しようがないため、抜歯を余儀なくされます。根管治療に関しては、歯を保存するための最後のとりでともいえるものなので、時間が長くかかったとしても、最後まで頑張ってやり切りましょう。その結果、抜歯を選択せざるを得なくなるケースも多々あるのが現実です。

まとめ

このように、歯の神経と血管で構成される歯髄を抜き取ったにもかかわらず、治療後に歯が痛むようなことがあれば、歯根破折や噛み合わせの異常、進行した歯周病や不十分な根管治療が疑われます。いずれも急を要するような病態であり、そのまま何もせず放置することは絶対におすすめできません。今回ご紹介したような症状が認められる場合は、できるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。

歯の黄ばみの原因とは?取る方法や簡単な予防法を紹介

歯の黄ばみは、口元の審美性を大きく低下させるため、何とか改善したいものですよね。歯の黄ばみは自分で取るに越したことはありませんが、専門家に処置を任せなければ改善できない場合も少なくありません。ここではそんな歯の黄ばみの原因や取る方法、予防する方法などをご紹介します。

歯の黄ばみの原因

たばこ

私たちの歯は、もともと真っ白ではなく、少しだけ黄色味がかっています。これは半透明のエナメル質を通して、黄色い象牙質が透けて見えているからです。その点を踏まえても、明らかに黄ばんでいる場合は、次の5つの原因が考えられます。

原因①飲食物・タバコ

歯の黄ばみの主な原因は、ステインです。着色汚れとも呼ばれるこの症状は、色素が豊富に含まれた食べ物や飲み物を習慣的に摂取することで生じます。具体的には、コーヒーや紅茶、赤ワインなどを毎日飲むことで、歯の表面に着色性の汚れが付着して黄ばみを生じさせます。タバコの煙に含まれるヤニも同様の症状をもたらすことから、喫煙習慣も歯の黄ばみの原因となります。今現在、歯の黄ばみに悩まされていて、上述したような食習慣や喫煙習慣がある方は、十分にご注意ください。ちなみに、ステインは歯磨きで取り除くことが困難な汚れであり、プロフェッショナルケアで除去してもらう必要があります。

原因②歯の磨き残し

歯の表面に歯垢や歯石が堆積することでも歯の黄ばみが生じます。歯垢は白い物質ですが、食品の色素が浸透すると、黄色く変化します。歯石も同様に黄色くなることがあります。歯垢は歯の表面に付着した細菌の塊であり、その成分のほとんどが水なので、歯ブラシによるブラッシングで容易に取り除けます。歯石は石のように硬い物質なので、歯科医院でなければ取り除けません。

原因③加齢

歯は、加齢によっても黄ばんでいきます。上述したように、私たちの歯はもともと象牙質の色が透過しており、少し黄色味がかっているのですが、加齢に伴ってエナメル質が薄くなると、その症状がさらに強くなります。とはいえ、加齢による歯の黄ばみも若い頃から適切なケアを行うことで、ある程度抑えることは可能です。

原因④薬・怪我

歯の発育期に特定の薬剤を長期間服用すると、歯が黄ばむことがあります。テトラサイクリンという抗生剤がもっとも有名で、その特徴的な症状を「テトラサイクリン歯」と呼んでいます。また、転んだ時に拍子に歯を強打することでも歯が変色することがあります。これは黄ばむというよりは、黒ずむといった方が正確です。

原因⑤生まれつき

先天性の病気の影響で、生まれつき歯が黄ばんでいることもあります。乳歯や永久歯が生えた時点で黄ばみが確認できるので、比較的原因を特定しやすいです。異常が認められたらすぐ歯科医院や病院を受診しましょう。

歯の黄ばみを取る方法

歯のクリーニング

歯の黄ばみを取る方法は、原因に応じて異なります。

方法①クリーニングを受ける

歯の黄ばみの原因や歯垢や歯石、ステインであれば、歯科医院でのクリーニングで取り除くことができます。クリーニングはPMTCとも呼ばれる処置で、電動のブラシと研磨ペーストを用いて、1歯1歯ていねいに汚れを除去していきます。歯の表面に付着した着色汚れであれば、効率良く落とすことが可能です。歯石はスケーリングという処置で除去します。

方法②ホワイトニングを受ける

クリーニングやスケーリングで改善できない歯の黄ばみは、歯質の表面ではなく内部にまで汚れが入り込んでいます。そんなケースで有効なのがホワイトニングです。ホワイトニングでは、過酸化水素や過酸化尿素からなる漂白剤を使用することから、歯の内部に沈着した汚れも化学的に分解・除去できます。ホワイトニングは歯を削る必要がなく、歯質にダメージが蓄積するような処置ではありませんので、繰り返し受けることができます。ですから、一定の間隔でタッチアップすることで、ホワイトニング効果を高めたり、再び着色した汚れを取り除いたりできます。

方法③セラミック治療を受ける

ホワイトニングでも改善できない歯の黄ばみには、セラミック治療がおすすめです。一般的には薬やケガ、先天的な病気に由来する歯の黄ばみが適応対象となります。これらはクリーニングやホワイトニングで黄ばみの症状を改善するのが不可能だからです。

ただし、セラミック治療はクラウンという被せ物を装着する治療法なので、歯を大きく削る必要があります。そのため、歯を削りたくない、歯にダメージを与えたくないという人には、あまりおすすめできません。それでもなお、深刻な歯の黄ばみを改善したいのであれば、セラミック治療を選択しましょう。セラミック治療なら、歯の色だけでなく、歯の形や大きさ、ちょっとした歯並びの乱れなども整えることができます。

歯の黄ばみを自分で取る際の注意点

注意点

歯の黄ばみを自分で取る場合は、次の2点にご注意ください。

注意点①研磨剤配合の歯磨き粉は避ける

歯の黄ばみを自分で取る場合は、研磨剤が豊富に含まれた歯磨き粉を選びがちです。とくに「ホワイトニング歯磨き粉」と呼ばれる製品には、ほぼ確実に研磨剤が配合されていますのでご注意ください。もちろん、歯の表面に付着した汚れを効率良く落とす上で研磨剤は有効なのですが、素人が取り扱うと歯を傷つける恐れが出てきます。

エナメル質はとても硬い物質ですが、意外にデリケートな部分もあるのです。研磨剤が配合されたペーストを使ってゴシゴシとブラッシングしていると、目には見えない無数の傷が付いてしまいます。場合によっては歯が摩耗して、冷たいものがしみる知覚過敏の症状が現れます。そうした理由から、歯の黄ばみを自分で取る場合は、研磨剤が含まれていない歯磨き粉を選ぶようにしてください。

注意点②オーラルケア用品以外は使用しない

インターネット上には、口腔ケアに関するライフハックもたくさん掲載されており、歯の黄ばみの改善方法についても実践してみたいと思える情報が存在していますが、オーラルケア用品以外を使用する方法は避けるようにしてください。例えば、重曹を使った歯の黄ばみの改善方法などは、歯や歯茎にダメージが及ぶ可能性が高く、専門家からはおすすめすることができません。歯や歯茎は繊細な組織なので、歯の黄ばみを自分で取り除く場合も、正しい方法で行うようにしましょう。

簡単な歯の黄ばみの予防法

歯科医の解説

歯の黄ばみは、次の3点を意識するだけでも予防できます。

予防法①着色しやすいものを飲食した後はすぐ歯磨きをする

歯の黄ばみの原因となる「着色しやすい食べ物・飲み物」は、できるだけ口にしないようにしましょう。コーヒーや紅茶を口にしたとしても、飲食後はすぐに歯磨きをすることで、着色を予防することは可能です。出先などで歯磨きが難しい場合は、うがいだけでも行ってください。

