インプラントかブリッジかどっちがいい?徹底比較とおすすめの人を解説

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歯科コラム/2023年4月10日

インプラントかブリッジかどっちがいい?徹底比較とおすすめの人を解説

ケガや虫歯などで歯を失った場合は、インプラント・ブリッジ・入れ歯の3つから治療法を選ぶことになります。それぞれに異なる特徴があり、適した症例も違ってきますが、今回は比較的類似点の多いインプラントとブリッジの2つを比較しながら、それらの違いについて解説します。

インプラント治療は、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上にアバットメント(土台)と上部構造(人工歯)を装着する方法です。ブリッジ治療は、欠損部の両隣の歯を大きく削って土台とする装置で、3本以上からなる連結した被せ物を装着する方法です。どちらも固定式の治療方法ではありますが、異なる点も多々見受けられます。

インプラントとブリッジの比較早見表

インプラント

ブリッジ

歯を削るかどうか

削らない

削る

治療箇所の周囲の状態から受ける影響

あり

なし

外科処置の要否

必要

不要

トラブルの有無

外科手術に伴うトラブルあり

通常の歯科治療と同様のトラブルあり

最大咬合力と咀嚼能率

天然歯に限りなく近い

天然歯の60%程度

周囲の歯への負担

なし

あり

違和感

なし

なし

審美性

極めて自然で美しい

装置の設計によっては審美性が悪くなる

平均寿命

10年以上

7~8年(保険診療)

メインテナンス方法

少し特殊

天然歯とほぼ同じ

費用

やや高い(保険適用外)

安い(保険適用)

治療期間

最短でも6ヵ月以上

3~4週間

インプラントとブリッジの比較

比較①歯を削るかどうか

インプラント

顎の骨に埋め込む人工歯根が土台となり、被せ物の支えとなるため残った歯を削る必要はありません。

ブリッジ

欠損部の人工歯を橋渡しするために、両隣の歯を全周にわたって1.0~1.5mm程度削らなければなりません。失った歯の本数が増えるほど、削る歯の本数も増えていきます。

比較②治療箇所の周囲の状態から受ける影響

インプラント

顎の骨にチタン製のネジ(=人工歯根)を埋め込む必要があるため、骨の状態は良好であることが前提となります。治療箇所の周囲に分布する神経や血管の位置にも最新の注意を払わなければなりません。

ブリッジ

欠損部の両隣の歯が健康であれば適応可能です。周囲の骨や歯周組織、神経の状態などに影響を受けることはありません。

比較③外科処置の要否

インプラント

すべてのケースにおいて外科処置が必須となります。歯茎をメスで切開し、顎の骨にドリルで穴を開けるなどの処置を実施するため、重度の高血圧症や糖尿病などを患っている場合は、インプラント治療を適応できないことがあります。

ブリッジ

出血を伴うような外科処置は不要です。歯茎や顎の骨に手を加えることはまずありません。重篤な全身疾患を患っていたとしても、基本的には施術可能です。

比較④トラブルの有無

インプラント

人工歯根の埋入手術を行う際、重要な神経や血管を傷つけるリスクがあります。術前・術後に細菌感染を招いたり、人工歯根が顎の骨に定着しなかったりするなどのトラブルも起こり得ます。

ブリッジ

支えとなる歯を大きく削ることで、歯が脆くなる・歯の寿命が縮まる・虫歯のリスクが高まるといったトラブルが起こり得ます。

比較⑤最大咬合力と咀嚼能率

インプラント

インプラントには人工歯根があることから、食べ物を噛み砕く「咀嚼(そしゃく)能率」は、天然歯の80%程度まで回復できると言われています。噛む力の最大値(=最大咬合力)は、天然歯とほぼ同じです。

ブリッジ

ブリッジには人工歯根がなく、欠損部には歯の頭の部分である歯冠(しかん)だけが配置されるため、咀嚼能率は天然歯の60%程度にとどまります。最大咬合力は、天然歯とほぼ同じです。

比較⑥周囲の歯への負担

インプラント

失った歯を歯根から回復できるインプラントは、独立した補綴(ほてつ)装置であるため、周囲の歯に負担を強いることはありません。噛んだ時の力は、上部構造と人工歯根、顎の骨でしっかりと受け止めます。

ブリッジ

ブリッジ治療では、欠損部にポンティックと呼ばれる歯冠だけの人工歯が配置されることから、噛む力は両隣の歯が受けて止める形となります。支えとなる歯には大きな負担がかかるため、その分、歯の寿命も短くなりがちです。

