インプラントの寿命がきたらどうする?平均寿命やそれを短くする原因等も解説

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歯科コラム/2023年9月26日

インプラントの寿命がきたらどうする?平均寿命やそれを短くする原因等も解説

インプラントは、外科手術を必要とする歯科治療です。従来法よりも手間や時間、お金がかかる分、装置としての寿命も比較的長いことで知られています。それでもやはり、インプラントにも寿命はやっていきます。寿命を迎えたインプラントを使い続けることはとても危険です。ここではそんなインプラントの平均寿命やそれ短くする原因、寿命がきた場合の対処法などを詳しく解説します。

インプラントの平均寿命

外科手術で顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラントは、10~15年くらい持つのが一般的です。保険診療で作る入れ歯は3~4年、ブリッジは7~8年と言われていることを踏まえると、インプラントの平均寿命はかなり長いと言えます。そもそも、インプラントには「10年保証」が付いていることがほとんどであり、少なくとも10年は持つものと考えて良いでしょう。ただし、それはインプラント治療後のセルフケアと、プロフェッショナルケア(メンテナンス)を適切に続けることが前提となります。

インプラントの寿命を短くする原因

インプラントの寿命を短くする原因

上段で述べたように、インプラントの平均寿命はかなり長いですが、いくつかの理由で短くなることがあります。とりわけ以下に挙げる5つの原因には十分な注意が必要です。

原因①メンテナンスの不足

インプラント治療後には、歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける必要があります。メンテナンスは人工歯根であるインプラント体や歯茎を始めとした歯周組織、上部構造の異常を早期発見する上で重要です。定期的なメンテナンスを怠ると、インプラントの異常に気付かないだけでなく、保証も受けられなくなるためご注意ください。そうしたプロフェッショナルケアを継続的に受けることで、インプラントを長持ちさせることが可能となります。

原因②インプラント周囲炎

インプラントの寿命を縮める主な原因は「インプラント周囲炎」です。インプラント体を埋め込んだ周りの歯茎や顎の骨に炎症が起こる病気で、一般的な歯周病よりも進行が早いのが特徴です。「インプラント周囲粘膜炎」という、通常の歯肉炎に当たる段階で治療を行えば、比較的容易に治せますが、インプラント周囲炎まで発展してしまうと、人工歯根が脱落するリスクも高まります。

原因③質が低いインプラントの使用

いわゆる“格安インプラント”では、質が低いインプラント体を使っていることが多いです。一見すると標準的なインプラントに見えたとしても、実際は劣化しやすい素材であったりします。質が低いインプラントはそもそも顎の骨との結合も悪く、早期に寿命を迎えることになるでしょう。

原因④歯ぎしり・食いしばり

インプラントは、見た目も噛み心地も天然歯にそっくりな装置といっても間違いではありませんが、あくまで人工物であることを忘れてはいけません。とくに顎の骨との結合に「歯根膜(しこんまく)」というクッションの役割を果たす組織が介在していない点には注意が必要です。インプラント治療後に歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖が残っていると、顎の骨へ過剰な負担がかかって炎症を引き起こします。その結果、インプラントの定着が悪くなり、寿命が縮まります。

原因⑤喫煙

喫煙は、インプラントにトラブルを引き起こすリスク因子となります。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、インプラントを取り巻く歯周組織の血流を悪くし、感染症リスクを高めます。具体的には、インプラント周囲炎のリスクが大きく上昇するのです。喫煙習慣がある人がインプラント周囲炎を発症してしまうと、完治させることが極めて難しくなるため十分な注意が必要です。

インプラントの保証期間

標準的なインプラント治療には、5~10年の保証が付きます。メジャーなインプラントメーカーの場合は10年保証が付いていることが多いです。保証期間内であれば、再治療を無償で受けられます。ただし、インプラント体と上部構造では、保証期間や保証内容が異なる場合もあるため、事前にきちんと確認しておくことが大切です。

インプラントの寿命がきたらどうする?