予防法②歯ブラシや歯間ブラシで歯を清潔に保つ

歯の黄ばみの始まりは、歯垢の形成・付着です。毎日の口腔ケアで歯ブラシや歯間ブラシを正しく使うことで、歯磨きによる磨き残しをなくしましょう。やはり、歯の着色や汚れの予防では、歯磨きが基本となります。汚れが付着しなければ、常に白い歯を保つことが可能となります。とくに歯間ブラシやデンタルフロスの使用は、ステインの付着予防におすすめです。

予防法③唾液の分泌量を増やす

唾液には汚れを洗い流す自浄作用が期待できます。自分で行う唾液腺マッサージによって、唾液の分泌量を増加させましょう。その結果、歯の表面に汚れがたまりにくくなります。

まとめ

このように、歯の黄ばみの原因は食習慣や喫煙習慣、加齢など人によってさまざまです。歯の黄ばみが気になる方は、まず原因がどこにあるのかきちんと調べましょう。歯科医院なら専門家が正確に診断してくれますよ。歯の黄ばみを改善する治療方法も複数ご提案できますので、お気軽に当院までご相談ください。

詰め物が取れる原因とは?取れた際の注意点や治療法を解説

虫歯治療で歯を削った後には、インレーと呼ばれる詰め物を装着することがあります。詰め物はあくまで人工物なので、時間の経過や不適切な習慣などで取れる場合があるので要注意です。ここではそんな詰め物が取れる原因や取れた際の注意点・治療法をわかりやすく解説します。

詰め物が取れる原因

詰め物は、歯質に装着する際に、専用の接着剤やセメントを使用します。ですから、そう簡単に取れることはないのですが、次に挙げるような3点については十分注意しなければなりません。皆さんの詰め物が取れた場合は、おそらく以下のいずれかに該当するものと思われます。

原因①接着用セメントの劣化

詰め物の装着に使用した接着用セメントは、経年的に劣化していきます。とくに、保険診療で作ったメタルインレーの接着用セメントは、比較的劣化しやすく、詰め物が外れる原因になりやすいです。セメントは詰め物と歯質とをつなぎ合わせているものなので、それが劣化して接着力を失うと、自ずとインレーも外れてしまうのです。

ちなみに、セラミック使用する接着用セメントは、比較的劣化しにくく、長持ちする傾向にあります。そもそも歯質との適合性が高く、劣化しにくい環境にあるため、接着力も保ちやすくなっているのです。

原因②詰め物と歯の間に出来た虫歯

詰め物が取れる原因として意外に多いのが「虫歯の再発」です。詰め物と歯との間に虫歯ができると、歯質が溶かされますよね。その結果、詰め物とぴったり適合しなくなり、やがては外れてしまうのです。

そこで注意しなければならないのが治療後の口腔ケアです。詰め物を装着した歯はもともと虫歯のリスクが高く、適切な口腔ケア方法を身に付けなければ、再感染しても何ら不思議ではないのです。そのため、詰め物を装着したあとも定期的にメンテナンスやプロフェッショナルケアを受けることが大切です。そして何より、正しいセルフケアの方法を身に付ける必要があります。磨き残しが生じるようなブラッシングを行っていては、何度再治療しても虫歯を再発させてしまいます。定期検診でブラッシング指導を受けて、プラークフリーな状態を作れるように頑張りましょう。

原因③歯ぎしり・食いしばり

意外に思われるかもしれませんが、歯ぎしりや食いしばり、噛みしめといった習癖によって、詰め物が外れることもあります。とくにレジンはセラミックで作られた詰め物は、強い圧力によって欠けたり、ヒビが入ったりすることがあるため要注意です。歯ぎしり・食いしばりは、歯茎に炎症をもたらすこともあるため、できる限り早期に改善しましょう。

【原因④かみ合わせの変化

詰め物を装着してから、かなりの年月が経過してから見られる症状ですが、「かみ合わせの変化」によってもインレーの脱落が起こり得ます。もともと詰め物は、治療を受けた時のかみ合わせに合わせて調整されているので、全体の咬合状態が変化すれば、その影響を受けることもあります。

例えば、歯の摩耗というのは、加齢によっても起こるものであり、その結果としてかみ合わせが浅くなったり、一部の歯に過剰な負担がかかるようになったりします。詰め物を装着している部分にそうした力が集中すると、詰め物の破折や変形を招いて、歯質から脱落するのです。

詰め物が取れた際の注意点

詰め物が取れた際には、放置しないことはもちろん、次に挙げる4点にもご注意ください。

注意点①取れた詰め物を自分ではめ直さない

取れた詰め物は、自分ではめ直すようなことは絶対にやめてください。詰め物が外れている時点で、患者さまご自身がそのままの元に戻せることはありません。詰め物が取れた歯が虫歯になっている可能性は十分ありますし、インレーが変形しているなど、さまざまな問題が発生していることが予想されるからです。

また、詰め物を装着する際に使用するセメントは、歯科用に開発された特別なものです。市販の瞬間接着剤のようなもので代用はできません。一時的とはいえ、自分ではめ直してしまうと、再治療が難しくなることもありますので要注意です。

注意点②取れた詰め物は捨てない

取れた詰め物は、歯科医院で特別な処置を施すことによって、元に戻せる場合があります。ですから、取れた詰め物は捨てずに保管しておくようにしましょう。現実的にはそのまま元に戻せるケースの方が少ないのですが、取れた詰め物があると、再治療の際に重要な指標となります。詰め物にはいろいろな情報が詰まっており、歯質から取れた原因を突き止めたり、新たにインレーを作り直したりする際に重要な役割を果たします。

注意点③取れた詰め物をティッシュにくるんで保管しない

取れた詰め物は、適当にティッシュにくるんで置いておくと、間違って捨ててしまうおそれがあります。そのような失敗例は、数えきれないほどあります。詰め物が取れたらすぐにジップロックやプラスチックケースなどに入れて、しっかり保管しておきましょう。

注意点④早めに歯科医院へ受診する

詰め物が取れた際、絶対に行ってはならないのが「放置する」ことです。詰め物が取れた以上、その状態がどうであれ放置して良いことはありません。詰め物が取れた部分は、象牙質が露出しており、外からの刺激を受けやすくなっています。もしかしたらもうすでに虫歯を発症しているかもしれません。“痛みがないので問題ない”と自分で判断するのではなく、早めに歯科医院を受診しましょう。何もせず放置すると、虫歯の再発や虫歯の重症化、むき出しになった象牙質の破折などを招いてしまいます。

詰め物が取れた際のケース別治療法

詰め物が取れた場合は、原因によって治療法や対処法が異なります。ここでは最もポピュラーな4つのケースをご紹介します。

ケース①取れた部分が虫歯になっている

虫歯が再発して詰め物が取れた場合は、当然ですが虫歯治療からやり直します。虫歯になっている部分を削り、新たに修復物を作り直す必要があります。その際、削った歯質の量が多い場合は、詰め物ではなく被せ物を製作することになります。虫歯が重症化している場合は、根管治療も実施します。

ケース②詰め物が劣化している

詰め物を構成している素材自体が劣化している場合は、インレーを作り直す必要があります。詰め物を装着していた部分に何ら問題がなければ、すぐに型取りを行って、詰め物の製作に入れますが、形成のし直しなど、新たな処置を施さなければならなくなるケースも少なくありません。

ケース③接着用セメントが劣化している

接着用セメントの劣化で詰め物が取れた場合は、もしかしたらそのまま元の位置に戻せるかもしれません。歯質と詰め物の双方に何ら問題がないのであれば、改めて接着用セメントで結合させます。そうしたケースのために、取れた詰め物は大切に保管しておくようにしましょう。

ケース④全体のかみ合わせが変化している

全体のかみ合わせが変化することで詰め物がとれた場合は、修復物の再製作が必須となります。取れた詰め物をそのまま戻しても、今現在のかみ合わせと適合していないため、すぐにまた悪影響が生じます。新たに型取りを行って、詰め物を作り直すだけで済む場合もありますが、全体のかみ合わせを改善する治療が必要になることもあります。