比較⑦違和感

インプラント

インプラント治療では、顎の骨に埋め込んだ人工歯根が上部構造をしっかりと支えるため、食事や会話中にズレたり、外れたりすることはありません。装着感も良好です。

ブリッジ

ブリッジもインプラントと同様、固定式の装置なので、入れ歯のような使用感の悪さはありません。ただし、人工歯を複数連結した形態のブリッジは、インプラントよりも装置による違和感が生じやすいといえます。

比較⑧審美性

インプラント

インプラントは、天然歯とほぼ同じ構造の装置であることから、審美性は極めて高いです。ただし、上部構造に銀歯を選択した場合は、インプラントでも見た目は悪くなります。

ブリッジ

人工歯を複数連結するブリッジは、審美性においてインプラントよりやや劣ります。人工歯の材料として金属を選択した場合は、見た目がさらに悪くなります。

比較➈平均寿命

インプラント

一般的には10年以上持つものと考えられています。いわゆる10年生存率は、90%以上です。

ブリッジ

10年生存率は、50~70%程度にとどまります。保険のブリッジは7~8年で寿命を迎えることが多いです。

比較➉メインテナンス方法

インプラントもブリッジも、歯科医院でクリーニングやスケーリング(歯石除去)を受けることで、良好な状態を維持できます。インプラントに関しては、上部構造を取り外してクリーニングするなど、少し特殊なメインテナンスも行われます。

比較⑪費用

インプラント

保険が適用されず、費用はやや高いです。

ブリッジ

保険と自費のどちらかを選択することができるため、治療にかかる費用を抑えることは可能です。

比較⑫治療期間

インプラント

インプラント治療には、人工歯根と顎の骨の結合を待つ治癒期間があるため、全体としては6~12ヵ月程度の期間を要します。

ブリッジ

一般的な症例では3~4週間で治療が完了します。

インプラントがおすすめな人

インプラント①他の歯を削りたくない人

健康な歯を一切削りたくないという人には、インプラント治療がおすすめです。インプラントは人工歯根が土台となるため、周りの歯を削る必要がありません。当然ですが、インプラントを埋め込む部位の歯は、抜歯する必要があります。これはブリッジや入れ歯も同じです。いわゆる補綴治療というのは、失った歯を補うために行うものなので、歯根だけでも残っていたら処置を進めることができなくなります。

インプラント②他の歯に負担をかけたくない人

インプラントは、噛んだ時の力を人工歯根と顎の骨で受けとめることができます。ブリッジのように両隣の歯に大きな負担をかける必要がなく、お口全体の健康維持にも寄与します。

インプラント③再治療・メインテナンスを簡単に済ませたい人

インプラントは、独立して存在している装置です。メンテナンスを行う時や再治療を行う時にも、他の歯に影響を与えることがありません。これは、インプラント治療における極めて大きなメリットといえます。

ブリッジがおすすめな人

ブリッジ①外科手術に抵抗がある人

ブリッジ治療は、歯茎をメスで切開したり、顎の骨にドリルで穴を開けたりする外科手術が不要です。通常の被せ物治療と同じような手順で失った歯の機能・審美性を回復させたい人には、インプラントよりブリッジの方がおすすめといえます。

ブリッジ②治療期間を短くしたい人

ブリッジは、インプラントよりも治療期間が短いです。これは手術が不要であるからです。標準的な症例なら3~4週間で治療が完了します。抜歯を伴う場合は、治癒期間も含めると1ヵ月以上の期間を要します。少なくとも、治療期間が半年以上はかかるインプラントとは大きく異なります。

ブリッジ③費用を抑えたい人

ブリッジを保険診療で受けた場合は、治療費を20,000円程度に抑えられます。1本当たり300,000~400,000円の費用がかかるインプラントと比較すると、かなりリーズナブルといえるでしょう。

ブリッジ④歯を削りたくない人

ブリッジは、両隣の歯を大きく削る必要性のある治療法ですが、前歯に関しては例外的なケースもあります。それは「接着性ブリッジ」と呼ばれる手法です。前歯をほんの少しだけ削ってブリッジを貼り付ける方法なので、通常のブリッジ治療よりも残った歯への負担が少なくなります。

まとめ

今回は、失った歯の治療法として、インプラントとブリッジを比較しました。かなり細かい部分まで解説したので、治療選択の際の参考になるかと思います。大切なのは治療に何を求めるかです。絶対的に優れている治療法というのは存在しないため、ご自身にとって最善といえるものを選ぶことが重要となるでしょう。