前歯のインプラントが難しい理由とは?メリットや費用等も解説

> 高田馬場駅前デンタルクリニック > 前歯のインプラントが難しい理由とは?メリットや費用等も解説

歯科コラム/2023年1月23日

前歯のインプラントが難しい理由とは?メリットや費用等も解説

インプラントは、失った歯を限りなく天然歯に近い形で回復できる治療法ですが、前歯に適応する場合には注意が必要です。なぜなら、前歯のインプラントは奥歯よりも難しくなることが多いからです。今回はそんな前歯のインプラントが難しい理由や治療に伴うメリット、費用などを詳しく解説します。

前歯のインプラント治療が難しい理由

前歯のインプラント治療が難しい理由としては、主に以下の3点が挙げられます。

難しい①顎の骨が薄い

私たちの顎は、部位によって厚みが大きく異なります。咀嚼の主体となる奥歯の部分は、顎の骨が厚く、幅も広いです。一方、食べ物を噛み切るための前歯の部分は、顎の骨も比較的薄くなっています。インプラント治療では必ずチタン製の人工歯根を顎に埋め込まなければならないため、骨が薄いと手術も自ずと難しくなります。しかも、前歯の顎の骨は加齢などで痩せていきやすいため、高齢になるほどインプラントが難しくなるといえるでしょう。

難しい②審美性に問題が起こる可能性がある

上述したように、前歯の骨は薄くて痩せやすいです。そうした制限のある部位に人工歯根を埋め込む場合は、機能面だけでなく、審美面でも問題が起こりやすくなります。
顎の骨が痩せるということは、歯茎が下がることを意味するため、人工歯根であるインプラント体の一部が露出することもありえます。歯茎から金属色が透けて見えるだけでも口元の見た目は悪くなるので、インプラント体やアバットメントがむき出しとなった場合は更に審美性に問題が出てくることでしょう。
そうした現象が手術からどのくらいの期間で現れるかはケースによって異なりますが、前歯のインプラント治療は奥歯よりもそのリスクが高いということを知っておく必要があります。もちろんこれはあくまで可能性であり、治療を担当する歯科医師の知識や経験が豊富であれば、回避することもできます。

難しい③治療費が高い

前歯のインプラント治療で、顎の骨が薄い、もしくは足りない場合は、骨を造る手術などを別途行う必要が出てきます。「GBR」や「スプリットクレスト」などの骨造成です。これらも当然、自費診療となるため、それなりの費用が発生します。また、インプラント治療自体の難易度も上がることから、標準的な料金よりも高くなる場合もあります。その結果、経済面で前歯のインプラント治療を諦めざるを得なくなる方も出てきます。

前歯を失った場合のインプラント以外の方法

経済面で前歯のインプラント治療が難しい場合は、従来法から選択することになります。前歯を失った際に適応される最も標準的な治療法は、「ブリッジ」と「入れ歯」です。

方法①ブリッジ

ブリッジは、インプラント治療と同じ固定式の装置です。残った歯を支えとして、人工歯が連結された装置を被せます。見た目や噛み心地は入れ歯よりも良く、安定性も高い点がメリットです。ただし、支えとなる歯を大きく削らなければならないため、残った歯に与えるダメージは比較的大きいと言わざるを得ません。また、ブリッジは失った歯の本数が1~2本、多くて3本までが適応しやすい装置なので、それ以上多くの歯が抜けている場合は、入れ歯かインプラントを選択した方が良いでしょう。ブリッジの構造を見ていただくとわかりますが、長すぎると途中で折れるリスクが高まるのです。

方法②入れ歯

入れ歯は、取り外し式の装置で、1本からすべての歯を失った症例まで適応できます。前歯だけを失った場合は「部分入れ歯」という人工歯と義歯床(ぎししょう)、金属製のクラスプ(留め具)から構成される装置を使います。残った歯にクラスプを引っ掛けて固定するため、健康な歯を削る必要はありません。壊れた際に修理がしやすいのも入れ歯のメリットのひとつとして挙げられます。しかし、寿命はブリッジよりも短く、保険適用の入れ歯は3~4年で使えなくなることが多いです。また、固定式の装置と比べて安定性が悪く、食事や会話をしている時に、装置がズレることがあるのも入れ歯のデメリットといえるでしょう。

前歯をインプラントにするメリット

ここまで、前歯のインプラント治療が難しい理由とその他の治療の選択肢について解説してきましたが、前歯をインプラントで治療するメリットについても知りたいですよね。主に以下の5点がメリットとして挙げられます。

メリット①審美性が高い

前歯をインプラントで治療するメリットとしては、審美性の高さが第一に挙げられます。インプラントにはその他の治療法にはない「人工歯根」があるため、装置の天然歯(自然歯)そっくりに仕上げることが可能です。人工歯の部分もセラミックで作ることで、歯を失う前と同じかそれ以上に回復できます。ですから、審美性を追求するのであれば、ブリッジや入れ歯ではなく、インプラントを選択した方が良いと言えます。

メリット②周辺の歯を傷つけずに治療できる

上述したように、ブリッジは両隣の歯を大きく削らなければならず、入れ歯も周囲の歯の支えを必要とします。一方、顎の骨に埋め込んだ人工歯根が土台となるインプラントでは、周囲の歯に支えを求める必要がありません。残った歯を傷つけることなく、美しくて健康的な人工歯が手に入るのです。特に前歯というのは見た目が気になる部分ですし、残った歯を傷つけたくないという方も多いことでしょう。インプラントであれば、そうした患者さまのご要望にもしっかり応えることができます。