まとめ

このように、詰め物が取れる原因は虫歯の再発やセメントの劣化、歯ぎしり・食いしばりなど多岐にわたります。根本的な原因を突き止めない限り、再び詰め物が外れてしまいますので、とにかくまずは歯科医院を受診しましょう。取れた詰め物の治療方法は原因に応じて異なりますので、まずはお気軽に当院までご連絡ください。他院で装着した詰め物にも対応しております。

ホームホワイトニングとは?効果・手順例・注意点等を解説

歯の黄ばみや黒ずみは、口元の審美性を大きく低下させるため、何とかして改善したいものです。歯ブラシによるブラッシングや歯科医院でのクリーニングで取り除ける程度の着色なら良いのですが、ホワイトニングでなければ改善できない汚れもあります。とくに自宅で行うホームホワイトニングが適したケースも少なくありません。ここではそんなホームホワイトニングの特徴やメリット・デメリット、オフィスホワイトニングとの違いなどについてわかりやすく解説します。

ホームホワイトニングのメリット

ホームホワイトニングには、次に挙げるようなメリットがあります。

自分のタイミングで歯を白くできる

ホームホワイトニングは、文字通り自宅(ホーム)で行う処置法なので、自分のタイミングでホワイトニング処置を実施できます。もちろんそれは自宅である必要がなく、旅行先などでも構いません。歯科医院への通院が不要で場所や時間にとらわれずに歯を白くできることは、患者さまにとって極めて大きなメリットといえます。

比較的弱い薬剤を使用する

ホームホワイトニングで使用する薬剤は、「過酸化尿素(かさんかにょうそ)」が主成分となっています。これはオフィスホワイトニングで使用する過酸化水素よりも歯の表面内部への刺激が弱く、歯科医師の指示通りに取り扱えば健康被害も生じにくいです。

ホワイトニング効果の持続期間が長い

ホームホワイトニングでは、比較的弱い薬剤をじっくりと時間をかけて浸透させるため、ホワイトニング効果が長続きする傾向にあります。一般的には、ホワイトニング効果が1年程度持続することから、タッチアップが必要となる頻度も自ずと低くなります。

マウスピースは繰り返し使用できる

ホームホワイトニングを実施するにあたり、始めに歯科医院でマウストレーと呼ばれるマウスピース型の専用器具を製作します。これは患者さまそれぞれのお口にカスタマイズされたものであり、一度作ってしまえば繰り返し使用することできます。タッチアップの際も引き続きご使用ください。

ホームホワイトニングのデメリット

ホームホワイトニングには、次に挙げるようなデメリットがあります。

自分で施術しなければならない

ホームホワイトニングは、患者さまご自身で行っていただく治療法なので、歯科医師や歯科衛生士による施術はありません。自分でホワイトニングできることはメリットであると同時に、人によっては“自分でやらなければならない”とデメリットに感じる場合もあります。

マウスピース製作のために受診が必要

ホームホワイトニングもオフィスホワイトニングと同様、最初にお口の検査を歯科医院で受ける必要があります。また、患者さま専用のマウストレーを作るために、歯の型取りも行わなければなりません。ですから、すべてが自宅で完結する施術法とはいえません。

即効性は期待できない

ホームホワイトニングで使用する薬剤は、比較的濃度が低く、即効性は期待できません。ジワジワと歯を白くしていくため、効果が現れ始めるのは2週間ほど経過してからです。つまり、ホームホワイトニングには、歯が白くなるまでにそれなりの時間や期間がかかるというデメリットもあるのです。

ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングの違い

ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングには、施術者が患者さまご自身か歯科医師・歯科衛生士かの違いがあります。また、使用する薬剤の成分や濃度の違い、施術する場所の違いもあります。どちらかが絶対的に優れているということはありませんので、それぞれの価値観やライフスタイルに合わせて、適したものを選ぶと良いです。

ホームホワイトニングの効果が出るまでの期間

ホームホワイトニングの効果が出るまでに必要な期間は、それぞれの歯の状態や食習慣によっても大きく変わります。歯の表面や内部の着色が軽度から中等度であれば、2週間程度でホワイトニング効果が現れてきます。着色の重症度が高かったり、着色性の食品を好んで摂取していたりするような場合は、さらに長い期間が必要となります。

ホームホワイトニングの手順例

シェードガイド

ホームホワイトニングは、次のような手順で進行します。

手順①色の記録取り

始めに、患者さまの歯の色をシェードガイドで調べて記録します。同時に、写真撮影も行って、施術後の効果を確認できるようにします。

手順②マウスピースの作成

ご自宅で薬剤を塗布するためのマウスピースを製作します。お口全体の歯型取りを実施して、歯列にフィットするよう調整します。マウスピースはそれほど丈夫には作られていませんので、取り扱いを誤ると、変形や破損を招きます。歯科医師・歯科衛生士の指示通りに使用するようにしましょう。

手順③ホワイトニング開始

マウスピースが完成したら、処方された薬剤を使用してホワイトニングを始めましょう。マウスピースは繰り返し使うものなので、使用後は水洗いし、風通しの良い場所で乾かしてください。使っていない時は専用のケースに保管しましょう。

ホームホワイトニングの注意点

注意点

ホームホワイトニングには、次に挙げる2つの注意点があります。

注意点①ホワイトニング効果が出にくい歯がある

ホワイトニングによってどのくらい歯が白くなるかは、歯質によって大きく異なります。同じ濃度のホワイトニング剤でも、歯質の状態によって、白くなる度合いが大きく変化するのです。着色がひどい場合も、ホワイトニング効果が出にくいことがありますのでご了承ください。また、歯科医師や歯科衛生士が行うホワイトニングほど、濃度の高い薬剤は使用しないので、自ずとホワイトニング効果も低くなる傾向にあります。

注意点②ホームホワイトニングが適さない人がいる

ご自身で施術するのが面倒、薬剤を適切に扱える自信がない、安全性を考慮して歯科医師や歯科衛生士に施術してもらいたい、という方にはホームホワイトニングが適していません。通院する必要性が出てきますが、オフィスホワイトニングを選択しましょう。ちなみに、ホームホワイトニングでは、過酸化水素ではなく、比較的作用の弱い過酸化尿素が主成分となった薬剤を使用することから、痛みなどの症状が現れにくくなっています。

ホワイトニング効果を長持ちさせるポイント

ポイント

ホワイトニング効果は、次に挙げる2つのポイントを意識することで長持ちさせることができます。

ポイント①着色成分が含まれる物の飲食後は口をゆすぐ

コーヒーや紅茶など、着色成分が豊富に含まれた食品を習慣的に摂取している場合は、その都度、お口をゆすぐようにしましょう。ホワイトニング剤を使って歯を白くしても、歯の表面の着色や汚れが目立つようになってしまいます。虫歯になることも、ホワイトニング効果の持続を邪魔しますのでご注意ください。

ポイント②トリートメント・コーティング剤を利用する

ホワイトニング剤を作用させた後に、トリートメント・コーティング剤を利用すると、歯の表面に汚れや着色が付着しにくくなります。その結果、ホワイトニング効果を長持ちさせることができます。

まとめ

このように、ホームホワイトニングは自宅で手軽に歯を白くできる素晴らしい治療法ですが、デメリットもいくつかあります。場合によっては歯科医院で受けるオフィスホワイトニングの方が適していることもありますので、どちらか迷っている方は、お気軽に当院までご相談ください。また、ホームホワイトニングについてさらに詳しく知りたいという方もわかりやすくご説明しますので、ご連絡いただけたら幸いです。

虫歯が痛くて寝れない原因と対処法を紹介

虫歯による痛みは、1日の中でも大きく変動します。日中、仕事や勉強をしている時はそれほど痛くなかったのに、深夜に痛みが強まって寝れなくなることも珍しくありません。歯痛によって眠れなくなることほど辛いものはありませんよね。ここではそんな虫歯が痛くて寝れない原因と対処法についてわかりやすく解説します。

