インプラント治療中の仮歯はいつから入れる?期間・役割・注意点等も解説

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歯科コラム/2023年11月8日

インプラント治療中の仮歯はいつから入れる?期間・役割・注意点等も解説

一般的な被せ物治療では、仮歯の期間が存在しています。仮歯は、最終的な被せ物ほどきれいではなく、装着感もあまり良くないのですが、いろいろな役割を担っていることから軽視するわけにはいきません。それはインプラント治療も同様です。今回はそんなインプラント治療の仮歯の期間や役割、注意点などを詳しく解説していきます。

インプラント治療と仮歯

インプラント治療には、顎にチタン製の人工歯根を埋め込む外科手術を伴います。インプラント体もしくはフィクスチャーと呼ばれる人工歯根は、インプラント治療の“かなめ”ともいえるパーツです。その人工歯根が顎骨と結合するまでの数ヵ月間、装着するのが仮歯という人工歯です。いわゆる治癒期間を人工歯がない状態で過ごすことは、さまざまなデメリットを伴うことから、仮歯を装着する必要性が出てくるのです。

仮歯を入れる期間

インプラント治療において仮歯を入れる期間は、ケースによって変わってきます。一般的には、人工歯根であるインプラント体と顎の骨が結合するまで仮歯の状態で過ごします。この期間は、長ければ半年程度に及ぶ場合もありますが、その点は歯科医院の方針や患者さんのお口の状態、インプラント体を埋入した位置によって変動するため、気になる方は歯医者さんに質問してみましょう。

仮歯を入れるのはいつから?

インプラント治療で仮歯を入れるタイミングは、人工歯根にあたるインプラント体を顎の骨に埋め込んだ後です。といってもインプラント手術直後に仮歯を入れるのではなく、前歯や奥歯に出来た傷口の状態が良くなるまでは安静に過ごすことになります。ですので基本的には、傷口から糸を抜くまでは、仮歯を入れることはありません。

奥歯に関しては、そもそも仮歯を入れないでインプラント治療を進めていくこともありますので、その点は事前にしっかりと確認しておきましょう。ちなみに、インプラント治療の術式によっては、手術と同時に仮歯を入れることもできます。顎の骨の状態が良好であったり、かみ合わせが正常であったりする場合は、その日に仮歯を入れることも可能ですが、現状は例外的なケースといえるでしょう。

インプラント治療中に入れる仮歯の役割

インプラント治療の仮歯には、以下に挙げる6つの役割があります。

役割➀見た目を保つ

インプラントは、歯がない部位に人工歯根を埋め込む治療です。最終的な人工歯を装着するまでは、歯列内に欠損がある状態となるため、見た目があまり良くありません。そこで仮歯を装着して、自然な見た目を保つのです。とくに前歯の治療の場合は、仮歯が必須といえるくらい、審美面において重要な役割を果たします。前歯を3~6ヵ月も失った状態で過ごすことは、多くの方にとって苦痛であることは間違いありません。

役割②かみ合わせを維持して歯並びの歪みを防ぐ

歯というのは、お互いがお互いを支え合って機能しています。その中の1本でもなくなると、かみ合わせが崩れて特定の部位にだけ大きな負担がかかるようになるのです。その結果、全体の歯並びに歪みが生じます。人工歯根と顎の骨が結合するまでの数ヵ月間であったとしても、そうした歯並びの変化は生じうるため、仮歯で防止する必要があるのです。

役割➂細菌などから患部を保護する

お口の中には無数の細菌や真菌が存在しています。その数は数千億に及ぶともいわれています。インプラント手術を行った後は、患部が外からの刺激を受けやすくなっており、感染リスクも上昇している点に注意が必要です。仮歯を装着することで患部を保護できれば、治癒期間における感染リスクを下げられます。

役割④発音しやすくなる

私たちの歯は、そしゃくだけでなく、発音機能にも大きな影響を与えています。何らかの理由で歯を失った経験がある方ならわかるかと思いますが、歯列内に欠損部があると、発音や滑舌が悪くなってしまうものです。仮歯で欠損部を埋めることができれば、治癒期間中の発音障害も防止できます。

役割⑤顎骨や歯茎の状態を安定させる

人工歯根が定着するまでの治癒期間を歯がない状態で過ごすと、顎骨や歯茎もそれに適応していきます。そうなると最終的な人工歯を入れにくくなってしまうことから、仮歯で歯茎や顎の骨の状態を安定化させる必要があるのです。とくに歯茎の状態は手術後から数ヵ月で大きく変化することが予想されるため、仮歯を装着して理想に近い形態へと誘導することは極めて重要となります。これはインプラント治療の仮歯が担っている役割としては、盲点になりやすいポイントといえるでしょう。

