インプラント治療で歯並びが悪いのは治せる?インプラントの基礎知識等を解説

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歯科コラム/2023年7月1日

インプラント治療で歯並びが悪いのは治せる?インプラントの基礎知識等を解説

インプラントは、天然歯にそっくりな見た目と噛み心地を手に入れられる治療法です。治療後はどこにインプラントを入れたのかわからないくらい自然な仕上がりが期待できるため、歯並びが悪い症状も治せそうだと思われることが多いようです。
そこで今回は、インプラントで悪い歯並びを治せるのかどうかや、この治療法の基礎知識についてわかりやすく解説をします。

インプラント治療は歯並びが悪いのを治す治療法ではない

結論からいうと、インプラント治療で歯並びが悪いのを根本から改善することはできません。なぜなら、インプラント治療は歯列矯正ではないからです。あくまで失った歯の審美性および機能性を回復させるための治療法であることから、悪い歯並びを治す目的でインプラントを選択しないようにしましょう。

もちろん、ケースによってはインプラントが矯正治療に相当するような結果をもたらしてくれる場合もありますが、歯並びの改善は副次的な効果とお考えください。インプラント治療によって歯周組織の状態も良くなるため、お口全体の見た目も改善することは間違いありません。

インプラント治療と外科手術

インプラント治療は、歯を失った部分にチタン製の人工歯根を埋め込むことで、天然歯に近い人工の歯を手に入れられます。これはブリッジや入れ歯といった従来法にはないプロセスであり、外科手術が必要となります。そのため歯茎や歯槽骨(しそうこつ)といった歯周組織だけでなく、全身状態も良好でなければなりません。とくに重篤な全身疾患を患っている場合は要注意です。

インプラント治療ができない人

次に挙げる病気や条件に当てはまる人は、インプラント治療ができないこともあります。

  • 糖尿病
  • 白血病
  • 血友病
  • 高血圧症
  • 骨粗しょう症
  • 重症度の高い歯周病
  • 免疫機能に深刻な異常がある
  • 妊娠している
  • 未成年
  • 喫煙習慣がある
  • チタンアレルギーがある

上記に当てはまるものがあったとしても、それぞれ対処する方法が用意されていますので、不安な方はまずカウンセリングで相談しましょう。
ただし、妊娠中の女性や未成年の方は、原則としてインプラント治療を行うことができません。妊婦さんは出産してから、お子さんは成人してから改めてインプラント治療を検討するようにしてください。

歯並びを整えるためのインプラント治療は避けた方がよい

インプラントには人工歯根があるため、ブリッジや入れ歯よりも噛む力が強いです。例えば、天然歯の噛む力を100%とすると、入れ歯は30%程度、ブリッジは60%程度まで回復できると言われています。第2の永久歯とも呼ばれるインプラントは、70~85%程度まで噛む力を回復させることが可能であると考えられています。その上、歯並びを整える治療法としても活用できたら言うことはありませんが、現実としてインプラントには歯列矯正の効果を期待することはできません。インプラントは歯並びを整えるためではなく、失った歯を回復させる治療法として選択することが重要です。

矯正治療で歯並びの改善ができる

出っ歯や受け口、乱ぐい歯といった歯並びの問題は、矯正治療で改善することができます。マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置を使い、歯を物理的に動かすことで、歯並びのコンプレックスを解消できます。歯並びの重症度が高いと、矯正に抜歯が必要となる場合もありますが、正常な歯並び・噛み合わせを手に入れるために受け入れましょう。悪い歯並びを根本から解決できる治療法として、歯列矯正は極めて有用です。

インプラント治療と矯正治療の違い

繰り返しになりますが、インプラント治療で歯並びが悪い症状を改善することは難しいため、出っ歯や受け口などを治すのであれば、矯正治療を選択しましょう。インプラント治療と矯正治療には、以下のような違いが見られます。

治療目的

インプラントは、虫歯や歯周病、外傷などで失った歯を回復させるための治療法です。治療対象となる歯は1本とは限らず、複数本に及ぶこともありますが、歯列全体の歯並びを改善するために行う方法ではありません。インプラントの治療期間は、下顎の場合で6ヵ月程度、上顎の場合は1年程度かかります。

矯正治療は文字通り歯並びの乱れを矯正するための治療法です。当然ですが、失った歯の機能や審美性を回復させることはできません。マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置を1~3年くらい装着して、歯を動かします。

治療方法

インプラントは、チタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込みます。人工歯根と顎骨が結合するまで数ヵ月待機して、その後は連結装置であるアバットメントと人工歯に当たる上部構造を装着します。

矯正治療は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つに分けられます。ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを歯列に固定する方法で、幅広い症例に適応できます。マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して歯を動かす方法で、歯並びの矯正を快適に進めることが可能です。

治療にかかる費用

インプラントは、1本当たり300,000~500,000円くらいの費用がかかるのが一般的です。矯正はワイヤー矯正で1,000,000円前後、マウスピース矯正の場合は800,000円前後の費用がかかります。インプラント治療も矯正治療も原則として保険が適用されないため、治療にかかった費用は全額自己負担となります。これは一般的な歯周病治療や虫歯治療との大きな違いといえるでしょう。

適応条件

インプラントは、前段でご紹介した「インプラントができない人」に当てはまらないのであれば、誰でも受けることができます。矯正治療も原則としてすべての人に適応できます。ただし、小児矯正は子どもの時期にしか受けられません。また、歯や顎の骨に深刻な症状を抱えている場合も矯正治療を適応できないことがありますので、その点はカウンセリングで確認する必要があります。とはいえ、よほどの理由がない限り、矯正治療が適応外となることはないでしょう。

終わりに

このように、インプラント治療は失った歯の機能性と審美性を回復させるための治療法なので、歯並びの問題を解決する矯正治療とは分けて考える必要があります。また、「歯の色をきれいにしたい」「歯の形がいびつで嫌だ」「前歯が1本だけ小さいことがコンプレックスになっている」といった悩みもインプラント治療で解決するのは賢明ではありません。

もちろん、インプラント治療を実施することで歯の色や形、大きさまできれいにできるのですが、そのためには天然歯を抜かなければなりません。それならもっと負担の軽いホワイトニングやラミネートベニア、セラミッククラウンによる被せ物治療などで対応した方がメリットも大きくなります。いずれにせよ、歯に関するお悩みを抱えているのであれば、まず歯科医院に相談しましょう。当院であれば、インプラントを始めとしたほぼすべての歯科治療に対応しておりますので、患者様お一人おひとりに最善といえる方法をご提案することができます。