虫歯が痛くて寝れなくなる原因

虫歯の痛みが夜間に強まるのは、いくつかの原因があります。

原因①横になるので頭部の血流がよくなる

病気やケガによる痛みというのは、患部の 血流が良くなることで強まりやすいです。そのため、立っている時間が長い日中は、重量の影響で血液も下の方に流れやすく、患部の血流は比較的乏しくなります。一方、眠る際には横なって頭部への血流が増すため、患部の痛みを強めることとなります。虫歯になっている部分に血液がたくさん流れ込むと、神経が圧迫されやすくなるのは容易に想像できますよね。

原因②副交感神経が優位になる

身体の状態を一定に保つ自律神経は、交感神経と副交感神経の2つに分けられます。交感神経は素早く反応する時に優位となる神経で、頭を使っている時や身体を動かしている時にその活動が高まります。その逆の作用を持つ副交感神経は、眠る前に最も優位になるといえます。副交感神経が優位になると、心と身体が落ち着くと同時に、ちょっとした痛みにも敏感になります。その結果、虫歯が痛くて寝れないという現象が起こるのです。

原因③入浴・飲酒等で血流がよくなる

全身の血流が良くなる行為としては、入浴・飲酒・運動などが挙げられます。温かいお風呂に浸かると、血管が拡張し、頭部を含めた全身の血流が良くなります。お酒を飲むことでも同様の現象が現れます。運動している最中は、交感神経が優位となり、歯の痛みも弱まりやすいですが、同時に全身の血流も良くなるため、運動後に歯痛が強まることがあります。いずれも病気ケガをした時、歯を抜いたあとなどには禁止される行為であり、虫歯が重症化している場合もできるだけ控えた方が良いといえます。

寝れない歯の痛みの対処法

歯痛で寝れない時は、とにかく今すぐにでも改善したいものですよね。そんな時は、次に挙げる8つの対処法を一つひとつ試してみてください。

対処法①患部を冷やす

歯の痛みは、一種の炎症反応に由来しています。歯の神経に感染が及び、歯髄炎(しずいえん)を起こしていることから、患部を冷やすことは症状の改善に有効です。ただし、歯に氷を直接当てるようなことはしてはいけません。患部を過剰に冷やすことは、さらなるトラブルを招きかねないからです。濡れたタオルを顎に当てるなど、間接的に患部を冷やすことが大切です。

対処法②丁寧に歯磨きをする

歯の痛みが患部の汚れによって引き起こされていることもあります。食べかすや歯垢などがたまっていると、細菌の活動が活発化して歯痛も強まります。痛みで辛いかとは思いますが、患歯も含めた歯列全体をやさしく、丁寧に歯磨きして清潔に保ちましょう。即効性が期待できる対処法ではありませんが、症状の悪化を防ぐことはできます。

対処法③ツボを押す

私たちの身体にはたくさんの「ツボ」があります。そのうち「合谷(ごうこく)」と呼ばれるツボは、頭痛や顔面神経麻痺、歯痛の症状を緩和する作用が期待できます。そんな合谷は、人差し指と親指の骨が交差する部分に位置していますので、もう片方の手でやさしく押してみてください。合谷を適切な方法で刺激すると、エンドルフィンと呼ばれるモルヒネのような物質が分泌され、痛みを和らげてくれます。押しすぎると期待している効果が得られませんのでご注意ください。

対処法④マッサージする

歯痛の原因にもよりますが、患部の周囲の筋肉をマッサージすることで症状が改善されることもあります。ただし、マッサージをしすぎると患部を刺激してしまい、痛みがより一層強くなることもあります。マッサージも適度に行うことが大切です。

対処法⑤痛み止め(鎮痛薬)を飲む

今現在、歯科治療中で歯科医院から痛み止めを処方されている場合は、迷わずそれを飲みましょう。用法・用量を守って服用すれば、夜間の歯の痛みも効率良く抑えられます。処方薬がない場合は、市販の痛み止めや鎮痛剤でも構いません。普段から使っている鎮痛剤を飲んで、痛みを和らげましょう。

対処法⑥軽いうがいをして歯に詰まったものを除去する

歯が痛い時は、患部の清掃が不十分になりがちです。場合によっては歯に汚れが詰まっているかもしれません。それは虫歯菌の活動を活発化される原因にもなるため、しっかり取り除く必要があります。歯ブラシによるブラッシングが難しければ、軽いうがいをしましょう。とにかく患部は清潔に保つことが大切です。

対処法⑦虫歯の穴に正露丸を詰める

昔から「歯の痛みには正露丸が効く」と言われており、実際に試したことがある人もいらっしゃることでしょう。歯科医師が治療で正露丸を積極的に使うことはありませんが、応急処置として使用する分には問題ないといえます。というのも、正露丸には歯痛を抑える成分が含まれており、虫歯の穴に詰めることで症状の改善が見込めるからです。炎症を起こしている患部に直接作用させることから、痛み止めよりも即効性は高いといえます。とはいえ、あくまで応急的な対処法であり、虫歯が根本的に治るわけではないという点にご注意ください。

対処法⑧歯科の夜間救急外来を受診する

歯や歯茎の痛みが強くてなかなか眠れない、眠れないどころかじっとしているのも辛い場合は、歯科における夜間の救急外来を受診するのもひとつの方法です。高い費用を支払うことにはなりますが、歯科医師が応急処置をしてくれます。ただし、本格的な歯科治療には対応していませんので、その後は一般外来で治療を受けなければなりません。

虫歯以外で歯が痛くなるケースがある

夜間の歯の痛みは虫歯が原因と思いがちですが、例外もあります。ここでは虫歯以外で歯が痛くなるケースを2つご紹介します。

ケース①歯そのものが痛い

虫歯になっていない歯でも、歯そのものに原因があって夜間の歯痛が強まることがあります。例えば、歯を強く打った時などには、感染を伴わない歯髄炎を発症することがあります。頭を強くぶつけた時は、その部分が赤く腫れますよね。それと同じ現象が歯でも起こるのです。また、象牙質知覚過敏症でも夜間に歯痛が強まることがあります。象牙質は外からの刺激を受けやすく、口腔内に露出していると歯痛の原因となります。

ケース②歯茎が痛い

歯痛が生じているように感じても、痛みの原因が歯茎にあるケースも珍しくありません。歯周病が進行すると、歯茎に強い炎症反応が起こります。それを歯痛と勘違いしてしまうこともあるのです。

まとめ

このように、虫歯が痛くて寝れない原因はいくつかにわけられ、対処法も複数存在しています。ただし、いずれも応急処置でしかなく、根本的な治療とは程遠いものです。そのまま放置すると、歯の痛みを始めとした虫歯の症状がどんどん深刻化していくだけなので、虫歯になった時点ですぐに歯科医院を受診しましょう。ケースによっては歯周病が背景にあることも十分考えられますので、歯周病の治療および予防も極めて重要だといえます。定期的な歯科検診を受けて虫歯・歯周病を予防すると「虫歯が痛くて眠れない」といった辛い思いをすることもなくなりますよ。

歯茎が下がる歯肉退縮:原因・引き起こされる症状・治療法を解説

皆さんは「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」という現象をご存知でしょうか?
歯を支えている歯茎が何らかの理由で下がる現象で、見た目が悪くなるだけでなく、歯やその周囲にさまざまな症状を引き起こすため注意が必要です。
ここではそんな歯茎が下がる歯肉退縮について、原因や引き起こされる症状、治療法をわかりやすく解説します。

歯肉退縮の原因

歯に違和感を感じている表情

歯肉退縮の原因としては、以下に挙げる12の病気や習慣が挙げられます。

原因①歯周病

歯肉退縮の主な原因は歯周病です。歯周病とは、歯ぐきに細菌感染が起こり、炎症反応が生じる病気です。日本人の成人の約8割がかかっているとも言われており、国民病といっても過言ではありません。そんな歯周病では、歯ぐきの破壊が起こり、歯肉が下がっていきます。進行すると顎の骨である歯槽骨(しそうこつ)まで壊されます。