メリット③噛む力が強い

前歯をインプラントで治療するメリットとしては、「噛む力が強い」という点も忘れてはいけません。そもそも歯というのは噛むために存在しているものです。当然ですが人工歯にも噛む力を回復させることが求められます。その時、重要となるのが何を支えとするかです。入れ歯の支えとなるとは「粘膜」です。歯が抜けた部分に義歯床(ぎししょう)というレジン製のプレートを設置して、噛んだ時の力を支えます。
ブリッジは「残った歯」に支えを求めるため、入れ歯よりは噛む力が強くなりますが、それでもインプラントにはかないません。なぜなら、インプラントには「人工歯根」が存在しているからです。顎の骨に埋め込まれたチタン製の人工歯根は、天然の歯の根っことほぼ同じ役割を果たすことから、噛む力も自ずと強くなります。インプラントは失った歯の噛む力を8~9割程度、回復できると言われています。
噛む力が強くなると、食事に制限がかからなくなります。また、顎の筋肉が発達し、いつまでも若々しい見た目を維持しやすくなります。さらには、歯茎や顎の骨が痩せていく現象も抑えられ、お口全体の健康維持・増進にも寄与することでしょう。

メリット④他の歯への負担が少ない

インプラントは、他の歯に負担をかけることがほとんどない治療法です。前歯を1本失った場合は、そこにチタン製の人工歯根を埋め込み、アバットメントと上部構造(人工歯)を装着することで治療が完了します。噛んだ時の力もインプラントおよび顎の骨が受けとめるため、周囲に過剰な負担をかけることがないのです。人工歯根がない入れ歯やブリッジとは大きく異なる点といえます。

メリット⑤寿命が長い

インプラントには、装置の寿命が長いというメリットもあります。装置の寿命は治療後のケアの状況によって大きく変わるため、一概に語るのは難しいものの、従来法と比較するとインプラントの寿命は明らかに長くなっています。
まず、保険診療で製作する入れ歯の寿命ですが、一般的には4~5年持てば良いと言われています。入れ歯は故障しやすく、経年的な変化も起こりやすいので、2~3年で新しいものに作り変えることも珍しくありません。歯列内に固定するブリッジは寿命も比較的長く、7~8年くらいは問題なく使い続けられます。
一方、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込むインプラントには、10年保証を付ける歯科医院が大半を占めます。つまりインプラントは10年持って当たり前というのが一般的な考え方なのです。実際、インプラント治療には「10年生存率」という有名なデータがあり、人工歯根を埋め込んでから10年経過しても問題なく使い続けていられているケースが9割を超えています。
ただし、治療後のメンテナンスをしっかり行っていることが前提条件となります。治療後のメンテナンスを怠ると、インプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」のリスクが上がったり、装置が故障したりすることで寿命を迎えてしまいます。逆に、治療後のメンテナンスを徹底していると、15年、20年とインプラントを長持ちさせることも難しくなくなります。

インプラントの治療期間

インプラントの治療期間は、一般的な歯科治療よりもやや長いです。それは人工歯根である「インプラント体」を顎の骨に埋め込まなければならないからです。人工歯根を埋入する1次手術を行ったら、少なくも2~3ヵ月は経過を見なければなりません。チタン製の人工歯根と顎の骨が結合する現象にはそれくらい長い期間を要するのです。
2次手術は、「アバットメント」という連結装置を装着するためのもので、1次手術ほど長い治癒期間を設ける必要はありません。手術から数週間後には、人工歯である上部構造の製作および装着へと移行できます。そうしたインプラント治療全体の期間としては、3~6ヵ月程度を目安としておくと良いでしょう。インプラントを埋め込む本数が多かったり、歯茎や顎の骨を再生する手術を必要とする状態であったりする場合は、治療期間も自ずと長くなりますので、その点は歯科医院にお問合せください。

1本当たりのインプラントの費用

インプラントは自費診療なので、歯科医院によって料金設定も大きく異なります。インプラントメーカーによっても費用に差が出てきます。それでも全国的な費用相場というものがあり、現状は奥歯と変わらず、インプラント1本あたり300,000~400,000円前後となっています。これはあくまで標準的なインプラント治療の費用であり、骨を造る手術などを実施した場合はさらに高くなります。

インプラントの治療費が保険適用されるケース

インプラントは、高額な費用がかかる治療法なので、保険が適用されたら助かりますよね。3割負担と10割負担では、家計に与える影響に雲泥の差が出ます。しかし、インプラントに保険が適用されるケースは極めて稀であるので、基本的には全額自己負担で受けることを前提として考えた方が良いでしょう。
例外的に、インプラントで保険が適用されるのは、先天的な病気や事故で多くの歯や顎の骨を失い、正常に噛むことができないようなケースです。また、保険診療でインプラント治療を実施できる医療施設も一部に限られます。それらの条件を満たしている場合は、前歯でも奥歯でもインプラント治療を保険診療で受けることができます。

まとめ

このように、前歯のインプラント治療は、いくつかの理由で奥歯よりも難しくなっています。それでも受けるメリットは大きいことから、たくさんの人が入れ歯やブリッジではなくインプラントを選択しているのが現実です。そんな前歯のインプラント治療についてもっと詳しく知りたい、信頼のできる歯科医院に相談したいという方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。当院はインプラント治療の実績が豊富な歯科医院です。