インプラントに何らかのトラブルが発生して寿命を迎えた場合の対処法としては、3つの選択肢が存在しています。
それは「インプラント治療をもう一度行う」「入れ歯を作る」「ブリッジを装着する」の3つです。どの選択肢が最善であるかは患者さんのお口の中の状態によって変わります。顎の骨に大きな問題がなく、保証期間も過ぎていない場合は、インプラント治療を再度行った方が良いでしょう。

寿命が過ぎたインプラントを使い続けるリスク

寿命が過ぎたインプラントを使い続けるリスク

寿命を過ぎたインプラントは、適切な機能を発揮できなくなります。そのまま使い続けると、次にあげるようなリスクを伴うため十分な注意が必要です。

リスク①インプラントが脱落する

寿命を迎えたインプラントは、いつ脱落してもおかしくありません。脱落した際に、上部構造やインプラント体を飲み込んでしまうリスクが生じます。噛んだ時の力は周りの歯で支えなければならなくなり、残存歯の寿命まで縮めることになるのです。

リスク②痛みが生じる

インプラント周囲炎などが原因で寿命を迎えたインプラントは、そのまま使い続けると痛みが生じます。放置すると病巣が広がり、歯茎や歯槽骨といった歯周組織に深刻なダメージを与えることもあります。

リスク③再治療ができなくなる

寿命を迎えたインプラントは、歯茎や顎の骨に大きな負担をかけます。その結果、再治療が難しくなるほど、歯周組織が破壊されてしまうこともあるのです。インプラント治療を再び行うという選択肢を失わないためにも、早期に対処することが大切です。

リスク④隣接する歯に悪影響を及ぼす

インプラントは独立した装置ですが、寿命を迎えた場合は、隣接する歯に悪影響をもたらします。噛んだ時の力が隣の歯に集中したり、歯並び・噛み合わせを悪くしたりする場合もあります。

ポイント

インプラントの寿命を延ばすためのポイント

以下のポイントに留意することで、インプラントの寿命を延ばしやすくなります。

ポイント①セルフケアを丁寧に行う

インプラントの周りは、天然歯よりも汚れがたまりやすいです。毎日のセルフケアでは、丁寧にブラッシングすることを心がけましょう。そうすることで、インプラントの天敵である歯周病を予防できます。

ポイント②定期的にメンテナンスを受ける

インプラントの寿命を延ばす上で、定期的なメンテナンスはセルフケアと同じくらい重要となります。メンテナンスでは、インプラントの清掃や歯科医師による精密な検査などを受けることができます。当然ですが、定期的なメンテナンスはインプラント治療を受けた歯科医院を受診するようにしましょう。ひと言でインプラントといっても採用しているメーカーやシステムが異なりますし、そもそも治療過程がわかっているのとそうでないのとでは、メンテナンスの精度も大きく変わってきます。

ポイント③噛み合わせのチェックを受ける

インプラントの噛み合わせが悪くなっていると、顎の骨や人工歯根に過剰な負担がかかってしまいます。そうしたトラブルを未然に防ぐためにも噛み合わせのチェックは定期的に受けるようにしましょう。

ポイント④減煙・禁煙

喫煙習慣は、インプラントの寿命を確実に縮めます。ですから、インプラントの寿命を延ばすためにはタバコを吸う本数を減らしたり、完全に禁煙したりすることが大切です。

まとめ

今回は、インプラントの寿命や寿命がきたあとについて解説しました。インプラントの平均寿命は10~15年程度といわれていますが、治療後のケア次第で20年、25年と延ばすことは十分可能です。
それでもインプラントが寿命を迎えてしまったら、無理に使い続けることはせず、適切な治療を受けましょう。インプラントをもう一回埋め込む、ブリッジを装着する、入れ歯を入れるといった治療の選択肢が提示されるかと思いますので、ご自身のお口の環境や予算に合った最善といえる方法を選ぶようにしてください。