奥歯をインプラントにするデメリットとは?メリットや歯科医院の選び方等も解説

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歯科コラム/2023年4月24日

奥歯をインプラントにするデメリットとは?メリットや歯科医院の選び方等も解説

インプラントは前歯にも奥歯にも適応できますが、それぞれでメリットとデメリットがどのように異なるのか気になりますよね。奥歯は強い力がかかる部分なので、何となくデメリットが大きいように感じている方も多いことでしょう。そこで今回は、奥歯をインプラントにするデメリット・メリットや歯科医院の選び方について詳しく解説します。

インプラントとは

虫歯や歯周病を重症化させると、歯そのものを失うリスクが高くなります。お口全体の健康を維持するため、抜歯することになるのですが、その後の治療法としてはこれまで「入れ歯」と「ブリッジ」という2つの選択肢しかありませんでした。どちらも保険が適用され、短期間に欠損部を補える優れた治療法ではあるものの、歯の頭の部分である歯冠(しかん)しか回復できないため、いろいろなリスクやデメリットを伴います。そこで登場したのが「インプラント」です。

インプラント治療では、歯冠だけでなく歯の根っこの部分である歯根(しこん)まで回復できることから、入れ歯やブリッジの欠点の多くを解消できます。歯科医院での外科手術が必須となりますが、審美性・機能性・耐久性に優れた人工歯+人工歯根を手に入れることができるので、近年ではインプラント治療を受ける人が増えています。

奥歯の範囲

私たちの歯は、前歯と奥歯の2つに大きく分けられます。前歯は食べ物を噛み切るための歯で、前から3番目までの歯が該当します。つまり、奥歯というのはそれ以降、7番目までの歯を指すことになります。厳密には4~5番目を「小臼歯(しょうきゅうし)」、6~7番目を「大臼歯(だいきゅうし)」と呼び、上下左右の合計で16本が奥歯に当たります。前歯の総数が12本ですので、奥歯の方がやや多いですね。ちなみに、一番奥に生えてくる“親知らず”は専門的に「第三大臼歯」と呼ばれており、これも奥歯に含める場合もあります。そうした奥歯の主な機能は、食べ物をすりつぶすことです。

奥歯をインプラントにするデメリット

奥歯をインプラントにする場合は、まずデメリットが気になる方が多いようです。インターネット上にも、奥歯のインプラント治療のデメリットに関する書き込みをよく目にします。ここでは、そんな奥歯のインプラント治療のデメリットについて、正しい情報を提供します。

デメリット①治療費用が全額自己負担

インプラント治療は、原則として全額自己負担となります。それは奥歯だけでなく、前歯も同様です。インプラントは1本当たり400,000円前後の費用がかかる治療法なので、保険が適用させてしまったら国の医療費も大きくかさんでしまいます。そもそも現状では、ブリッジや入れ歯といった必要最低限の見た目や機能を回復できる治療が保険で受けられることから、先進的なインプラント治療まで国で補助する必要はないと考えられているのでしょう。

デメリット②インプラント周囲炎を起こす可能性がある

インプラントは、歯冠から歯根まですべてがチタンやセラミックで構成されているので、どんなにケアを怠っても虫歯になることはありません。けれども、インプラント体やアバットメントの周りにあるのは生きた歯茎や歯槽骨(しそうこつ)なので、不潔になることで歯周病は発症します。とくにインプラントと歯茎の境目には汚れがたまりやすく、「インプラント周囲炎」というインプラント特有の歯周病が存在しているくらい、歯肉炎・歯周炎のリスクが高くなっています。このリスクは奥歯でも前歯でも変わりはありません。

手術によって顎に埋め込んだインプラント体(=人工歯根)は、歯茎や歯槽骨によって支えられていることから、インプラント周囲炎でそれらが破壊されると、装置が脱落してしまいます。それだけにインプラントでは歯周病を予防することが何よりも重要となるのです。

デメリット③顎の骨を増やさなければならない場合がある

インプラント治療の可否は、顎の骨の状態によって決まることが多いです。顎の骨が足りないとチタン製のネジを安全に埋め込めないからです。そのため歯科用CTによる精密検査で顎骨の不足が認められた場合は、「骨造成(こつぞうせい)」という手術を行う必要が出てきます。具体的には、GBR法、ソケットリフト、サイナスリフトなどを実施して、不足した骨を増やし、人工歯根を安全に埋め込める環境を整えます。