原因②ブラッシングが強すぎる

毎日一所懸命に歯磨きすることは良いのですが、ブラッシング圧が強すぎると、歯ぐきを傷めてしまいます。その結果として、歯肉退縮が起こります。同時に歯の表面を覆っているエナメル質を傷つけることにもなるため、適切な力で歯磨きすることが大切です。

原因③不十分な口内ケア

口内ケアが不十分だと、歯の表面や歯ぐきとの境目に汚れがたまります。具体的には歯垢や歯石ですね。それらが細菌の温床となり、歯ぐきに悪影響をもたらします。

原因④歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりなどの習癖があると、歯と歯ぐきに過剰な負担がかかります。そうすると、歯の破折や亀裂を招くだけでなく、歯ぐきに炎症をもたらし、歯肉退縮を引き起こすのです。ちなみに、歯ぎしりによってかかる力は、100kgを超えることも珍しくありません。

原因⑤歯並びやかみ合わせが悪い

歯並びやかみ合わせに乱れがあると、特定の歯や歯茎に過剰な負担がかかります。そうしたケースでも歯ぐきに炎症反応が生じ、徐々に下がっていってしまいます。

原因⑥矯正治療の影響

歯並びをきれいにする矯正治療においても、歯肉退縮が見られることがあります。適切な矯正力を働かせている限りは歯肉も退縮しないのですが、装置に不具合が生じて過剰な力が歯ぐきに加わると退縮を引き起こします。そんな矯正治療による歯肉退縮は、装置を調整することで改善できます。

原因⑦詰め物や被せ物が合っていない

虫歯治療の後に装着した詰め物・被せ物が合っていないケースも注意が必要です。例えば、被せ物が高すぎると、噛んだ時の力がその歯に集中するため、歯ぐきにダメージが及びやすくなります。あるいは、被せ物の辺縁が歯ぐきに当たることでも歯肉退縮が起こります。いずれにせよ、詰め物・被せ物を早急に調整することが大切です。

原因⑧爪を噛む癖がある

普段から爪を噛んでいると、歯ぐきに大きな負担がかかります。たかが“爪噛み”とは考えず、できるだけ早期に改善するよう努めましょう。成人してからも爪を噛む癖が残っている人は意外に多いものです。

原因➈元から骨、歯茎が薄い

もともと歯ぐきや顎の骨が薄い人は、歯肉退縮が起こりやすくなっています。ちょっとした刺激が加わることで歯ぐきがさがってしまいますので十分注意しましょう。

原因➉加齢

歯肉退縮は加齢が原因になることもあります。歯ぐきもその他の組織・器官と同様、年を重ねるごとに退化したり、委縮したりするものです。お口の中を常に健康に保つことで、加齢による歯肉退縮の速度は遅らせることが可能です。

原因⑪ホルモンバランス

ホルモンバランスの乱れが原因の歯肉退縮としては、妊娠性歯肉炎が有名です。妊娠期は女性ホルモンのバランスが崩れ、唾液の分泌量が低下したり、歯周病菌の活動が活発化したりします。その結果、歯ぐきに炎症が起こって歯肉が退縮します。

原因⑫タバコ

タバコの煙に含まれる一酸化炭素やニコチンは、歯ぐきの血流を悪くし、歯周病のリスクを上昇させます。また、歯ぐき自体も委縮することで、歯肉退縮が促進されます。喫煙は、歯ぐきの慢性的な栄養不足・酸素不足をもたらすものだとお考えください。

歯肉退縮が進行すると起こる症状

歯痛のイメージ

歯肉退縮が進行すると、次に挙げるような症状が現れます。

症状①知覚過敏になる

健康な歯は歯根面が歯ぐきに覆われており、冷たいものがしみるようなことはありません。それが歯肉退縮によって歯根面が露出すると、外からの刺激を受けやすい象牙質までむき出しとなるため、知覚過敏の症状が現れます。これは歯肉退縮によって最も起こりやすい症状のひとつです。

症状②ものが挟まりやすくなる

歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった場合は、歯肉退縮が疑われます。歯ぐきが下がることによって歯間距離が開き、食べ物が詰まりやすくなっているのです。

症状③歯が長くなって老けて見える

健康な人のお口は、歯と歯ぐきのバランスが良く、見た目も若々しく見えます。それが歯肉退縮の進行によって歯ぐきが下がると、歯が長くなったように見えるため、見た目も悪くなります。その状態を“老けた”と感じる人も少なくないでしょう。

症状④虫歯になりやすくなる

歯肉退縮が進行すると、歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなると同時に、歯垢や歯石の沈着も目立つようになります。その結果、虫歯のリスクも上昇します。歯周病ポケットが深くなっているケースでは、歯周病に気を付けなければいけません。

症状⑤歯がぐらぐらする

歯がぐらぐらするような症状が現れたら、いよいよ歯肉退縮も末期の段階です。歯周ポケットもかなり深くなっており、歯ぐきだけではなく、歯を支えている歯槽骨まで破壊されていることを意味します。治療が遅れると、抜歯せざるを得えなくなるため要注意です。

症状⑥歯が削れたり割れたりする

歯ぐきは歯を守る役割を担っています。そんな歯ぐきが下がると、歯根の部分の象牙質が露出して、歯が削れたり、割れたりすることがあります。歯槽骨まで破壊が進むと、歯根そのものが折れる可能性も出てきます。

症状⑦歯が抜ける

歯肉退縮の症状が進行して、顎の骨の吸収も進むと、いよいよ歯が抜け落ちます。日本人が歯を失う原因第1位が歯周病であるのはそのためです。歯周病になると、歯ぐきと顎の骨が破壊され、歯を支えきれなくなるのです。

歯肉退縮が起きている場合の対策

もうすでに歯肉退縮が起きている場合は、次に挙げるような対策をとってください。

自宅で出来ること

まずは、お口の中を清潔に保つことが最重要です。適切な方法で歯ブラシによるブラッシングを実践しましょう。ブラッシング圧が強い人は、力のコントロールが大切です。歯ブラシのかたさも「やわらかめ」を選んでください。歯ぎしりや食いしばりがある人は、それらの習癖を取り除くことが大切です。自分自身ではどうしても改善できない場合は、歯医者さんに相談しましょう。

歯科医院で出来ること

歯科医院では、歯肉退縮の原因に応じて、さまざまな治療法を用意しています。ほぼすべての患者さんに行われるのはブラッシング指導です。また、セルフケアでは取り除けない歯石などは、スケーリングなどで除去します。それでも歯肉の状態が改善されない重症例に対しては、患者さんご自身の粘膜を移植するなどの遊離歯肉移植術(ゆうりしにくいしょくじゅつ)」などが適応されます。いわゆる”歯周外科治療“を実施して、失われた歯ぐきを回復させます。

まとめ

このように、歯ぐきが下がる原因はさまざまで、それによって引き起こされる症状も多岐にわたります。
いずれにせよ根本的な原因を突き止め、しっかりと対策することが大切です。

八重歯の治療法とは?矯正の種類と費用を解説

八重歯というと、悪い歯並びというよりは、ひとつのチャームポイントとして捉える人が多いです。「付け八重歯」というサービスがあるくらいですから、矯正治療の対象とは思っていない人もいらっしゃることでしょう。

けれども実際は、八重歯も立派な歯列不正の一種です。そのまま放置すると、さまざまなお口のトラブルを招きかねないため十分注意しましょう。ここではそんな八重歯の原因や放置するリスク、治療法、費用などをわかりやすく解説します。

八重歯とは

八重歯とは、前から3番目の永久歯である犬歯(けんし)が外側に飛び出した歯並びです。

専門的には「叢生(そうせい)」と呼ばれる歯並びの一種で、いわゆる“乱ぐい歯”と何ら変わりはありません。
正常な歯並びではないので、症状によっては治療で矯正した方が良いケースも少なくありません。

