インプラント治療で歯がない期間はある?その期間や仮歯を入れる理由等を解説

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歯科コラム/2023年8月8日

インプラント治療で歯がない期間はある?その期間や仮歯を入れる理由等を解説

インプラント治療には、従来法とは異なる点が多々あります。その中でも治療期間の違いに関しては、不安を感じる方が多いようです。標準的な症例でも半年以上の期間を要するため、その分、歯がない期間も長くなります。ここではそんなインプラント治療で歯がない期間や仮歯を入れる理由などを詳しく解説します。

インプラント治療中に歯がない期間はある?

冒頭でも触れたように、インプラント治療には歯がない期間が存在します。それは人工歯根である「インプラント体」を顎の骨に埋め込むという処置が必要だからです。チタン製のインプラント体が顎の骨と結合するまでにはそれ相応の期間が必要であり、その間は仮歯で過ごすこととなります。きちんと噛める歯がない状態が続くため、治療中は不便さを感じる場面も多くなりますが、最終的には綺麗な人工歯(上部構造)を装着できますのでご安心ください。

インプラント治療の流れ

インプラント治療全体の流れを理解すると、歯がない期間がどのプロセスに当たるのかもわかりやすくなります。ここではインプラント治療の大まかな流れをご紹介します。

流れ①カウンセリング

インプラント治療もはじめはカウンセリングからスタートします。インプラント手術に伴うリスクや治療期間、入れ歯やブリッジとの違いなど、気になることがあれば何でも質問しましょう。カウンセリングの段階で、インプラントへの疑問や不安を解消しておくと、その後の治療もスムーズに進めることができます。治療にかかる費用の内訳も詳細に確認しておきましょう。

流れ②精密検査

口腔内検査やレントゲン撮影、CT撮影などを行って、お口の中や歯周組織、顎の骨の状態を精密に調べます。その上でインプラント治療が適しているかどうかを判断します。インプラント治療が行えるケースであれば、治療計画を立案して、患者さんに説明します。この段階でもいろいろな質問を行えますので、気になることがあれば尋ねてください。精密検査および治療計画の立案が終わったからといって、インプラント治療を必ずスタートさせなければならないということではありません。最も重要なのは患者さんの意志です。

流れ③インプラント手術

お口の中や顎の骨に問題がなければ、インプラント体を顎の骨に埋め込む手術を実施します。歯茎をメスで切開して視野を確保し、顎の骨にドリルで穴を開けます。その中にチタン製のインプラント体を埋め込みます。手術を2回に分ける「2回法」の場合は、歯茎を縫合して手術を終えます。現状は、この方法が主流となっています。

流れ④待機期間

顎の骨に埋め込んだインプラント体は、ゆっくりと時間をかけて顎骨と結合します。この現象を「オッセオインテグレーション」と呼び、一般的に2~6ヵ月程度、待つ必要があります。待機期間中は、今回のテーマである「歯がない状態」となります。

流れ⑤2回目のインプラント手術(2回法の場合)

インプラント体と顎の骨が結合したら、連結装置であるアバットメントを装着する手術を行います。1回目の手術で縫合した部分を再び開いてインプラント体を露出させ、アバットメントを装着します。2回目の手術は比較的シンプルで、心身にかかる負担も少なくなっています。

流れ⑥被せ物の型取り・装着

アバットメントと歯茎の状態が安定したら、最後に被せ物の型取りを行って、上部構造を製作します。いよいよ本番の人工歯の登場です。インプラントの被せ物は、セラミックで作ることがほとんどで、天然歯にそっくりな見た目に仕上げられます。仮歯との違いに驚かれることでしょう。このように、インプラントでは治療の最終段階になるまでは、歯がない状態もしくは仮歯を着けている状態が続くと言えます。

歯がない期間はどれくらい?

