インプラントは年を取ったらどうなる?寿命を縮める原因と延ばす方法等を解説

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歯科コラム/2023年10月24日

インプラントは年を取ったらどうなる?寿命を縮める原因と延ばす方法等を解説

インプラントは、失った天然歯の見た目や機能を忠実に再現できる装置ではありますが「年を取ったらどうなるのだろう」という疑問が生じます。インプラントといえども本物の歯ではないため、いつかは寿命が訪れます。一般的にインプラントの寿命は10年以上といわれていますが、治療後のケアの仕方によって大きく変わる点に注意しなければなりません。ここではそんなインプラント治療の寿命やそれを縮める原因、延ばす方法などをわかりやすく解説します。失った歯の治療法としてインプラントを考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

インプラントの平均寿命

ひと言でインプラントといっても、その種類は100以上にも及び、それぞれで使用する材料や術式が変わります。そのためインプラントの寿命を一概に語ることは難しいのですが、冒頭でも述べたように一般的には10年前後は持つものと考えられています。そもそも最近のメジャーなインプラントには「10年保証」が付けられており、適切なケアを実施していれば少なくとも10年持つものと考えて間違いはないでしょう。

ちなみに、インプラントの平均寿命を決めているのは、顎の骨に埋め込むチタン製の人工歯根だけではありません。人工歯にあたる上部構造の損耗や故障もインプラントの寿命を大きく左右します。ですから、インプラントの寿命を延ばすためには、人工歯根に加えて、上部構造の状態にも常に気を配る必要があるのです。しかしそれは、定期的なメンテナンスを受けることでほぼ達成されることでしょう。

日本口腔インプラント学会が公表したアンケート結果によると、インプラント治療から20年以上経過した患者さんの約7割が長期的に問題なく使えていると回答しています。この結果を踏まえた上でも、やはりインプラントの平均寿命は10年以上あるものと考えられます。

入れ歯・ブリッジの平均寿命

天然歯を失った場合の治療法として、インプラント以外にも入れ歯やブリッジが挙げられます。どちらも保険が適用される治療法で、外科手術も不要であることから、とりあえず入れ歯・ブリッジを入れてみようと考える方も多いことでしょう。そこで気になるのが入れ歯やブリッジの平均寿命ですよね。入れ歯の平均寿命は3~4年程度といわれています。インプラントと比較すると、寿命が1/3にまで低下します。また、ブリッジの平均寿命は7~8年で、入れ歯よりはかなり長くなっているもののインプラントには敵いません。つまり、安く作ることができる入れ歯・ブリッジには、寿命が短いという大きなデメリットを伴うのです。

インプラントの寿命を縮める主な原因

ここからはインプラントの寿命を縮める原因について考えていきましょう。何がインプラントに悪影響を及ぼすのかを知れば、自ずと寿命を延ばす方法も見えてきます。

【原因①】インプラント周囲炎の発症

インプラントの寿命を迎えた人の多くは、感染症にかかっています。それは歯周病菌によって引き起こされる「インプラント周囲炎」という感染症です。インプラント治療に伴う感染は、インプラント手術の最中や直後に起こることもありますが、歯周病の一種であるインプラント周囲炎は、年を取った時に発症するケースが多いです。それはインプラントの周りに汚れがたまり、歯垢・歯石が形成されることで歯周病菌が繁殖するからです。つまり、手術を受けた後だけでなく、すべての治療が完了した後もセルフケア・プロフェッショナルケアを怠ってはいけないのです。

【原因②】料金設定の安さで歯科医院を選択

インプラントは高額な費用がかかる治療法なだけに、料金の安い歯科医院を探しがちです。日用品や一般的なサービスであれば、そのような考え方でも悪くないのですが、インプラントはれっきとした医療です。適切な治療結果を得るには、インプラント1本あたり300,000~500,000円程度の費用がどうしてもかかってしまうのです。それにも関わらずインプラント1本100,000円程度に料金設定している歯科医院は、何らかの理由があると言わざるを得ません。