役割⑥食事がとりやすくなる

仮歯はあくまで仮の歯なので、最終的な人工歯のようにしっかり噛むことはできません。着脱式の入れ歯とも少し異なる役割を担っているため、過信するのは良くないのですが、そしゃく機能をサポートしてくれることに間違いはありません。数ヵ月に及ぶ治癒期間中も仮歯があることで、食事がとりやすくなることでしょう。仮歯の期間中は硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は極力避けることが前提となりますが、お粥やスープばかり食べる必要はありません。仮歯以外の部分であればしっかり噛むことができますので、栄養のあるものをバランスよくとるようにしてください。

インプラント治療中に仮歯を入れた場合の注意点       

インプラント治療で入れる仮歯には、以下に挙げるような4つの注意点があります。

注意点①仮歯への刺激を避ける

仮歯は、歯科用プラスチックで作るのが一般的です。かんたんに取り外せるように、接着も弱くなっている点にご注意ください。硬い食べ物を噛むと仮歯が割れることがありますし、粘着性の高い食べ物は仮歯の脱離につながります。こうした食事における注意点は、しっかりと守る必要があります。また、歯磨きの際に強圧でブラッシングすることも仮歯の破損を招くことがあるため、その点もご注意ください。普段から仮歯には刺激を与えないよう配慮することが大切です。

注意点②仮歯が外れたり欠けたりしたら放置しない

仮歯は“仮の歯”ではありますが、上段で説明したような重要な役割を担っています。何かの拍子に外れたり、欠けたりした場合は放置せず、主治医に連絡しましょう。次の診療が近ければ、そのまま様子を見ることもありますが、基本的には仮歯を付け直したり、作り直したりしなければなりません。仮歯が外れた状態で放置すると、歯並びやかみ合わせが乱れたり、審美障害や発音障害などが現れたりします。

注意点③仮歯の歯磨きも怠らない

仮歯は、本物の人工歯より不安定で脆いため、かための歯ブラシでゴシゴシ磨くのは推奨できません。だからといって歯磨きを怠ると汚れがたまった歯周病などを引き起こしてしまいます。ですから、仮歯も適切な方法でやさしくていねいにブラッシングする必要があります。

注意点④仮歯を入れた状態で治療を中断しない

仮歯は最終的な人工歯の代用品でしかありません。1年も経過すれば、摩耗や変色が進み、場合によっては脱離する可能性が高まります。プラスチック製の仮歯は汚れがたまりやすいことから、歯周病リスクも高くなるため、その状態で放置することだけはやめましょう。顎の骨とインプラント体が結合したら、予定通り最終的な人工歯を付けることが必須といえます。

仮歯を入れる必要がない「即時負荷インプラント」

インプラントには、仮歯を入れる必要がない治療法もあります。「即時負荷インプラント」と呼ばれるもので、人工歯根を埋め込んだその日に最終的な人工歯を装着することができます。歯がない、もしくは仮歯の期間が一切ないため、不自由を感じることが少なくなります。さらに治療期間が短く、通院回数も少なくなるというメリットも伴いますが、適応できるのは一部の症例に限られます。

具体的には、顎の骨がしっかりしていて、人工歯根との結合を妨げるような要因がないことが前提となります。また、即時負荷インプラントは歯科医師側にも高い技術が求められる治療法であることから、どの歯科医院でも受けられるものではない点にご注意ください。仮に、即時負荷インプラントに対応していたとしても、過去にどのくらいの症例を経験しているかどうかをしっかり確認した方がいいでしょう。

まとめ

このように、インプラント治療では仮歯を装着する期間が存在しています。一般的なケースでは、人工歯根であるインプラント体を顎の骨に埋め込み、傷口が安定したタイミングで仮歯を入れます。本物の人工歯を入れるまでには数ヵ月を要するため、仮歯で過ごす期間もそれなりに長くなる点に注意しなければなりません。

しかもインプラント治療の仮歯には、「見た目を良くする」「かみ合わせを維持する」「患部を保護する」「発音障害を防止する」「歯茎の状態を安定化させる」「食事をしやすくする」といった重要な役割があるのです。そんなインプラント治療の仮歯についてもっと詳しく知りたい、疑問に思っていることがある、という方はいつでもお気軽に当院までご相談ください。一つひとつのご質問にわかりやすくお答えします。