親知らずの抜歯

親知らずの基礎知識

あまり知られていませんが、親知らずは『智歯(ちし)』とも呼ばれており、一般的に20歳前後に生えてくる、前歯から数えて通常8番目の第3大臼歯を指します。

ヒトは進化と共に硬い物から軟らかい物を食すようになったことで、顎が小さくなり、親知らずが生えるスペースが狭くなり、親知らずがまっすぐではなく横向きや斜めに生えてしまうケースが増えたと考えられています。
狭いスペースの中に斜めや横向きに生えた親知らずは、腫れを引き起こしたり、隣の歯を虫歯にしてしまうなど、お口のトラブルの原因になりやすく、抜歯の難易度を上げている要因となっているのです。

親知らずを抜歯するメリット

  • 歯磨きがしやすくなる
  • 親知らずが原因の口臭が解消される
  • 歯並びが悪くならない
  • 妊娠期間は母子共に安心

親知らずを抜歯するデメリット

  • 数日間は腫れる場合がある
  • 抜歯後の1ヶ月ほどは、食べ物が詰まる
  • 稀に顎の神経に影響が出る

親知らずの抜歯の流れ

  1. 親知らず周囲の歯肉に表面麻酔を塗布して局所麻酔時の痛みを極力軽減します。
  2. 親知らず周囲の歯肉に局所麻酔を行います。
  3. 親知らずが歯肉で覆われている場合、必要に応じて最小限に歯肉を切開し、親知らずを明示します。
  4. 親知らずを抜歯します。
    ※歯が横向きや斜めに生えている場合は、歯を削って小さくする必要があります。
  5. 抜歯した穴から感染等が起こらないように残った不良な肉芽組織を取り除きます。
  6. 切開した歯肉を縫合して終了となります。
1表面麻酔

2局所麻酔

3歯肉切開

4抜歯

5肉芽組織の除去

6縫合

当院における親知らず治療の特徴

CT

CTによる精細な診断と説明

静脈内鎮静法による痛みの緩和

静脈内鎮静法(※保険外)による痛みの緩和

迅速な抜歯(当日抜歯)

迅速な抜歯(当日対応)

複数本の抜歯に対応

複数本の抜歯に対応

親知らずの抜歯が難しいケース

親知らずがまっすぐ生えている場合は、比較的容易に抜歯を終えることができますが、横向きや斜めに生えている場合は、切開後に歯を分割してから抜歯を行う必要があります。
また、下顎の親知らずの抜歯においては、下顎管という太い神経血管束のすぐそばに生えている場合もあるため、抜歯の難易度が高くなります。

斜めに生えている

横向きに埋まっている

歯の形状が異常

神経血管に近い

親知らずを抜歯するかどうかの判断について

親知らずは抜いた方がいいのかどうかについては、患者様がおかれている親知らずの状態で判断する必要がありますので、一概にはお答えすることができません。
また、左右のどちらかを抜歯した場合、対称となるもう一方も抜歯すべきかどうかという質問をよくいただきますが、例えば左下の親知らずを抜歯したからといって、右下や左上の親知らずを抜歯する必要はありません。
親知らずの生え方やそれに伴う痛みや腫れなどの症状、妊活を行う前など、患者様の状況に応じて抜歯を行います。
以下に抜歯をした方がよいケースと抜歯をしなくともよいケースをまとめましたのでご確認ください。

抜歯をした方がよい場合

  • 親知らずのまわりの歯ぐきに腫れや痛みがある
  • 親知らずが斜めや横向きに生えている
  • 親知らずが虫歯になっている
  • 親知らずが歯ぐきや頬を傷つけている
  • レントゲンで親知らずの周りに黒い影がある(含歯性嚢胞)
  • 親知らずの手前の歯が虫歯になっている

抜歯をしなくてもよい場合

  • まっすぐに生えていて、しっかり咬み合っている
  • 歯牙移植のドナーに適している
  • 骨に完全に覆われて埋まっている
  • 矯正移動に利用できる
  • ブリッジの支えになれる見込みがある場合