八重歯の原因

八重歯になる主な原因は「スペース不足」です。私たちの
永久歯は、親知らずを除くと全部で28本生えてきますが、顎の骨のサイズが小さくてスペースが不足していると、きれいな歯列弓を作れなくなります。その結果、犬歯が歯列の外側に飛び出してしまうのです。
乳歯の虫歯が重症化して、早期に抜け落ちることでもスペースが閉鎖され、八重歯を誘発することがあります。そういう意味でも、乳歯の虫歯は放置せず、見つけたらすぐに治療を受けることが大切といえます。

八重歯を放置するリスク

注意点

八重歯をチャームポイントとしている人は、なぜわざわざ矯正しなければならないのかと不思議に思われることでしょう。それは八重歯を放置することで、次に挙げるようなリスクが発生するからです。

歯磨きしにくくなる

八重歯の症状がある人は自覚しているかと思いますが、犬歯が歯列の外側に飛び出していると、歯磨きしにくいですよね。通常の歯ブラシでは隅々までブラッシングすることが難しく、毎日の口腔ケアにおいてワンタフトブラシやデンタルフロスが必須となっていることでしょう。

虫歯・歯周病のリスクが上昇する

汚れを落としにくいということは、歯垢や歯石がたまりやすく、それらが細菌の温床となります。その結果、虫歯や歯周病を発症してしまうのです。

口臭の原因にもなります

八重歯の症状があって、日頃から口臭が気になっている場合は、歯と歯の隙間などに汚れが蓄積しているのかもしれません。八重歯を常にプラークフリーな状態にするのは困難なため、食後はどうしても口臭が出やすくなります。

そしゃく能率が低下する

八重歯は歯列から大きく逸脱していることもあり、かみ合わせに参加していません。本来であれば下の歯とかみ合うことで、そしゃく運動に貢献するのですが、八重歯は位置関係上、それが不可能となっています。つまり、八重歯というのはそしゃく機能に全く貢献していないケースがほとんどなのです。

他の歯に過剰な負担がかかる

正常な歯並びでは、上下それぞれ14本ずつの歯が適切な位置でかみ合い、食べ物を噛み切る・すり潰すことを行います。そのうちの1本でも異常な位置にあると、噛んだ時の圧力を負担する配分は大きく乱れます。かみ合わせに全く参加していない八重歯の分は、他の歯が負担することとなるのです。それが20年、30年と続いていくと他の歯に多大な悪影響が及ぶのは想像に難くないですよね。

八重歯を治療した方がよい人

冒頭でも八重歯は矯正治療の対象となる歯並びといいましたが、実際に治療した方が良いケースが気になりますよね。

清掃性が悪い・磨き残しが多い

八重歯の部分がブラッシングしにくく、磨き残しも多くなっているのであれば、矯正治療を受けたが方がよいといえます。お口の中の衛生状態が悪くなると、口臭の発生、虫歯・歯周病リスクの上昇を招きます。

八重歯がかみ合わせに参加していない

これは八重歯のほとんどケースにいえることですが、犬歯がかみ合わせに参加していないと、その他の歯に大きな負担がかかってしまいます。八重歯を治して、犬歯にも相応の負担を与えることが大切です。その結果、歯列全体のかみ合わせが安定し、そしゃく能率も向上します。

八重歯の治療法

ワイヤー矯正

八重歯を治療する方法はひとつではありません。お口の中の状態や患者さんの価値観などによって、好きなものを選択することができます。ここではそんな八重歯の治療法をそれぞれ詳しく解説します。

【治療法①】抜歯矯正

抜歯矯正とは、その名の通り歯を抜いて矯正することです。一般的には「小臼歯(しょうきゅうし)」と呼ばれる前から4~5番目の奥歯を抜いて、八重歯を正常な位置に戻すためのスペースを確保します。健康な歯を抜くことに抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、小臼歯は審美矯正装置面および機能面において、それほど大きな役割を担っていない歯なので、抜歯をしたとしても深刻なデメリットが発生することはありません。当然ですが、八重歯を正常な位置に移動することがより大きなメリットとなる場合のみ、小臼歯を抜歯します。

【治療法②】非抜歯矯正

非抜歯矯正は、比較的軽度の八重歯の症状に適応される歯並びの治療です。具体的には、前歯の側面を少し削ることで、不足しているスペースを確保します。削る量は最小限に抑えられますので、歯の寿命が縮まるようなことはありません。また、スペース確保のために削る歯は、ケースによって異なります。この方法だと、歯を抜かずに八重歯の症状を改善することが可能となります。

【治療法③】マウスピース矯正

インビザラインに代表されるマウスピース矯正は、マウスピース型の装置を装着して八重歯の症状を治す方法です。マウスピースは透明な樹脂で作られており、歯列にフィットするよう設計されるため、装着感は極めて良好です。矯正中であることを周囲の人に気付かれにくいというメリットがあります。また、比較的弱い力が歯を移動させることから、治療に伴う痛みも少なくなっています。マウスピースは患者さんご自身で着脱するタイプの装置なので、食事や歯磨きの際に取り外せます。

【治療法④】ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、最も標準的な矯正治療です。ブラケットとワイヤー矯正を歯列に装着して、歯並びを改善します。適応範囲が広く、八重歯はもちろんのこと、その他ほとんどの歯並びに対応できます。重度の八重歯の症状もワイヤー矯正ならしっかり改善することができるでしょう。ただし、装置が目立ちやすく、装着時の違和感・異物感も比較的強くなる傾向にあります。また、装置は固定式なので、自由に取り外すことはできません。

【治療法⑤】裏側矯正

裏側矯正とは、歯列の裏側にブラケットやワイヤーを装着する治療法です。専門的には舌側矯正(ぜっそくきょうせい)と呼び、歯科医師の高い技術や知識、経験が求められます。八重歯の症状を治すのに特別適した矯正治療というわけではありませんが、見た目が気にならないという点で希望される患者さんも少なくありません。

八重歯の治療にかかる費用

八重歯の治療にかかる費用

八重歯の治療にかかる費用は、選択した治療法やケースによって異なります。歯列全体を矯正する全顎矯正(ぜんがくきょうせい)であれば、80~100万円程度の費用がかかるのが一般的です。裏側矯正に関しては、値段が少し高くなる傾向にあります。また、治療期間によっても費用は変動しますので、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

まとめ

このように、八重歯は口元の魅力のひとつとして捉えられることもありますが、基本的には歯並びの異常とお考え下さい。そのまま放置すると、虫歯や歯周病にかかりやすくなったり、その他の歯に大きな負担がかかったりするなど、さまざまなリスク・デメリットを伴います。そんな八重歯の症状が気になる方は、まず矯正相談を受けることをおすすめします。今回ご紹介した通り、治療法の選択肢は複数あります。

歯が抜ける原因とは?抜けるリスクが高い歯の特徴や予防法を紹介

私たちの身体の組織は、傷ついても再生する力を持っていますが、歯は例外です。虫歯菌に溶かされたり、外傷で歯そのものを失ったりすると、二度と元には戻らないからです。それだけに、歯が抜ける原因をよく理解して、歯の喪失をできる限り予防することが大切
です。ここではそんな歯が抜ける原因や抜けるリスクが高い歯の特徴、歯を失わないためにすべきことなどをわかりやすく解説します。

歯が抜ける主な原因

歯周病

歯が抜ける主な原因は、歯周病と虫歯です。

原因①歯周病

◎歯を失う原因第一位は歯周病

意外に思われるかもしれませんが、日本人が歯を失う原因第一位は、歯周病です。歯周病は、軽度であれば歯茎の腫れ・出血などが主な症状として現れますが、進行すると痛みが加わり、最終的には歯茎や顎の骨が破壊されて歯を支えきれなくなります。その結果、歯を失うのです。

◎自覚症状に乏しい病気

歯周病は、日本人の成人の約8割がかかっているといわれている病気です。その数の多さを聞いて驚かれる方も多いですが、自覚症状に乏しい点を踏まえると納得できるかと思います。歯周病はサイレントディジーズ(静かなる病気)とも呼ばれることがあり、患者さんが気付かないうちに症状が悪化し、歯が抜けるくらいまで進行してしまう病気なのです。この点は虫歯と大きく異なりますね。

◎歯周病菌を完全に除去するのは難しい?