例えば、品質の良くない材料を使っていたり、経験の少ない歯科医師が手術を担当したりするなどの理由から、格安でインプラント治療を行っている歯科医院も存在しています。そうした格安インプラントを選んでしまうと、結果的にはデメリットの方が大きくなることが多いため、十分にご注意ください。

【原因③】歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりでは、歯や顎に最大で100kg程度の力が加わるといわれています。眠っている間に起こる歯ぎしりは、長時間、継続することもあるため、その分だけ天然歯やインプラントにかかる負担も大きくなります。適切な方法で埋入したインプラントでもそのような過酷な状況では、あっという間に寿命が縮まっていくことでしょう。

インプラントの寿命を延ばす方法

続いては、インプラントの寿命を延ばす方法についてです。インプラントを長持ちさせたい、できれば一生涯使い続けたいという方は、次に挙げる方法を実践してみてください。

【方法①】定期的にメンテナンスを受ける

インプラント治療が終わったら、メンテナンスを定期的に受けましょう。インプラントのメンテナンスは、少なくとも1年に2回以上受けましょう。治療の後のメンテナンスを怠るとインプラントの異常に気付くことができません。歯周病や周りの歯の虫歯もインプラントの寿命を縮める要因となることから、できれば3~4ヵ月に1回くらいの頻度で定期検診を受けると良いです。ちなみに、インプラントに付随する保証は、定期的なメンテナンスを受けることが前提となっています。

【方法②】歯ぎしり・食いしばりの改善

インプラント治療前だけでなく、インプラント治療後にも歯ぎしり・食いしばりが見られる場合は、早期に改善する必要があります。歯ぎしり・食いしばりを自分でとり除くことが出来ない場合は、歯科医院で治療を受けましょう。歯科医院では、歯ぎしりを改善するためのスプリント療法などを実施しています。

【方法③】喫煙回数を減らす

タバコを吸う習慣がある方は、喫煙の回数をできるだけ減らすようにしてください。タバコはインプラント周囲炎の主なリスクとなっています。喫煙回数が多い人は、それだけでインプラントの寿命を縮めてしまうのです。インプラントの寿命を延ばすために喫煙回数を減らすことは必須として、可能であれば禁煙に取り組んでみてください。タバコはお口と全身の健康を脅かす厄介な嗜好品なので、早期にやめることが望ましいです。

インプラントが寿命を迎えた場合は再手術が可能

インプラントが寿命を迎えた場合は、いくつかの選択肢が用意されています。第一に挙げられるのは「再手術」です。顎の骨に大きな問題がなければ、再び人工歯根を埋め込む手術を行います。治療後のケアやメンテナンスの状況が良ければ、その後もまた10年以上インプラントを使い続けることも難しくありません。ただ、歯科医院での定期的なメンテナンスを受けておらず、顎の骨の状態が悪かった場合は、再び手術を行うことが不可能なケースもあります。そうしたケースでは、従来の治療法であるブリッジや入れ歯で対応する必要があります。その点も含めて、インプラント治療後のメンテナンスはしっかり行っていくに越したことはないのです。

まとめ

今回は、年を取ったらインプラントはどうなるのか、インプラントの寿命を縮める原因や延ばす方法について解説しました。インプラントの寿命は10年程度といわれていますが、しっかりとケアすれば年を取っても問題なく使い続けることが可能です。仮にインプラントが寿命を迎えたとしても、再手術という選択肢が残されていることも忘れないでください。

インプラントの寿命を延ばすだけでなく、再手術という選択肢を残すためにも、治療後のセルフケアと歯科医院のメンテナンス・プロフェッショナルは、しっかり両立させるようにしてください。そうすれば美しく、よく噛める人工歯根+人工歯をいつまでも使い続けることができます。それはあなたにとって極めて大きなメリットとなります。