インプラント治療で歯がない期間は、2~6ヵ月程度です。つまり、人工歯根を埋め込むインプラント手術後から、上部構造を装着するまでの期間が「歯がない状態」となります。ただし、これはあくまで目安であり、ケースによっては仮歯の期間がもっと長くなることも珍しくありません。とくに骨の状態が悪くて「骨造成」を行ったり、インプラント体を埋入する本数が多かったりする場合は、歯がない期間も比較的長くなると言えるでしょう。

歯がない期間に仮歯を入れる理由

インプラント手術後の歯がない期間中は、基本的に仮歯を入れることになります。それは次に挙げるような理由からです。

理由①審美性・発音を保つため

仮歯を入れる理由として最もわかりやすいのは、審美性の維持です。歯列というのは、完全に埋まっている状態が正常なので、1本でも欠損があるとものすごく目立ちます。そうした見た目の悪い状態で数ヵ月過ごすのは良くありませんよね。また、前歯のインプラント治療では、歯がない状態を放置すると発音に悪影響が出やすいということもあり、仮歯を着けるようにしています。もちろん、奥歯の場合も審美性の維持・発音障害の回避という観点から、仮歯を入れます。

理由②歯並び・噛み合わせを変化させないため

歯列内に歯がない部分があると、その周りの歯がすき間を埋めるように移動を始めます。それに伴い全体の噛み合わせも変化することから、手術を終えた後には仮歯でスペースを塞ぐ必要があります。待機期間中に歯並び・噛み合わせが変化すると、その後の処置を適切に進められなくなるリスクが生じるため、十分な注意が必要です。具体的には、スペースが狭くなって適切な大きさ・形の上部構造を装着できなくなるかもしれません。あるいは、噛み合わせが変化することでインプラントに過剰な負担がかかる状態にもなりかねないのです。

理由③傷口への刺激を防ぐため

インプラント手術を実施した部位は、傷口を負った状態となります。もちろん、そのままでもきれいに治癒させることは可能ですが、仮歯を装着することで、傷口への刺激を最小限に抑えられます。その結果、歯茎が守られて次のプロセスへと移行しやすくなるのです。ただ、仮歯があるからといって、普段通りに生活して良いということにはなりませんので、その点はご注意ください。次の章でもご説明する通り、治療中はいくつかの注意点があります。

仮歯を入れている期間中の注意点

インプラントの仮歯を入れている期間中は、次の2点にご注意ください。

注意点①仮歯に強い力をかけ過ぎない

インプラントの仮歯は、あくまで“仮の歯”です。一般的な被せ物とは強度や使用目的が大きく異なります。仮歯に対して強い力をかけすぎると、脱落するリスクが生じます。また、仮歯の期間中は、インプラント体が顎の骨に定着しておらず、不安定な状態となっていることから、強い力をかけると骨との結合が上手く進まなくなってしまいます。その結果、インプラント治療自体が失敗に終わる可能性も出てきますので、十分にご注意ください。

注意点②仮歯の周囲に汚れを溜めない

インプラントの仮歯は、歯科用プラスチックであるレジンで作られています。それもかなり質が低く、表面も粗造であるため、汚れが付きやすくなっている点に注意しなければなりません。仮歯の周囲に汚れを溜めると、歯茎に炎症が起こったり、傷口に細菌感染が生じたりします。そうなるとインプラント治療が失敗に終わる可能性も高まります。だからといって極端に強い力で磨くと歯茎などに過剰な負担がかかってしまいます。インプラント治療中の口腔ケア方法については、歯科医師および歯科衛生士のアドバイスを参考にして、上手に行うことが大切です。

まとめ

このように、インプラント治療では歯がない期間があります。それは人工歯根であるインプラント体が顎の骨に定着し、上部構造を装着するまでの期間です。一般的には2~6ヵ月程度の期間は仮歯で過ごすことになります。仮歯の期間が長い治療法なので、不安に感じることも多いかと思いますが、そこは歯科医師・歯科衛生士と一緒に頑張って乗り切りましょう。歯がない期間中に心配なことが出てきたら、すぐに歯科医院に相談すると良いでしょう。