デメリット④治療期間が長い

インプラント治療には必ず「治癒期間」が設けられます。人工歯根と顎の骨が結合するまで待つ期間を指します。下の顎であれば3ヵ月くらい、上の顎の場合は6ヵ月くらい待つことになります。その後はアバットメントの装着や上部構造(=人工歯)の作製も行うため、全体としては6~12ヵ月程度の期間を要します。従来法のブリッジは3~4週間、入れ歯は1~2ヵ月で治療が完了することから、インプラントは治療期間が長くなる治療法と言わざるを得ません。

デメリット⑤コンディションが良好でないと治療を受けられない

インプラント治療には外科手術を伴うことから、患者様のコンディションが重要となります。高血圧症や糖尿病、心疾患など、全身状態が大きく変化しやすい病気を患っている場合は、投薬によるコントロールが必要となります。患者様のコンディションが手術前や手術中に大きく悪化した場合は、治療を中断せざるを得なくなります。

もともと大きな病気にかかっていなくても、手術への恐怖心や不安感が強いと治療が受けられなくなることもあります。いわゆる“歯科恐怖症”です。そうした精神面におけるコンディションの問題は、笑気麻酔や静脈内鎮静法で解決できます。歯科恐怖症ではない人でも、初めての外科手術が怖い場合は静脈内鎮静法で対応することも珍しくありません。

デメリット⑥治療後のメンテナンスが必須

上述したように、インプラントは歯周病リスクが高い治療法です。使用していく中で上部構造が破折したり、アバットメントのネジが緩んだりすることもあるため、治療後のメンテナンスが必須となっています。インプラント保証を受ける条件として、治療後のメンテナンスが課せられている場合も多いです。

デメリット⑦CT撮影が必須

ブリッジや入れ歯は、レントゲン撮影だけで治療を進めていくケースがほとんどです。どちらも肉眼で確認できる部分だけに処置を施す治療法あることから、歯科用CTによる精密検査までは必須となっていないのです。一方、顎の骨という肉眼では確認できない部分への処置がメインとなるインプラント治療では、歯科用CTによる精密検査が必須となっています。顎の骨の厚みや幅、密度などを正確に把握することで、インプラント手術を安全に行えるようになります。

奥歯をインプラントにするメリット

ここからは奥歯のインプラント治療のメリットに関する解説です。

メリット①残っている歯を傷つけずに機能を取り戻せる

ブリッジは、短期間かつ安価に欠損部を補える方法ですが、支えとなる歯を大きく削らなければなりません。入れ歯もクラスプを引っ掛ける部分やレストと呼ばれるパーツを設置する部分の歯質を一部削らなければならない場合もあります。そもそもこれらの装置には歯根がないため、噛んだ時の力を残った歯で受けとめなければならないのです。

その点、インプラントは歯根まで回復できる治療法であることから、残っている歯を削ったり、傷付けたりする必要はありません。噛んだ時の力もインプラントと顎の骨でしっかり支えることができます。

メリット②顎の骨が弱くなるのを防止できる

私たちの骨は使わなければ弱くなっていきます。骨折をしてギプスを巻き、松葉杖で歩いていると、折れた方の足がどんどん痩せていきますよね。それと同じ現象が顎の骨でも起こるのです。インプラントには、顎の骨に根差した人工歯根があることから、天然歯と同じような咀嚼(そしゃく)機能を発揮できます。その結果、顎の骨が弱くなるのを防止できるのです。これは目に見えてはっきりとわかるメリットではありませんが、お口の健康維持・増進という観点において極めて有益です。

メリット③噛み合わせを調整できる

残っている歯に引っ掛けたり、被せたりする入れ歯やブリッジは、装置の安定性や噛み合わせを精密に調整することはなかなか難しいです。その点、インプラントは、何もないまっさらな場所に人工歯根を埋め込んで、上部構造を装着する治療法なので、噛み合わせまでしっかり調整できます。

メリット④審美性に優れている

近年、過去に入れた入れ歯やブリッジをインプラントに代えたいと希望される患者様が増えています。これは従来法の見た目があまり良くないからです。いろいろなパーツが付随する入れ歯は言うまでもなく、複数の人工歯が連結しているブリッジも歯列に調和しにくい面が多々あります。装置に使用されている金属が目立つこともあるでしょう。一方、インプラントは天然歯とほぼ同じ構造であり、金属部分も目立ちにくいことから、従来法よりも審美性に優れているといえます。適切な方法で装着した人工歯根+上部構造なら、天然歯列と調和するため、どの部分を治療したのかわからなくなります。