親知らずの抜歯後に生じやすい症状

痛み

抜歯の部位(上顎か下顎か)や抜歯の難易度によって個人差はありますが、目安としては1週間から10日ほどで痛みや違和感は治まるとお考えください。

腫れ

腫れは抜歯後2~3日でピークとなります。抜いた側の頬から顎下にかけて腫れます。抜歯の部位(上顎か下顎か)や抜歯の難易度によって
個人差はありますが、解剖学的構造上、主に上顎より下顎の親知らずの抜歯の方が腫れやすい傾向にあります。

出血

術後には出血を最低限に抑えるため、抜歯した箇所に止血剤を使用します。
抜歯後数日間は、唾液に少量の血が混じっていますが、出血がずっと続くことはありませんのでご安心ください。
出血を気にし過ぎて何回もうがいを行うと、かさぶた(血餅)がなかなか出来ず、余計に出血を助長することになりますのでご注意ください。
万が一、出血がとまらない場合は、ガーゼやティッシュを傷口にあてがい20~30分強めに噛んでください。傷口が圧迫されることで止血されます。また、血圧を上げないためにも、少なくとも抜歯当日の飲酒、激しい運動、入浴(シャワー程度は可)は避けるべきでしょう。

口が開きづらくなる

抜歯後は『口が少ししか開かない』といったような症状が現れることがあります。
これは抜歯による炎症反応によるものです。1週間程度で軽快しますのでご安心ください。

親知らずの抜歯に必要な費用

以下は保険診療(3割負担)で当日に抜歯した場合の費用です。(※レントゲン代含む)

初診 再診
1本抜歯 9,000円 8,000円
2本抜歯 13,000円 12,000円
CT撮影 +3,600円 +3,600円
抜歯相談 無料 無料

親知らずについてよく受ける質問

抜歯は痛いですか?

基本的には麻酔がかかっていますので痛みはほとんどないとお考え下さい。
ただし、痛みや腫れが激しい状態では麻酔が効きづらい状態になりますので、その場合はいて身を伴います。

まだ痛みはないですが、抜歯をするベストなタイミングを教えてください!

特にはありませんが、抜歯した当日に仕事やプライベートで大事な予定を入れないようにしてください。
痛みや腫れが1週間から10日ほどかかると考えますと、その間さえ避ければ、あとは痛くなる前に抜歯をしておいた方がよいかもしれません。
尚、妊活を始める予定のある女性の方は、妊娠中は抜歯ができなくなる可能性が高いので、なるべく早く抜歯をされてはいかがでしょうか。

抜歯にかかる時間はどれくらいですか?

ほとんどの場合は30分前後で縫合まで完了しますが、難しい施術の場合などさまざまなケースを想定しますと、約1時間は余裕をもってお考えください。

診察した当日に抜歯できますか?

腫れている場合、当日に抜歯することが難しいことがございますが、基本的には当日に抜歯していただくことが可能です。

一度に4本すべての親知らずを抜歯していただけますか?

親知らずが下顎菅(神経血管)に近すぎるなど、大学病院での抜歯が必要なケース以外は、4本すべての親知らずを当日のうちに抜歯することができます。
複数本の抜歯をご希望の場合は、ご予約の際にお伝えください。

左右どちらかの親知らずを抜歯したら、対称となるもう一方の親知らずも抜歯しないとだめですか?

左の親知らずを抜いたからといって、対称となる右の親知らずも抜く必要はありません。上下についても同様に任意で抜歯するかをご検討ください。

麻酔は局所麻酔ですか?全身麻酔ですか?

局所麻酔ですが、抜歯に不安のある方には静脈内鎮静法(※保険外)により徐々に麻酔をかけていくことも可能です。

親知らずの移植(歯牙移植)はできますか?

可能です。

小顔になると言われていますが本当ですか?

親知らずが生えている位置にもよりますが、抜歯をすると骨が収縮するため、顎が細くなり、細く見えるようになる可能性はあります。

親知らずの担当ドクター

福島 龍洋

院長口腔外科医歯学博士厚労省認定臨床研修指導歯科医福島 龍洋

略歴
  • 鶴見大学歯学部 卒業
  • 鶴見大学歯学部付属病院 第二口腔外科(口腔内科)講座 入局
  • 海老名総合病院歯科口腔外科 非常勤務医
  • 高田馬場駅前デンタルクリニック 勤務