歯周病の根本的な原因は歯周病菌への感染です。歯周病菌が歯茎や顎の骨に感染し、炎症反応などを引き起こします。その過程で、歯肉や歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)を破壊していくのが歯周病の実態です。虫歯であれば、歯を削ることで虫歯菌を排除できますが、歯周病の場合は歯肉や歯槽骨を削るわけにもいきませんので、歯周病菌の温床となるプラークや歯石を地道に除去していく他ありません。つまり、感染している部位を外科的に除去できないことから、重症化もしやすくなっているのです。

原因②虫歯

◎歯を失う原因第二位は虫歯

虫歯は、虫歯菌が歯に感染することでエナメル質や象牙質が溶かされていく病気です。歯周病よりも痛みなどの強い症状が現れやすく、比較的早い段階で自覚できることが多いです。そのため、虫歯治療を受ける人も多く、歯が抜けるまで放置するケースは稀といえるでしょう。

◎虫歯も進行すると歯を失うことになる

虫歯は、進行度に応じて治療法も変わってきます。軽度の虫歯では、虫歯菌に感染した歯質を少し削り、コンポジットレジンなどを詰めて治療が完了します。虫歯菌によって形成された穴が大きくなると、銀歯などの大きな修復物で補う必要が出てきます。歯の神経まで侵され、歯冠もボロボロになり、歯の根の先に膿の塊ができるようになると、いよいよ抜歯が適応されます。

抜けるリスクが高い歯の特徴

今現在、正常に機能していても、数年後には抜けるリスクがある歯には、いくつかの特徴があります。

リスク①歯周ポケットが深い歯

深い歯周ポケットが形成されている歯は要注意です。歯周ポケットとは、歯と歯茎の境目に形成される溝ですが、歯周病が進行することによってどんどん深くなります。正常な人でも1~2mmの歯周ポケットは存在するものですが、これが4mm以上になると歯周病と診断され、10mmを超えるといよいよ歯が抜けるリスクが大きく上昇します。ちなみに、歯周ポケットが深くなるのは、歯茎の細胞が破壊されていることを意味します。

リスク②放置された虫歯

虫歯は、自然治癒しない病気なので、歯科での治療を受けなければ治りません。何もせず放置すると、病状がどんどん進行して、最終的には歯が抜けることとなります。ですから、痛みという具体的な症状が現れなくても、虫歯に気付いたら放置せず、すぐに歯科を受診しましょう。

リスク③被せ物をされている歯

銀歯のような被せ物をされている歯は、将来的に抜けるリスクが高いです。被せ物には寿命がありますし、口腔ケアが不十分だと、歯との間に虫歯菌が入り込んで、虫歯を再発される可能性が高いからです。そもそも被せ物を装着している時点で、その歯は清掃性が悪く、虫歯の発症リスクが高いと判断できます。1本の歯に行える歯科治療には回数に限りがあり、再治療を繰り返すほど歯を失う可能性も高まります。

リスク④部分入れ歯の針金がかけられている歯

入れ歯は、取り外し式の装置であり、お口の中への固定は残った歯に頼らざるを得ません。とくに部分入れ歯の場合は、クラスプと呼ばれる金属製の留め具を残存歯に引っ掛けて固定することから、支えとなる歯の寿命が縮まりがちです。定期的なメンテナンスを受けて、入れ歯を最適な状態に保たなければ、支えとなる歯の寿命がどんどん縮まる点にご注意ください。

◎ブリッジの支えとなる歯も要注意

入れ歯ではなく、ブリッジを装着している人も、支えとなる歯に大きな負担がかかっていることを知っておいてください。しかも、ブリッジでは支えとなる歯を大きく削っているため、それだけでも歯が抜けるリスクが高まっています。その上、噛んだ時の力の大半を担うことから、部分入れ歯の支台歯以上に、歯の寿命は縮まりやすくなっているといえるのです。

歯が抜け始める平均年齢

家族

大人の歯である永久歯は、親知らずを除くと全部で28本生えてきます。
これを一生涯すべて健康な状態で保てる人はごく一部であり、年齢が上がるにつれ歯を1本、また1本と失っていくのが一般的です。歯が抜け始める平均年齢は40代で、1.5本程度失います。50代になると2.5本程度失うことから、70歳になるまえに、合計で4本程度の歯が抜けることとなります。もちろんこれはあくまで平均で、しっかりと歯科治療を受ければ1本も失わずに済むこともあります。

歯が抜けるのを予防する方法

歯の予防

歯が抜けるのを予防したい方は、以下に挙げる方法を実践しましょう。

予防①定期的にメンテナンスを受ける

歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることで、虫歯や歯周病を早期に発見することができます。これらは歯が抜ける主な原因ですが、重症化させなければ歯の喪失につながりません。もちろん、具体的な症状がない方にも、虫歯・歯周病の予防につなげることができるため、定期的なメンテナンスはおすすめです。

予防②デンタルフロスや歯間ブラシを使用する

歯と歯の間の汚れは、歯ブラシによる歯磨きで落とすことが難しいです。歯間部の汚れを放置すると、歯垢や歯石が堆積して虫歯・歯周病を誘発することから、デンタルフロスや歯間ブラシを活用することをおすすめします。歯間部まできれいにお掃除できれば、虫歯・歯周病のリスクも大きく減少し、歯が抜ける可能性も低くなります。

予防③歯ぎしり・食いしばりによるダメージを防止する

歯ぎしり・食いしばりといった悪習癖は、歯や歯茎、顎の関節に多大なダメージを及ぼします。歯が抜ける原因となるだけでなく、お口全体の健康も害するため、できるだけ防止することが大切です。ご自身での改善が難しい場合は、歯科医院で治療を受けましょう。歯科では歯ぎしりをマウスピースで治療することができます。

予防④食生活を見直す

虫歯菌のエサとなる糖分を過剰に摂取している、間食が多くお口の中が不潔になりやすい、といった食生活を送っている人は、歯の喪失を防ぐためにもその習慣を一度見直す必要があります。歯科の定期検診では、虫歯・歯周病になりにくい食事の摂り方などもご提案できます。

予防⑤喫煙・節煙をする

喫煙習慣は、歯周病のリスクを大きく上昇させます。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素が歯茎の血流を悪くするからです。また、タバコのヤニが歯面に付着すると、プラークや歯石の形成を促します。その結果、歯周病を誘発するだけでなく、急速な勢いで症状を悪化させます。ですから、喫煙者の型で歯が抜けるのを防ぎたいのであれば、喫煙・節煙することが何より重要といえます。

まとめ

このように、歯が抜ける主な原因は歯周病と虫歯であり、これらの病気を早期発見・早期治療、あるいは予防することが歯の喪失を防ぐ最善の方法といえます。いつまでも自分の歯で噛みたい、歯が抜けて入れ歯を装着するのは嫌、という方は、積極的にお口の病気を予防していきましょう。当院までご相談いただければ、虫歯・歯周病を効率良く予防できる方法をご提案できます。

歯間ブラシの選び方・使い方・使用頻度等を解説

皆さんは、普段の口腔ケアで歯間ブラシやデンタルフロスを活用していますか?歯ブラシによるブラッシングしか行っていないという方も少なくないと思いますが、そうした補助的清掃器具を併用することで、歯と歯の隙間のお掃除がはかどり、汚れの除去効果は格段に向上します。ここではそんな歯間ブラシやデンタルフロスの選び方や使い方、使用頻度等をわかりやすく解説します。

歯間ブラシとデンタルフロス

歯間ブラシとデンタルフロスは、どちらも歯と歯の隙間を清掃する器具であり、見た目も似たような製品が市販されていたりします。そのため、自分はどちらを使用したらいいのか迷っている方もいらっしゃることでしょう。実は、この2つの補助的清掃器具には、いくつかの違いがあり、それぞれ使用に適したケースが異なります。

歯間ブラシが適しているケース

歯間ブラシ

◎歯間ブラシとは?