メリット⑤食事を楽しめる

入れ歯は安定性が低く、食事の時にずれる・外れることがよくあります。ブリッジも歯根の部分がないため、天然歯のような噛み心地は再現できません。ここでもやはり重要となるのは「歯根」なのです。インプラントには顎の骨と結合した人工歯根が存在しており、食事中に装置がずれる・外れるリスクはゼロに近いです。硬い食べ物もしっかり噛むことができ、本物の歯があったときと同じように食事を楽しむことができます。

メリット⑥発音を維持できる

入れ歯やブリッジはその構造上、発音を邪魔することが多いです。とくに入れ歯はしゃべっている時にずれるため、発音しにくいと感じやすいことでしょう。繰り返しになりますが、インプラントは天然歯とほぼ同じ構造を採っており、しゃべっている時にずれることもないため、歯を失う前と同じ発音状態を維持することができます。

メリット⑦入れ歯・ブリッジより痛みを感じにくい

装置が不安定であったり、残った歯に大きな負担がかかったりする入れ歯やブリッジは、使っていく中で痛みを感じやすいです。それに対してインプラントは、複雑なパーツは付随しておらず、噛んだ時の力も人工歯根と顎の骨でしっかり支えられることから、日常的に痛みを感じることはまずありません。虫歯になるリスクもなく、歯を削ったりするような処置も必要となることはないでしよう。

インプラント治療のメリット・デメリットは奥歯も前歯も変わらない

ここまで奥歯のインプラント治療について解説してきましたが、ほぼすべての項目を前歯のインプラントの特徴やメリット・デメリットに置き換えることができます。つまり、インプラント治療におけるメリット・デメリットというのは、奥歯も前歯も大差はないのです。インターネット上には「奥歯のインプラントには危険が伴う」といった書き込みがあれば、「前歯のインプラントは失敗しやすい」といった表現でそのリスクを強調している文章も目にします。結局、どのような治療法にもメリット・デメリットを伴うため、ご自身にとって最善といえる方法を選ぶことが何よりも大切だといえます。

インプラント治療を受ける場合の歯科医院の選び方

インプラント治療は、外科手術を伴うという点において、従来法とは異なります。ブリッジや入れ歯より専門性の高い治療だけに、歯科医院選びには細心の注意を払う必要があるのです。そこで今現在、インプラントを検討中の方は、少なくとも以下の2点に着目して治療を任せる歯科医院を選ぶようにしましょう。

選び方①事前の説明を丁寧に行っているかどうか

インプラントは、多くの人にとって未知の治療法です。治療にどのような器具を使うのか、どのくらいの期間で治療が完了するのか。そもそも「インプラント」とは何なのか。そうしたインプラントに関する多くの疑問を解消するのが事前の説明の目的であり、歯科医師が果たすべき役割でもあります。その説明をおざなりにするような歯科医師は論外として、専門用語が多くて説明がわかりにくい、こちらの質問の意図を上手く汲み取ってくれないなど、カウンセリングの段階で相性の悪さを感じた場合も、慎重に考えた方が良いと言えます。インプラントはある意味で“一生もの”の治療なので、心から信頼できる歯科医師に任せるべきでしょう。

選び方②実績・知識が豊富かどうか

専門性の高い治療ほど、高度な技術や知識、豊富な経験が求められます。それは先進的な医療であるインプラントで顕著に見られる傾向です。これまで経験してきたインプラント治療の数や症例のバリエーションで、その歯科医師の知識・技術・実績をある程度、推測することができます。その他、カウンセリングでは歯科医院の設備についても確認しておくと良いでしょう。歯科用CTが完備されていることはもちろん、衛生管理が徹底された環境で、インプラント手術を行えることも必須条件といえます。

まとめ

今回は、奥歯をインプラントにするメリット・デメリットや歯科医院選びのポイントについて解説しました。本文でも述べたように、インプラント治療のメリット・デメリットは、奥歯も前歯も大した違いはありません。奥歯だから入れ歯の方が良いとか、前歯だからブリッジの方が良いということにもなりませんので、その点は正しく理解しておくことが大切です。インプラントの歯科医院選びについては、上記の2点を押さえておけば大きく失敗することもなくなるかと思います。
インプラント治療について、他の歯科医院で説明を受けたがよくわからないという方は、一度当院までご相談ください。当院は、インプラント治療の実績が豊富な歯科医院です。