歯間ブラシとは、持ち手の部分とブラシで構成された清掃器具です。一般的な歯ブラシのようにブラシが複数列配置されているのではなく、1本の針金を起点として、その周囲に毛が設置されている形を採っています。

◎歯と歯の隙間が広い人に適した器具

歯間ブラシは、比較的太い清掃器具です。歯と歯の隙間が狭かったり、ほとんどなかったりするケースでは、ブラシの部分を挿入できないので適していません。無理に挿入しようとすると、歯や歯茎を傷つける恐れがあるため注意しましょう。

デンタルフロスが適しているケース

デンタルフロス

◎デンタルフロスとは?

デンタルフロスとは、糸状の清掃器具です。ロールタイプとホルダータイプの2種類がありますが、歯と歯の隙間に通す部分は、いずれも糸状となっています。

◎歯と歯の隙間が狭い人に適した器具

デンタルフロスは、歯間ブラシよりも細いことから、歯と歯の隙間が狭い人向けの清掃器具といえます。歯と歯の隙間がほとんどないようなケースでも、効率良く歯垢を除去できます。ロールタイプは操作の自由度が高く、上手く使いこなせばいろいろな角度、部位へと挿入できますが、慣れるまでに時間がかかります。一方、ホルダータイプは持ち手がついており、初心者でも問題なくフロッシングできます。

歯間ブラシを選ぶ際のポイント

ひと言で歯間ブラシといっても、サイズや形態にいくつかの種類があります。効率良く歯垢を落とすのであれば、自分に最適なものを選ぶ必要があります。

ポイント①歯間に挿入できるサイズを選ぶ

市販の歯間ブラシは、全部で4つのサイズに分けられていることが多いです。

サイズ 使用に適した部位 使用に適した歯間距離
SSS 最も狭い部位 ~0.8mm

SS

やや狭い部位

0.8~1.0mm

S 歯茎が下がっている部位など 1.0~1.2mm
M やや広い部位 1.2~1.5mm

それぞれ歯間ブラシの使用に適した歯間距離なども記載しましたが、まずは実際に使用してみて、きちんと歯垢や食べカスを取り除けるか試すことが大切です。前歯や奥歯などは、人によって歯並びや歯間距離も大きく異なるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。当院までご相談いただければ、歯科衛生士からアドバイスすることができます。

ポイント②使う箇所に合ったタイプを選ぶ

◎歯間ブラシの形のよる違い・分類

歯間ブラシの形は、L字型(アングル)とI字型(ストレート)の2つのタイプに分けられます。どちらも基本的な使用方法は変わりませんが、L字型の方は奥歯の歯垢除去に適しています。その名の通りL字に曲がっていることから、奥歯と奥歯の隙間に挿入しやすいのです。一方、ストレートタイプのI字型は、前歯の清掃に適しています。

◎歯間ブラシの素材による違い・分類

歯間ブラシは、素材によってもタイプ分けできます。それはナイロンの毛を使用したワイヤータイプと、ゴムを使用したラバータイプです。歯茎が健康で、効率良く汚れを落としたい場合は、ワイヤータイプがおすすめです。歯周病にかかっていて、歯茎が傷つきやすい状態にある場合は、ラバータイプが推奨されます。

歯間ブラシの正しい使い方

歯間ブラシは、使い方を誤ると歯や歯茎を傷めるおそれがあります。以下のポイントに気を付けて、正しく取り扱いましょう。

POINT1ペングリップ(鉛筆を持つ方法)で持ちます
POINT2鏡を見ながらゆっくりと、歯と歯の隙間に挿入します
POINT3ブラシは歯の噛む部分と水平にし、前後に2~3回出し入れします
POINT4ブラシの部分が隣り合った歯それぞれに当たるように清掃します
POINT5使い終わったら流水ですすぎ、風通しの良い場所で乾燥させましょう

上手く使えないという方は、定期検診の際にご相談ください。歯科衛生士が歯間ブラシの正しい使用方法をお教えします。

歯間ブラシを使用する際の注意点

歯間ブラシを使用する上で最も注意すべき点は「歯茎を傷つけない」ことです。せっかくお口のお掃除をしているのに、歯茎を傷つけてしまっては元も子もありませんよね。とくに歯間ブラシは針金も使用していることから、歯茎を傷つけやすくなっていますのでご注意ください。

歯間ブラシの使用頻度

歯ブラシによるブラッシングは、毎食後行うのが理想ですが、歯間ブラシはそれほど高頻度に使用する必要はありません。基本的には、1日に1回、夜眠る前の歯磨きの際に使用するようにしましょう。もちろん、毎食後使用しても良いのですが、使用方法を誤ると歯茎を傷めるおそれがあるため、あくまでおすすめは1日1回といえます。

歯間ブラシを交換するタイミング

歯間ブラシを交換するタイミングは、使い方や使っている製品のタイプによっても少し異なります。ワイヤータイプの歯間ブラシは、通常の歯ブラシと同様、1ヶ月に1回くらいの頻度で交換するのがおすすめです。

ラバータイプの歯間ブラシは、ヘッドの部分が比較的折れやすく、1ヶ月持たないことが多いです。そのため、使用の継続が困難と判断した時点で交換するようにしましょう。もちろん、ワイヤータイプもブラシの部分が折れたりしたら、1ヶ月を待たずしてすぐに交換することが大切です。状態の悪くなった歯間ブラシを無理やり使い続けると、歯茎に悪影響が及ぶため、絶対に避けるようにしてください。

歯間ブラシの使用でよくあるトラブルと原因

歯間ブラシを使用していると、次に挙げるようなトラブルに見舞われることがありますので、その原因を理解した上で適切に対処することが大切です。

トラブル①使用した歯間ブラシが臭い

使用した歯間ブラシが臭い場合は、細菌が繁殖しています。前回使用した時に歯垢などが残存していたのでしょう。あるいは十分に乾燥されず、細菌繁殖の温床となっている可能性があります。新しいものに取り換えることはもちろん、今後は歯間ブラシが不衛生にならないよう、適切な方法でケアしてください。

トラブル②歯肉から血が出る

歯間ブラシを使用した際、歯肉から出血が出る場合は、まず歯間ブラシのサイズを確認しましょう。サイズが大きすぎて、歯肉を傷つけやすくなっているかもしれません。あるいは、汚れの除去方法が悪く、歯肉に不要な刺激が加わっている可能性も考えられます。そうした点も踏まえ、定期検診で歯間ブラシの正しい選び方や使い方を教えてもらうのも一つの解決方法といえます。歯間ブラシでプラークなどの汚れを除去できるのは良いことですが、歯肉を傷つけてしまっては元も子もありません。

トラブル③歯の隙間が広くなる

歯間ブラシを使っていく中で、歯と歯の隙間が広くなったように感じることも良くあります。これはプラークや歯石などがたまらなくなり、歯の隙間が広がったように見えることもあれば、実際に歯間距離が広がることもあり得ます。後者の場合は、歯間ブラシの使い方・選び方に問題がある可能性が高く、一度、歯科医院に相談した方がよいといえます。

まとめ

このように、歯間ブラシは歯と歯の間にたまった歯垢や食べカスなどを効率良く除去する上で非常に有用な器具であり、歯ブラシによるブラッシングと併用することで、虫歯・歯周病のリスクを大きく減少させることができます。ただ、歯間ブラシは正しい選び方・使い方をしなければ、さまざまなトラブルを招きかねないため、十分注意する必要があります。そうした補助的清掃器具の使い方・選び方は定期検診で相談すると良いですよ。